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人事部が正しく機能するには ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第27回 (2022.12)

日経産業新聞「HRマネジメントを考える」の再録、ちょっと飽きて間があきました。で、第27回目。あと、1年ちょっとで追いつきます。何としても3月29日までには追い付かねば。経営者も社員も、人事部をコンペすることはできません。そんな立場に甘えずに、日々、革新し続ける志がなければ、この仕事は楽しく続けられません。
日経産業新聞連載のバックナンバーをコチラにまとめました。ご興味があればどうぞ。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2022.10)
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人事部が正しく機能するには
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 新しい企業が生まれ、ある程度の規模に成長すると人事部ができます。人事という仕事は、最初は経営者の専管事項ですが、会社規模が大きくなるにつれて経営者の手が回らなくなり、専門部署を設立して業務を委譲するわけです。そして、どこ の会社にも人事部は1つだけありま す。  
 これは至極当たり前なのですが、よく考えるとかなり異常です。会社組織の中で人事部は完全に業務を独占していることになります。一切の競争にさらされず仕事ができるわけです。人事パーソンはこのことを重く受け止める必要があります。  
 社員はどんなに自社の人事部のア ウトプットが気に入らなくても、他社の人事部からサービスを受けることができません。役に立たない管理者研修をやられても、重要な採用案件がいつまでたっても充足されなく ても、やる気を失うような評価制度を導入されても、給与計算で続けざまにミスをされても、深刻な相談におざなりな対応をされても、何があっても別の人事部に仕事を発注する ことはできないのです。  
 独占体が失ってしまいがちな視点は、歴史がよく知っています。顧客意識、品質意識、コスト意識の3つ がその最たるものです。逆にいえ ば、人事部を正しく機能させるためには、この3つを1人ひとりのメンバーがきちんと意識することが大切です。  
 顧客意識は、顧客を定義するとこ ろから始まります。人事部の顧客は2つあり、1つは経営者であり、1つは社員・現場です。この両者の真のニーズを把握して、一方のみに もねらないような施策を立案するのです。顧客が満足するサービスを提供し続ける必要があるのです。  
 品質意識を磨くには、2つの方法 があります。1つは顧客との対話で す。打ち出した制度や施策を顧客がどう感じているのか、きちんと対話 によって理解することです。真摯に耳を傾け、自らを変えていくので す。もう1つの方法は他社との切磋琢磨です。会社の外に出て、他社の優秀な人事パーソンと交流し、彼ら彼女らのやっていることをよく理解 し、自分に不足している視点や取り組みをきちんと考えるのです。  
 独占体では、内にこもっても仕事ができてしまうので、まずこれを崩すのです。外に出て多様な社外の専門家と切磋琢磨することが大切です。それによって自分自身のレベルを理解し、追いつき追い越すために 学び続けるのです。最後のコスト意識は、顧客意識と品質意識を磨いていけば、おのずと芽生えてきます。  
 顧客意識、品質意識、コスト意識 の3つに加えて、独占体が失いがちなのは、改革意識です。現状維持でも取り敢えずは生きてはいけます。 しかし、改革意識のない人事部は、 経営に貢献することはできません。 自社の強みを明確に認識した上で改善点を克服する施策を検討したり、 時代に適合させるために旧来的な仕組みを変えたり、社員意識の変化を敏感に捉えたりと、こういった大切 なことを改革意識のない人事部はおざなりにします。  
 経営者も社員も人事部を選べないということを肝に銘じて人事パーソ ンは仕事をする必要があります。そして、仮にコンペになっても絶対に勝てるという自負をもった施策を打 ち出し続けるのです。


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