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中小企業が変化の時代を生き抜くための、イノベーションの種の見つけ方 Knowledge CAMP #1 レポート

2020年11月4日、JAPAN BRAND FESTIVAL初の取り組みとして「Knowledge CAMP(ナレッジ・キャンプ)」が開幕しました。

初回となる今回は、複数名で参加する事業者もあり、全国各地から20名を超える方々が参加。JAPAN BRAND FESTIVAL発起人の堀田卓哉(株式会社Culture Generation Japan 代表)を講師に迎え、「変化に適応する商流の再構築」と題して、自社の現在地と目指すべき方向性を探りました。

>JAPAN BRAND FESTIVALとは?
https://jbfes.com/about/

>Knowledge CAMPとは?
https://jbfes.com/column/1764/


「銀座のコーヒーは、なぜ値段が高いのか?」


「銀座のコーヒーはなぜ値段が高いのか」。
マーケティング論において良く聞かれる問いの一つです。「銀座は家賃が高いから」という回答が想定されますが、正解は「高くても買う人がいるから」とされています。

モノづくりに関わっていると、つい「日本は人件費が高いから」「手仕事だから高くて当然」というマインドになってしまいますが、これは「銀座は家賃が高いから」と言っているのと同じことです。高い固定費を前提に戦略を組んでいくと、高付加価値商品を富裕層にどう届けるかというオプションしか持てず、戦略の幅を持てません。

では、なぜ銀座だと高くてもコーヒーを買う人がいるのか?
そこに「価値」を感じるからに他なりません。価値の基軸としては、機能、サービス、イメージの3つがあり、それぞれ相対的価値と絶対的価値のポジションがあります。

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ユニクロやニトリに例を見ることができる、相対的価値。「この価格でこんなものが買えるのか!」というディスカウント感を訴求します。それに対して絶対的価値が訴求するのはプレミアム感。ブランドとして単体で価値を確立しているため、銀座のコーヒーのように1000円出しても買う人が現れるのです。

相対的価値から絶対的価値へ移行するには、現状の延長線上だけで物事を考えていては不十分です。飛躍的な考え方、つまりイノベーションを起こしていく必要があります。

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「技術革新」事例:ササゲ工業 市場の声を取り入れた商品開発


イノベーションを起こすには「技術革新」と「新結合」という2つのアプローチ方法があります。「技術革新」は、全く新しい技術によって新たな価値を生み出していく。新商品の開発もこれに該当すると言えるでしょう。

一方「新結合」は、新しい技術や商品ではなく、新たなつながりから新たな価値を生み出していくことを指します。新結合は、既存のリソース同士を結びつける、よりサステナブルな手法です。

技術革新の一例として、ステンレスを加工して食器等を製造しているササゲ工業を紹介します。ササゲ工業は、海外市場の専門家を迎え、自社のプロダクトの長所と短所、買わない理由などをヨーロッパ市場でヒアリング。
マーケットの声を元にカラフェとグラス、テーブルの3点セットを開発し海外進出を果たしました。

成果を挙げることができた一方で、この手法は、専門家やデザイナーの招聘、海外での展示会出展など、少なくとも200〜300万円のコストがかかります。この事例は補助金事業だったため負担は3分の1に軽減されましたが、売れる確証のない商品開発は中小事業者にとってかなり高いハードルといえます。

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「新結合」事例:堀口切子 フォーカスする視点を変える


新結合の事例としては、江戸切子を製造する堀口切子の取り組みをご紹介します。

海外進出を志す堀口切子がターゲットにしたのはカットグラスの本場、イギリスでした。しかし現地での知名度はほぼ皆無。しかも輸送料や関税を含めると、小さなぐい呑みでも単価はバカラのグラスをゆうに超えてしまいます。

そこで、「カットグラスの技術」×「様々な和食に合わせることができる豊富な型」×「いつかは堀口の切子を使いたいと昔から和食職人の憧れの存在だったというストーリー」をつなげ「WASHOKU CUT GLASS」というコンセプトを打ち出し、カットグラスのふるさとであるイギリスに、東京で独自の進化を遂げた江戸切子が里帰りするという挑戦を始めました。

和食をもっとも美しく盛り付けることのできるカットグラスとして、イギリスの和食店にアプローチし、20世紀にイギリスから東京にカットグラスの指導に来日した英国人技師と縁ある硝子研究家をゲストに迎えたアカデミックなセミナーを開催するなど、イギリス国内で一歩ずつブランドとして成長しています。

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ワーク1:自社資源とその影響を整理しよう(SWOT分析)


後半はオンラインワークショップです。

イノベーションを起こすには、まず自社の持つリソースや課題を明確化し、現在地を把握しなければなりません。2種類のワークシートを使い、グループに分かれて意見交換をしながら、変革のための自社分析を行いました。

まず1枚目のシートで行うのは「SWOT分析」です。
SWOTは「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字で、戦略策定にあたり自社のリソースとそれがもたらす影響を整理するフレームワークです。

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自動車のプラスチック部品を製造する株式会社ダイシンの強みは、バイオマス樹脂の開発を行っていること。SDGsへの関心が高まりつつある昨今、地域の子どもたちへ自社開発のバイオマス樹脂による教材を提供したいと考えているそうです。

仏具のおりんを製造している有限会社南條工房は、正倉院宝物にも用いられた合金を伝統の鋳造技術で製造する国内で唯一の工房です。海外や国内での瞑想やマインドフルネスの需要が高まっている中で使われることが少しずつ増えているとのこと。
また、新型コロナウイルスの影響で葬儀が行えない分、仏壇や仏具に費用をかける方が増えているという話も飛び出し、意外な視点に参加者も驚きました。


ワーク2:現状の課題からイノベーションの種を見つけよう


2枚目は、生産面、販売面において自社が抱えている課題を書き出し、イノベーションの種(シーズ)を模索するシートです。
さまざまな要因によって環境が激変している今、これまで課題と感じていたことが解決できたり、逆に強みへと変わったりすることもあるのではないでしょうか。現状を振り返り、シートにまとめていただきました。

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ネット印刷サービスの普及による価格破壊が目下の課題という株式会社高山活版社は、印刷立ち会いによる価値創造などアナログでのコミュニケーションにシーズを見出せないかとコメント。自社だけでなく、組合など印刷業界全体を巻き込んだ取り組みにも前向きな様子でした。

株式会社丹葉商会は、北海道の名産品を大手ECサイトで販売する小売店。
送料無料を謳う店舗が多い中、高い送料がネックになっているそうです。
利益率の高い商品を自社開発して競合との差別化を考えているとのことでしたが、送料の比較的安い北海道内での需要、また安さを重視する大手ECサイトを主戦場とすることなど、ターゲットの見直しを視野に入れても良いのかもしれません。


次回Knowledge CAMPは11/18開催!テーマは「マーケティングDX」


時間の都合により、いずれのワークも半分までしか進められませんでしたが、参加者のみなさんには宿題として残りの半分や時間内に書ききれなかったことを記入し、各自シートを完成させて提出していただきました。

講師がすべての課題に目を通し、希望者には講師から個別にフィードバックをお伝えする予定です。ただ受け取るだけでなく、Knowledge CAMPを使い倒してみてください。

次回は11月18日、「デジタル・トランスフォーメーション(マーケティングDX)」をテーマに開催します。次回のKnowledge CAMPもお楽しみに!

執筆:吉澤 瑠美

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