見出し画像

お姉さんの暖かい手

困難

何度も言うが
僕は、人に見られる事が苦手だ

特に文字を書いてるのを見られるのが
凄く苦手だ

役所などで、住所を書く際も
役場の人に見られてたら

頭の中が真っ白になる

末期になるまでに段階があり

①いつも書いてるはずの住所が
わからなくなる

②手が震える

③見られてる事に、緊張し
汗が滲み出てきて余計に視線を感じる

④普段書いてる住所なのに
書けなくなってる事に、笑けてくる

⑤本当に笑ながら住所を書く

⑤の末期まで来てしまったら
しばらくは元には戻れない

実際に、一人暮らしをする際に
住所変更やらなんやらで
役所を行き来していたときのお話

恥ずかしい話ですが
20歳なのに親についてきて
もらってました

そして、住所変更で
前の住所を書くときに
何回も書いてるはずなのに

役所の人間が見るもんだから
住所がわからなくなり
手が震え出して、汗をかきはじめ
笑出す

これが、1分での出来事

書けない自分が面白くなり
震えながら笑ながら住所を書く僕

それを、怖がりながら見てる役場の人間

それはそれは
見ていられないおぞまい光景である

そんな、おぞましい事件からは
僕はスマホに住所をメモしておき
いつでも取り出せるという状況を作り出した

お姉さんの手

今回の敵は銀行員のお姉さんだ

とある銀行に通帳を作りに行った際

僕は、以前の様な失敗はしない男、
いや、漢になっていた

なぜならメモに住所という
とっておきの武器を手にしたからだ

今回の敵である銀行員のお姉さんの
好きにはさせない

僕は、お姉さんの出してくる書類にも
とっておきの武器のメモで
ひたすらに倒していった

きっと、お姉さんもビクビクしていたであろう

出したポケモンが次々と
倒される感覚に違いない

僕が出したモンスターは
住所メモというモンスター
1匹だけだ

というか、それしか武器はない

かっこよく言うなら
その武器だけで戦ってきた

その武器に確かなる力を
確信し戦ってきた

そして、敵のお姉さんは
最後の1匹を出してきた

「それでは、最後に
各書類のココにハンコをお願いします」


それが、貴女の最後のモンスターか

よし、やってやろうじゃねぇか!

手が震えてハンコが滲んで失敗


やるじゃねぇか…

ラウンド2

お姉さんは、とんでもない
モンスターを隠し持っていた

出るたびに倒す俺のモンスターを見て
ビクビクしていたんじゃない

このお姉さんは

俺が倒される光景を
楽しみにワクワクしていたんだ

恐ろしい…これが、お姉さんのチカラか

そして、全てがやり直しで
2回目の住所などを書類に書くやつを
またやる僕

ある程度進んだ時に

また、敵のお姉さんからの
強烈な魔法の呪文(言葉)が言い放たれた

「それでは、またココに
ハンコをお願いします」

ここにきて、またその技を繰り出してくる
俺にプレッシャーを与えてきやがる

その凜とした姿にある
真っ黒で大きな瞳が
まるでブラックホールかの如く
僕の正気を吸い取り奪っていく

やられるわけにはいかない…
僕は、変わるんだ
通帳を作るんだ!!そうだ!
僕は通帳を作りたいだけなんだ!!
やってやる!やってやる!!!

凄く力んで、ハンコが滲んで
また失敗

クソォ!!!!

昨日の敵は今日の友

お姉さん…もう、僕には無理だ…
今日は通帳を作るのは諦めよう…

そう決めた、その時

「大丈夫ですよ
また一からやりましょ!」

と、優しい声をかけてくれた

お、お姉さん…

そう言ってくれたお姉さんの
大きく真っ黒な瞳は
ただのカラコンでキラキラしたお目目でした

僕は、また一から書類を書いた

そして最後の難関、ハンコ押しの時間が
やってくる

そして、次のお姉さんの行動に
僕はびっくりした

お姉さんは、僕の手を添えて
「ゆっくりで大丈夫です」と
一緒にハンコを押してくれた

無事、ハンコ押し成功

お姉さん…ありがとうね

僕は、通帳が作れたよ

その日の夕陽は、特に綺麗でした

常にこの綺麗な夕陽が見れたらいいなぁ
と、思いました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?