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視覚障がい者ならどなたでも! 「おたすけ電話相談窓口」の紹介

困っている視覚障がい者に届けたい!
JBFAならではの電話相談窓口

「アルコール消毒液が設置してあっても、どこにあるか分からない」
「在宅勤務になって、今まで同僚に頼めていた郵送物の確認ができなくなった」

コロナ禍の暮らしの中で、視覚障がい者が今まで以上に様々な悩みを抱えているのをご存知でしょうか? 今回は、日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)が昨年4月に開設した、視覚障がい者向け相談窓口「おたすけ電話相談窓口」についてご紹介! ぜひ情報の拡散にもご協力ください。

※本記事は2021年1月にブラサカマガジンに掲載した記事を修正・追記したものになります。

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1.視覚障がい者なら誰でもOK! 困りごとの解決をサポート

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に歯止めがかからない中、視覚障がい者の暮らしにも様々な変化が起きています。

身のまわりのものに触れ、人と言葉を交わすことで多くの情報を得ている視覚障がい者にとって、密を避け、接触の少ない社会へのシフトは、たくさんの困難と直面するものになりました。

困りごとを抱えている視覚障がい者を助けたい!

そんな思いからJBFAが2020年4月に立ち上げた「おたすけ電話相談窓口」には、JBFAならではの特徴がいくつかあります。

◎視覚障がい者なら誰でもOK!
ブラサカやスポーツ関係の困りごとに限らず、視覚に障がいのある方からのご相談であれば、どんな内容でもお聞きします。

◎視覚障がいのブラサカ選手やスタッフが対応
JBFAに勤務する、視覚障がいの当事者である選手やスタッフがお悩みに寄り添って解決方法を考え、各種サービスのご紹介などを行っています。

◎窓口は3つ! 使いやすいツールでどうぞ

電話:050-3627-5015
WEBフォーム:
https://forms.gle/Dpo6PofNgmckjTCf8
LINE:
https://line.me/R/ti/p/%40qlf9551e
※対応時間等の詳しい内容はホームページをご確認ください。

◎お返事は72時間以内を目指しています
心細く感じている方にいち早くお返事ができるよう、体制を整えています。

◎サポート企業によるバックアップ体制も充実!
現在、「参天製薬株式会社」「株式会社メガネスーパー」「クオール株式会社」「ケアプロ株式会社」のご協力により、各社独自サービスとの連携や、より専門性の高い問題へのアドバイスなど、サポート体制の整備が進んでいます。

2.相談から分かったのは、わたしたちの社会の課題

窓口の開設から1年以上が経っていますが、相談内容は多岐にわたっています。
「(弱視のため)カード決済のため暗証番号を押す際、端末に顔を近づけると飛沫防止シートや透明のパネルにぶつかってしまう」
「自宅からネットで買い物をしたいけれど、読み上げ対応しているショップが分からない」
「スーパーで、距離を保ってレジに並ぶための足元のマークが見えない」

新型コロナウイルスを前に、社会は凄まじいスピードで変化してきました。ただ、誰しも自分のことで精一杯なのが現実。健常者対応と同様に視覚障がい者対応を進めることの大変さは想像に難くないですが、相談電話からは、視覚障がい者が社会の変化に取り残されてしまっている様子がうかがえます。

また、相談の中には、コロナ禍前から顕在化していた課題も少なくありません。
「賞味期限の文字が小さくて読めない」
「エアコンのリモコンの液晶画面が読み上げアプリを使っても読み上げない」
「一人暮らしで自宅にいる時に災害が起きたら、どうやって避難すればよいか不安」

こうした声があぶり出すのは、「見える」ことを前提に社会がつくられていること。そして、それによって取り残されている人、社会やコミュニティに壁を感じている人が多くいることです。

JBFAではあらためて、視覚障がい者に寄り添い、解決策を一緒に考えることの重要性を痛感しています。
「この悩み、どこに相談すればいいんだろう?」
そんなときに、気軽に連絡できる存在でありたい。
わたしたちの窓口には専門家はいませんが、視覚障がいの当事者がどんな内容でもお聞きします。ブラインドサッカーを通して日頃から視覚障がい者と接しているスタッフが、適切な相談先をご紹介することもできます。

今後は、一人でも多くの視覚障がい者やそのご家族に窓口を知っていただき、困りごとに直面した時に「一人で抱える」「あきらめる」ことがなくなるよう、サポートを続けていきたいと考えています。

3.JBFAが「おたすけ電話相談窓口」を運営する理由

そもそも、競技団体である「日本ブラインドサッカー協会」が、なぜこんなことをするの? 読者の方の中には、疑問を感じる方がいらっしゃるかもしれません。

一言で答えるなら、視覚障がい者を取り巻くあらゆる課題の解決に取り組むことは、JBFAの大切な活動の一つだからです。

わたしたちは、「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」というビジョンを掲げています。一競技団体であると同時に、ブラサカの特性や発信力をベースに健常者の意識変革を促す活動を展開し、社会的な課題解決にも取り組む。その両輪を動かすことで、目指す社会に近づけると考えているのです。

というわけで、「おたすけ相談窓口」は今後も精力的に続けていきます。全国のブラサカ選手たちの知識や経験、クラブチームなどのネットワーク、そして皆さんのご協力の輪によって、より多くの困りごとの解消、社会課題の解決につながっていくと信じています。

読者の皆さんには、相談窓口についての情報を広めていただくことで、ともに視覚障がいを取り巻く環境に良い変化を起こしていただけたら嬉しく思います。

4.電話相談窓口オペレーターの声

「おたすけ相談窓口」でオペレーターとして働いている辻選手。自らも弱視の辻選手は、電話対応業務だけでなく、相談者から寄せられたお悩みの解決方法を考えたり、調べ物をしたりしています。

▼辻選手の声▼

「おたすけ相談窓口」では、いろいろな方法でお悩みの解決を試みています。
視覚障がい当事者として、アプリ等を実際に使ってみて、視覚障がい者が使いにくいところはないか、などを調べてみたり。視覚障がい者の友人に聞いて情報を集めてみたり。行政系の手続きで必要な情報を集めたい場合は、行政に直接電話もします。

私も視覚障がい当事者なので、相談者の不安に対して共感できるところは多いかなと思っています。電話では、自分の経験や当時の気持ちを交えて話をして、「悩んでいるのはあなただけじゃないんだよ」と相談者に寄り添えたらいいなと思っています。

情報があるということは、視覚障がい当事者にとって非常に大きな安心感になります。一人でも多くの困りごとを抱えている視覚障がい者に届くように、この窓口の存在、そして視覚障がい当事者が窓口にいるということを広めていただけるとうれしいです。

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編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。ブラサカマガジン担当の貴戸です。「おたすけ相談窓口」を通じて、必要な人に必要な情報を届けることの大切さを感じました。JBFAで働く視覚障がいのある職員も、情報を知ることで気持ちがに楽になったり、前向きに考えることができるようになったりという経験があるようです。

相談者さんに寄り添いながら必要な情報を届けることで、安心感を与えたり、その人の”生きづらさ”を少し緩和したりすることできる。「おたすけ相談窓口」はそんな窓口だと思います。

一人でも多くの困りごとを抱えている視覚障がい者に届くように、こちらの記事をシェアいただけますと幸いです。

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◉視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会の実現にむけて