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本の紹介

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#小説

巡礼の年

記憶はいつか忘れてしまうだろう、でも歩んできた足跡と歴史を消すことはできない

歴史そのものに深い意味なんてない。ただ起こるべきことが起こっただけ。その出来事が自分にとって重要なものであるかどうかは後になってみなければわからない。後悔が残るかもしれないし、感謝するかもしれない

新宿からフィンランドへの直行便があればいいのに。そんな夢みたいなことを思わずにはいられなかった。

ティファニーで朝食を

オードリー・ヘップバーンが主演したあまりにも有名なタイトルだが、映画の方はまだ観ていない

つい最近まで原作があることすら知らなかったけど村上さんが翻訳しているということで読んでみたらハマってしまい、一気にトルーマン・カポーティのファンになってしまった

あとがきで村上さんが書いているけど、カポーティのナイフのように鋭くて完璧な文章を読んでしまったおかげで村上さんは29歳になるまで小説が書けなかっ

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この悲しみの世に

我が心の友に薦めてもらった本。

いきなりシナイ山を登るところから始まる。これは神の楽園を追放されたアダムとイヴの物語なのだろうか。有名なモーゼの十戒には次のようなものがある

「隣人の妻を欲してはならない」

愛は時に掟を破り、神に背く。インドの聖者と呼ばれたラマナ・マハルシは「隣に住む人妻が魅力的で間違いを犯してしまいそうで恐い」と相談に来た信奉者に対してこう言った。「たとえ間違いを犯したとし

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生と死は等価



「生きることだけに多くの力を割いてしまうと、うまく死ぬることができなくなります。少しずつシフトを変えていかなくてはなりません。生きることと死ぬることは、ある意味では等価なのです、ドクター。」

沈黙は詩的



「オレは100万回の人生で、100万回、幸せについて考えた」
「答えはわかった?」
「どこかでわかっていたなら100万回も考えない」
「そりゃそうだね」
「でも、なんとなく予想はついたよ。つまり幸せってのは風を感じることなんだ」
「ずいぶん詩的だ」
「猫はおしなべて詩的だよ。君は詩的じゃない猫に出会ったことがあるかい?」
「どうかな。たいていの猫は喋らないから」
「沈黙は詩的だよ」

(「いな

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『青い花』ノヴァーリス作



スフィンクスが尋ねた。
「稲妻よりも不意をついてくるものはなんだ」
「復讐よ」とファーベルは言った
「いちばんはかないことはなんだ」
「不当に所有することよ」
「世界を知るものはだれだ」
「自分自身を知るものよ」
「永遠の秘密は何か」
「愛よ」
「愛はどこにある」
「ゾフィーのところよ」

未完の芸術。

寝ることも人生だ



『ねむり』/村上春樹

眠ることが出来なくなってしまった女性の物語。カット・メンシックの挿し絵が美しい

ぼくは幸いにも今まで不眠という状態になったことがない。どんなに辛い時でも眠れてしまう。もはや眠ることが特技だと言っていいのかもしれない

人間は何も食べなくても飲まなくても一週間くらいは生きられるらしい。世の中には一日に青汁一杯だけで生きている人もいる。しかし、寝ないで生きている人はほとん

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船に乗れ!合奏と協奏



音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセン

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