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立ち食いそば屋に現れた、謎の女と若い店員のぶつかり合う孤独

雑然とした立ち食い蕎麦屋に、ふらりと現れたのは
髪はボサボサ、服はボロボロの年老いた女性でした

ぶつぶつと独り言で文句を言い
世界中を敵に回している様に徘徊していました

店内の誰もが無視して蕎麦を啜る中
暗い目をして、いつもイライラと蕎麦を作る
店員の若い兄ちゃんが「うるせぇよ!」
と怒鳴ったのです

すると彼女は兄ちゃんに向かって
「うがが、うがが」と言葉にならない罵声を浴びせ
べっ、と唾をかける仕草をしました!

逆上した兄ちゃんは
ヒョイとカウンターを飛び越え
女性の胸ぐらを掴み、押し倒し、馬乗りになって
まさに殴り懸かろうと拳を上げた、その瞬間!

彼女は小さな声で「やめて…」と言いました

その育ちの良さそうな、艶やかなか細い声に
店内の誰しもがドキッとし
蕎麦を啜る音がピタッと止み
兄ちゃんも振り上げた拳をそのままに
しばらく無言で見つめ合っていました

やがて、店内に蕎麦を啜る音が戻ると
兄ちゃんは照れ臭そうにカウンター内に戻り
彼女は何事も無かった様にぶつぶつと
独り言の文句を言いながら店を出て行きました

人間なんて皆んな、大した違いはありません!
心の奥底に孤独を抱えているのはみ~んな同じ

大都会の片隅での、何の意味もない小さな出来事に
私は何故か愛おしさを感じました…

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眠れない夜に

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