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あずかりやさん

読みました。
読書好きな友達に勧められて読みました。
高校の時からの友人なんですけど、本の趣味が合うんですよね。

あずかりやさんというお店の物語です。

1日100円でなんでもあずかるお仕事なんですけど、店主は目が見えないので何を預けてもプライバシーは守られる、というわけです。

いろんな人がいろんな想いで、色々なものを預けていきます。
その様子を、店の中の暖簾や猫なんかの視点で覗かせてもらうような小説です。

これがまたすごく面白いです。

暖簾や猫は人間や世間のことをそこまで知らないので、彼らが知らないことが起こるたびに読み手はなんだろう、とワクワクするわけです。
で、読み進めるうちに、店主と客の会話や彼らの描写からわかってきて、あーアレのことか〜〜と納得するわけです。

それがすごく楽しいです。

話の進み方も面白いし、中身もちゃんと面白い。

他人からしたら大したものじゃないけど、本人にしたらすごく大切なもの、を丁寧かつ大雑把に描いています。

ある意味、読み手の私達も目で見えてるわけじゃなくて文字で(言葉で)物事が進んでいく様を“見て”いるので、目の見えない店主と限りなく近いんですね。
見えないものを、私たちの代わりにお店の中の暖簾や猫たちに見てもらってるわけです。
暖簾や猫たちに見てもらってるわけなので、情報が大雑把というか。
丁寧に説明してくれるんだけど、どこか抜けていて。
想像するのがたのしいです。

バックグラウンドがあると、些細なことが大きな物語になるんだなあと思いました。

ネタバレになるのであまり言えないんですけど、話が連携していくというか、こいつがこう動いたからもしかしてこんなことを思ってるのかな?なんて、普通の小説だったらありきたりの表現にまで意味が込められて、それがまた良い感じでした。


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