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事業の現状に合わせて選びたい、さまざまな資金調達の形 Knowledge CAMP #3 レポート

JAPAN BRAND FESTIVAL 2021のスピンオフプログラム「Knowledge CAMP(ナレッジ・キャンプ:以下『CAMP』)」。第3回となる今回は「資金調達と補助金活用」と題し、さまざまなパターンの事例を参照しながら自社に合った資金調達の方法を学びます。

>JAPAN BRAND FESTIVALとは?
https://jbfes.com/about/

>Knowledge CAMP #1レポート
https://note.com/jbf/n/n762a4f945d08

>Knowledge CAMP #2レポート
https://note.com/jbf/n/n8623d063b33f

「補助金」とは?「給付金」との違いは?

1人目のゲストは中小企業診断士の林幸一郎さん(林中小企業診断士事務所)です。経営コンサルタントとして、経営の計画から実行まで幅広く中小企業の支援をしていらっしゃいます。

まず、今回のテーマにも挙がっている「補助金」とはどのようなものなのでしょうか。今年よく耳にした「給付金」とは何が違うのでしょう。

「給付金」は、一定の要件を満たしたすべての人が受給できるお金です。借り入れのように返済の必要がなく、また用途も指定されていません。「特別定額給付金」として、住民基本台帳に記載のあるすべての人に一人あたり10万円が支給されたのは記憶に新しいところです。

一方、「補助金」も要件を満たした事業者へ給付される返済不要のお金ですが、事業実施の補助として給付されるもので、用途が決まっているのが特徴です。枠に限りがあり、事業計画書をもとに審査が行われて給付の可否が決まります。また、補助金は事業報告書を提出し認められた後に初めて払われるため、事業費は一旦自分で工面することが前提となります。

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国によるもの、自治体によるものなどさまざまな補助金がありますが、中でも「小規模事業者持続化補助金」は対象の広い補助金です。持続的な経営計画に基づく販路開拓活動に対して費用の3分の2(最大50万円まで)が支給され、機械装置の購入費や広告宣伝費、店舗の改装などの外注費にも充てることができます。

どうすれば補助金を受けられるの?


経営計画の審査ポイントとなるのは「自社の製品やサービス、自社の強みを活かせているか」「市場や消費者のニーズを捉えられているか」「計画が具体的か」といった点です。先のことなど分からない、計画通り進まないから書けない、という方も少なくありませんが、計画とは大抵その通りに進まないもの。まず書かないことには、当初の計画からどこがずれたのか分析することもできません。うまくいった理由、うまくいかなかった理由を把握して次につなげるためにも、具体的な経営計画を書くことは重要です。

また、補助金の公募は何回かに分けて行われることが多く、回によって採択率が大きく異なります。補助金の種類にもよりますが、総じて初回の1次募集が一番採択率が高い傾向にあるため、なるべく初回から応募するのが良いでしょう。もし1次で採択されなかったとしてもブラッシュアップして2次、3次にチャレンジできると思えば、チャンスは多いに限ります。

林さんは、経営学を学んだことのない人でも経営計画書を書けるようにしたいとの思いから「経営者の地図」というシートを開発されています。環境分析から戦略の決定、実行までの計画というプロセスをブレイクダウンして一つずつ書き込めるようになっていますので、経営計画に迷うことがあればぜひ活用してみてください。

https://youtu.be/HwDiiOJ_1BM

*補助金の申請については常に該当する補助金の最新の公募要領を確認のうえ手続きを進めてください。


在庫を抱えずにテストマーケティングができる!応援購入サイト「Makuake」

2人目のゲストは応援購入サイト「Makuake(マクアケ)」の松岡宏治さんです。Makuakeは2013年、クラウドファンディングサービスとしてスタート。その後リブランディングを経て、現在は「応援購入サイト」として利用者をさらに増やしています。

いわゆるクラウドファンディングといえば、量産するための資金を先に集めるという用途で使われるのが主流です。Makuakeも当初はそうでしたが、現在はテストマーケティングの場、初期顧客獲得の場として活用され始めています。

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BtoCのメーカーを中心に試作品の先行販売の場として活用することが増え、ユーザーにとっても寄付や投資ではなく「ユニークな新商品をいち早く手に入れたい」というモチベーションで定期的に訪問するサイトへと変化。今では毎月400件近く発表される新商品を目当てに、四半期でのべ約1000万人のユーザーが来訪しています。

商品発送はクラウドファンディング終了後なので、必要以上の在庫を抱える必要もありません。加えて、Makuakeで購入希望者が多く集まればそれだけ需要の高い商品だということも分かり、購入者の属性データや販売実績をもとに売り込みやすくなります。在庫を抱えずにテストマーケティングが行えるというわけです。

BtoC企業でなくても活用できる!Makuake事例

いくつか活用事例を見てみましょう。あるゴムメーカーは透明なゴムの開発技術を活かし、落としても割れないシリコンゴムのロックグラスを開発。一般販売をした場合どういった購買層に売れるのか、テストマーケティングとPRを兼ねてMakuakeを利用した結果、400名以上のサポーターにが集まり、Twitterでも15万いいねを獲得しました。


海外製品に押され気味のヤスリ製造業者は、ネコをなでるためのヤスリを発表。Makuakeでの反響はバイヤーにも及び、通算5万本の売上を記録しました。従来の主力商品だった製造業で使われるバリ取り用のヤスリの売上をたった1年で追い越したといいます。

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Makuakeのユーザーはイノベーター、アーリーアダプターが中心で、単なる購入ではなくレビューやリクエストを寄せる人が多いのが特徴です。今後期待する新商品を直接アンケートでヒアリングしたり、フィードバックを受けて第2弾、第3弾とプロジェクトを走らせ、ユーザー層を拡大する場として活用する企業も少なくありません。

サプライチェーンの分断や展示会の中止などにより発表の場、収益の機会が大幅に失われてしまった2020年。販売、流通の既存の考え方を見直してこのようなサービスを活用してみてもいいかもしれません。

社会的意義に訴求する投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」

もう一つクラウドファンディングの例として、投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」を運営するソニー銀行の上原大和さんにもお話しいただきました。先述のMakuakeとは違い、Sony Bank GATEはリターンとして分配金が得られる「投資型クラウドファンディング」に分類されます。クラウドファンディングといっても銀行融資や株式投資に近いものと考えたほうが分かりやすいかもしれません。

投資家はソニー銀行を通じて応援したい企業、共感する事業に投資します。企業はファンド期間中に得た事業売上から一定割合の分配金を支払い、ソニー銀行を通じて分配金が渡されます。事業の目標達成度に応じて償還率は変動するため、事業によっては投資家の利益がマイナスになる場合もあります。一方、事業者にとっては事業が目標に対して未達だった場合に分配金が減額されるため、リスクが軽減できるという見方もできるでしょう。

Sony Bank GATEの投資家は40〜50代の富裕層が中心で、リターンへの期待というよりチャレンジャーの応援や社会貢献が動機となっている方が多いのが特徴です。そのため、採択される事業も社会的意義のある事業やライフスタイルを豊かにする先進的な事業の割合が多くなっています。

地域活動とも好相性のSony Bank GATE事例

どのような事業者がSony Bank GATEを利用しているのでしょうか。廃棄生地のアップサイクルなどに取り組む大阪府泉大津市のニットメーカーは、自社ブランドを基軸に、地域ぐるみの循環型ものづくりを実現すべくSony Bank GATEでのクラウドファンディングに挑戦。代表者インタビューなどのコンテンツ発信を通して、社会的意義の高さを訴えています。

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人口減少が叫ばれる宮崎県串間市のさつまいもに特化した農業ベンチャーは、さつまいも売上世界一を目指してこのクラウドファンディングに挑戦しました。償還率はさほど高くないものの、投資家特典として自社のさつまいも食べ比べセットを提供。申込受付期間を22日設けたにもかかわらず、たった3日で目標募集金額の1000万円を集めることができました。

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新しい挑戦をするために資金が必要なのは言うまでもありませんが、こういった補助金やサービスを利用することで得られる価値は、単純に資金調達をする以上に大きなものです。自社のブランドをどのように成長させていきたいのか、事業内容やステータスに合ったものをぜひ活用してみてください。

次回は今まさに実践ノウハウが求められている「オンライン商談テクニックとプレゼンテーション」をテーマに開催します。今年最後となるKnowledge CAMP、どうぞお楽しみに。


執筆:吉澤 瑠美

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