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逃病小説 #22

2021/04/23(金)

手術が終わった前日夕方からの長い長い処置室での留置から、ようやく一晩たった。まさに満身創痍。もう早く、身体中についている管という管をすべて抜いてくれ!そして肩が痛いの何とかしてくれ!という思いが実り、まず、鼻から伸びていた管と人工呼吸器が抜かれた。そしてほどなくして、尿道カテーテルも抜かれた。やっと晴れて自由の身だ!と両手を広げてガッツポーズをとる余力は残っていなかった。

手術前の事前説明でも聞いたのだが、尿道カテーテルが取れる→自力でトイレに行ける→歩ける→どんどん歩け!という図式らしく、術後の回復のためにも手術の翌日から、どんどん歩くことを推奨されているらしい。

それでまあ、めでたく(?)尿道カテーテルも取れたので、積極的に歩くように指導された。

ただ、私の場合、手術による腹部の痛みはそれほどでもなかった(起き上がるときに、筋肉痛の時のようにお腹が痛くなるレベル)だったが、いかんせん「肩痛」がひどい。病院ではよく「10段階でいうとどれくらいの痛さですか?」と聞かれるのであるが、マックス10の痛さだ。そのために病棟内の歩行訓練もままならない。そして、歩行訓練を行っていないのが看護師さんにばれ、

「jayuさん、全然歩いてないじゃないですか。今から病棟一周歩きましょう」

と促され、無理やり歩く。しかし、肩がどうにもこうにも痛い。目も開けられないほどだ。すると、

「jayuさん!ちゃんと目を開いて歩いて!」

と目を開けさせられる。何とか病棟を一周して自分の病室に帰ってくる。

そして、事件は起こった。

続く


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