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019 経営目線を持つために

人事部長がまっとうに機能するためには、経営目線を持つことが大切なことについて、否定する人はいないでしょう。問題は、どのようにして経営目線を持つのかです。МBAチックな学びも基礎力を補強するためには役立ちますが、それで目線まで高まるものでもないでしょう。経営目線を養うために一番手っ取り早いのは、経営者との対話です。経営者の考えにふれることです。おそらくこれ以外にはないでしょう。経営者の書いた書籍を読むのもそれなりには役立ちます。「小倉昌男 経営学」なんかしびれますよね。そして、一番、身近な経営者は、自社の社長です。自社の社長との対話は貴重です。自社以外にも経営者はいたるところにいます。例えば、取引先にもいます。採用ベンダー、研修ベンダー等の経営者との対話も実に学びになります。特に彼ら彼女らは、独立して社員を雇いという会社誕生と成長のプロセスを身をもって経験しています。人の経験をお借りして学べるのは人間の強みです。
今から思うと、私はありがたいことに、20代から経営者に鍛えていただきました。中小企業向けの業務用小麦粉営業が最初の仕事でしたが、製パン業・製麺業にとって小麦粉は主原料であり、企業規模が相当に大きくなっても基本的な部分は社長決裁で購買が決まります。なので、社長と日常的に商談ができる仕事でした。大商社の購買課長と接するよりも、学びは大きいと思います。当たり前のように決裁者に会えたのですが、逆にだからこそ決裁者と商談することの重要性はよく理解できました。実は購買側も同様であり、決裁者と会わずに担当者だけと商談をしていてはいけません。できる限り、経営者とも商談ができるように、先方として会いたいと思う人事部長になることも大切です。これは自らの学びになるだけでなく、いざという時にものをいいます。自分と自社を救います。
その後、ありがたいことに特例子会社を立上げ、その代表として長く役割を果たすこともできました。本体の支援があるため、社長の最大の仕事のひとつである資金繰りには頭を悩ませずにすむ恵まれた立場でしたが、それでも社長業ではいろいろなことを学びます。当然ですが、経営目線も育まれます。
ただ、社長業の経験をできる人はけして多くないので、そうでなくても経営目線を獲得する方法を自分なりに考えなければいけません。これは人事部長に限らず、部長ポジションを目指すのであれば、一番大切なことだと思います。そのために、1人でも多くの経営者と会い、対話をするとともに、自社の社長の想いを聴くことは、とても大切なことだと思います。

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