見出し画像

内部告発 SNS暴露…企業リスク時に広報のお決まりフレーズはNG

今や誰もが声をあげられる時代に

広報のコンサルティングをさせていただいている中で、この数年で大きく変わったと感じることは、内部告発やSNS暴露などによって、企業がリスクにさらされることが多くなった、ということです。

SNSが日常的な情報発信・収集のツールとなった今、良いことも悪いことも、SNSなどを通じて、いち個人の声が瞬く間に広がります。良いことであれば良いのですが、悪いことだと、広報は本当に肝を冷やします。

そうした時代の変化とともに、今まで広報的にお作法として良しとされてきた常套文句・お決まりフレーズが、非常に不快感をもって世の中に受け入れられることが多くなったと感じています。

どんなホワイトな企業にもあるリスク

今まで私も色々な企業で勤めてきましたし、独立してからは大小実に様々な企業とお仕事をさせていただいています。

これだけは断言できるのですが、どんなホワイト企業にも必ずリスクはあります。
どれだけパワハラやセクハラの制度が整っていても、社員1人1人行為を完全にゼロにするのは、残念ながらまだまだ難しいでしょう。
一生懸命コンプライアンスに取り組んだとしても、過失による情報漏洩まで完全に防げるかというと、それも難しいでしょう。

コンプライアンスに熱心に取り組んできたのに、ずっと昔に辞めた社員からの告発で、窮地に立たされてしまう企業もあります。

広報の常套文句は人をイラつかせ、逆効果に

いわゆる炎上対応に当たる際、広報には常套文句というものがあります。

「事実確認中ですのでお答えできません」
「捜査にかかわることですのでお答えできません」
「再発防止を徹底してまいります」

こうした表現、広報に関わったことがない方でもニュースなどで耳にしたことのある方も多いでしょう。

こうしたフレーズは実際、広報部に異動してきたメンバーが必ず学ぶ広報の常套フレーズです。このように言えば、法的にも問題ないし、話せない理由も言っている、反省の姿勢も見せられる…ということです。

しかし、こうした表現を、メディアが聞いた時にどんな気持ちがするかというと…まるで役人の言う「善処します」とか、政治家の「記憶にございません」のように聞こえてしまうのだそうです。

そうするとメディアも「なんとかして聞き出してやろう」とむきになったり、「全然応える姿勢が無い広報の様子も報道してやろう」となってしまうわけです。

メディアだって同じ”ヒト” 血の通ったコミュニケーションを

実際、広報でリスク対応に当たっていると、今は答えられない、というシーンはよく発生します。

弁護士に確認している最中だったり、まだ全容が把握できていなかったり、再発防止策といっても具体的に何をすれば良いのかはっきりしていなかったり…

そんな時についつい使ってしまうのが先ほど紹介したようなお決まりフレーズです。「どう発言すれば良いか、弁護士と確認中なので答えられません!」なんてあけすけに言うわけにいきませんしw

では、どのようにすればよいのか…。
私がいつも使っている方法をいくつかお伝えします。

相手の名前を何度も呼ぶ
「田中さん、何度もご連絡いただいているのにお話しできることが少なくてすみません。田中さんがお急ぎ、ということは広報部全員に周知していて、今急ぎ確認しているんです」
人は、何度も何度も相手から名前を呼ばれることで、「自分のことをわかってくれている、自分を優先してくれている」と感じるようになります。

なぜ伝えられないか、自分の言葉で話す
「今社内でも確認を進めているのですが、子会社の関連会社まで調査をしなければならないことから、少し時間がかかっております」
「捜査の関係上、これ以上お伝えしてはならないと言われているんです。何度も連絡をくださっている田中さんにはきちんと情報をお伝えしたいところなのですが」
など、自分の言葉で、相手に心を込めて対応するべきかと思います。
間違っても、ドヤ顔で「事実確認中ですのでお答えできません」なんて機械のように繰り返してはダメなのです!

とにかく感謝を伝える
「ご連絡いただいてありがとうございます」
「いつもXX新聞さんにはお世話になっております」
最近は少なくなりましたが、中には大変高圧的に連絡してくるメディア記者もいます。ですが相手も、自分の役割としてそうした姿勢を演じているだけなのです。ですので、日頃の感謝や、興味を持ってくださったこと(例えネガティブ面であっても)への感謝を、言葉で繰り返しつたえたいところです。

ついつい、強い口調で問いただされたりすると、焦りや恐怖、怒りなど、マイナスの感情が出てきてしまうものです。
ですが、相手も自分の役割を演じているだけ、自分と同じ人間で、大事にする人、守りたい人がいる…。そんなことを考えながら、落ち着いて、まるで親しい友人に対応するかのような気持ちで、対応したいな、と思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?