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22年前、大腸がんが見つかって、私の人生は変わった(2)

今回も、合同会社JC1の碓井郁人です。ローフードマイスターを目指す人を指導できる資格、ローフードマイスター・エキスパートの講習が東京の中目黒で開催され、試験に合格した僕は、若い時代の感覚を呼び起こして参加しました。

約20名の参加者、僕以外は全員女性。よく言われるんです、男性でローフードって、珍しいですねと。確かにそのようです。しかし、僕にとっては、DIYの続きのような感じです。ワインラックを自分で作るとか、狭い空間に収納棚を自作するとかと同じ感覚です。なかなか粋な趣味じゃないかと自負しております。

生で食べることが、生活でいかに役に立っているのか?僕はカラダを労らない生活習慣の結果、大腸がんを罹患してしまいましたが、その分、腸内環境には敏感になりました。野菜中心の生活に切り替えましたが、それで腸内環境を整えられたかというと、実感は全くありませんでした。

しかし、ローフードを知り、ローフードを食事の一部に加えていくことで、腸内環境が改善されていった感覚があります。ローフードを食べたら必ずそうなるかというと、そうではないと思いますが、ローフードを通じて得た知識と食事の変化がそういう体感をもたらしてくれたのだと思います。

ローフードは、生の野菜や果物、そしてナッツ類が主な食材です。生を口に入れるわけですから、品質は気になるところですね。例えば、スーパーやデパートで買ってくる野菜のほとんどは一般栽培です。当然農薬をたくさん使い、見かけをきれいにして店頭に並べています。最近の農薬は散布するタイプだけでなく、水溶性で土にも入っているネオニコチノイド系の農薬を多用しています。神経毒です。

水に溶けて雨水とともに河川に入り、河川から吸水した水道で家庭に運ばれるわけです。水道水には神経毒が微量に含まれています。すでに、日々みんなの体に入ってしまっています。これは社会問題としてもっと議論しなければならないと思いますが、一般栽培を減らす動きはどのように始まるのでしょうか?そんな心配の中で、生でいただくローフードを教える立場からは、一般栽培の野菜、果物は推奨できるものではありません。

では、何が良いのか?自然農法で育てられた農作物です。最悪でもオーガニックでしょうか。我が家は自然栽培農家が育ててくれた野菜を直送してもらっています。もちろん季節の旬の野菜です。一年中なんでも選べるのではなく、その季節に収穫できるもので我が家の献立は成り立っているのです。自然の恵みを少量いただくという感覚です。言葉では表現できないほど美味しい野菜を食べていますが、これも前回話したスイーツの味覚と同じで、昔はそんなこと何も感じなかったのですが、今では一般栽培野菜は、味に違和感を感じるようになりました。

40年以上、嫌いだった玉ねぎが食べられるように。

実は、僕は玉ねぎが嫌いだったんです。40年以上嫌いだったのですが、自然栽培にして食べれるようになり、今では好んで食べています。この現象、野菜嫌いの子どもたちに応用できると思います。自然栽培に切り替えたら、おいしさに目覚めて食べられるようになる子どもが増えるんじゃないかと思います。野菜が嫌いだったのではなく、肥料や農薬が嫌だったのです。

ローフードの基本は菜食です。なので、ローフードを普段の食事に取り入れる意識が進むと、動物性食材は少なめになるのですが、動物性を食べる場合もその質を考慮するようになりました。ビーフであれば牧草牛です。鶏や卵はケージ飼いではなく平飼いのオーガニック飼料で育てられたもの、魚であれば天然魚。要するに、より自然に戻るということです。ジビエは食べます。鹿肉は美味しいですね。

ロースイーツを作る場合、白砂糖は使わず、基本は天然の甘味料です。アガベとかメイプルとか羅漢果ですね。精製された不自然な砂糖、ブドウ糖果糖液糖やアスパルテームなどの人工甘味料は一切摂らないようになりました。

さらに、ローフードは加熱調理をしないわけですから、基本的に小麦粉は使いません。僕の場合、小麦が腸に悪さをしていたのだと知りました。腸だけだったらいいのですが、体のあちこちに悪影響をもたらす小麦をほとんど食べなくなりました。無知の時代の僕の生活からすれば、5%以下に減っているのではないでしょうか。また、食べるのであれば国産小麦とか古代小麦を厳選しています。

こうして改めて考えてみると、ローフードを食べれば良いのか、ではなく、その原理を使うと、カラダによくないものが排除されていくことに気がつくのです。農産物からできるだけ化学肥料や農薬を摂らない。動物性食材から不自然なホルモンや抗生物質を摂らない。白砂糖や人工甘味料でむやみに血糖値を上げる生活はしない。小麦による腸壁に穴をあけるリーキーガット症候群を避ける、など。

大腸がんになって、食のあり方を「とにかく変えた」結果、ローフードに行き着きました。そして、多くの「副産物」が出てきたのでした。