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ファッション業界のカラーマーケテイングとは?


#私の仕事

”カラーマーケティング”とはマーケティングという分野に対して、色彩心理の視点で分析するものを指します。

詳しくはこちらで解説しています。

業界別にカラーマーケティングについて解説していきます。今回はファッション業界(アパレル)

私はファッション業界でスタイリスト、ブランドコーディネーター、ディスプレイプランナー、営業マンを経験し、ファッション専門学校の講師を経て、現在は短期大学でカラーマーケテイングを教えています。

ファッション業界にはトレンドカラーというものがあります。これは純粋なトレンド(流行)ではなく生産工程の都合で2年前から決められています。今となってはご存知の方も多いと思いますが。生産工程上と言っても2年前に決めるとなると自然発生的な流行ではありません。そう、作られた流行ですね。これって、日本語として矛盾していますが、流通の活性化の為には必要なこととも言えます・・・大人の事情ですね。トレンドカラーはまず国際流行色委員会が決め発信し、その内容を日本流行色協会が国内向けにアレンジします。

ファッション業界のカラーマーケティングはファッション業界以外でのトレンドをマーケティングリサーチし、さらに過去複数年のトレンドカラーを見て提案して行きます。一般人が触れ合うトレンドの中では最もサイクルが早く、ファッション業界が社会全体のトレンドをいち早く先導し、その様子を見て、インテリア、家電、ステーショナリー業界等が動き出すと言っても過言ではないでしょう。

誰にでも経験があると思いますが、店頭や雑誌である一定の色彩が取り上げられたり、昨年とは違う長い丈のスカートをTVに出ている有名芸能人が履いていたら、なんかそれがとてもお洒落に見えてきて、欲しくなってくる!今はこれが流行っているのかな?みんな着ているのかな?去年の服では流行遅れでダサいかな??と思えてくる。何も情報は無ければ気にならないものが情報を得ることで急に気になってくる。まんまとファッション業界の罠に掛かってしまうんですね(笑)

近年では生産工程が変わり2年前から準備していなくても短期間で生産できるようになりました。そのことをきっかけに1980年頃から人気を博したSHIBUYA109、マルキューでは「今、そこにあるトレンド」として店舗スタッフの女性たちにマーケティングリサーチをし、欲しいものを聞き出し最速1か月で店頭に新商品を並べるような工程を多くのメーカーが実施しました。欲しいものがすぐに手に入るという購買意欲を刺激し、飛ぶようにトレンド商品が売れた時期もありましたが、この工程は長く続けていくとメーカー側の首を絞める結果となりました。つまり、次から次へと商品が移り変わる事でロスも出て来たのです。またデザインはもちろん、色も次々変わるため、国際流行色委員会の情報は必要なくなってきてしまい、まるで服は一瞬で終わる使い捨て商品のようになっていきました。

ファッション業界のカラーマーケティングは設問によっても結果が大きく変わってきます。

例えば「ピンク」服の色の場合、どのアイテムでピンクが好きなのか、他人が着ているには素敵だが自分では到底着こなせない色なのか、いつかは着てみたい色なのか等々。

服の色は人物にイメージを大きく左右しますし、TPOによってもフィットする色が違ってきますので、カラーマーケティングにおいてこの設問の細かさは必須です。15年ほど大学生たちと一緒にファッショントレンドカラーリサーチを実施してきた経験からもこの難しさは痛感しています。


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ファッションビジネス学会や日本色彩学会にてトレンドカラーカラーやカラーマーケテイングに関して数回研究発表をさせていただきました。     調査場所は日本国内、東京、大阪、京都、福岡、熊本、ミラノ、ローマです。

街行く人を街角で定点観測しました。リアルな街のファッショントレンドカラーと国際流行色委員会が発表したファッショントレンドカラーのマッチ度、流行浸透率はどの程度なのかを調査しました。その結果、国際流行色委員会が提案したトレンドカラーの浸透率はどの地域でも約10%~13%でした。この結果から、やはりきめ細やかな設問や調査、また微に入り細に渡る分析力は必要だと痛感しました。

企業の生き残りにかけては、ターゲットが本当に欲しいものは何なのかを出来る限り詳しく分析できるカラーマーケテイング力が今後必須ですね。

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