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台湾の大富豪、鼎泰豊のオーナーから学んだ、働く姿勢

前回、オーストラリアの資産3,000億円の大富豪の話しを書いた。

- 街から離れた広い家、家庭菜園をして、鶏を飼って、自給自足の朝ご飯
- 車や服装などに、必要以上にお金をかけない
- 84歳の年齢を言い訳にせず、テニスコートをこれから新装する

オーストラリアの大富豪は、お金を沢山持っているからといって、いたずらに贅沢はせず、とても丁寧な生活を送っていること。
そして、高齢にも関わらず、元気いっぱいで、まだまだテニスを楽しむ姿勢を持っていることなどを書いた。
(私は彼のライフスタイルをとても尊敬するし、そのテニスに対する姿勢からは、大きな元気をもらった)

今回は、知り合いの台湾の大富豪、彼の働き方について書こうと思う。
大富豪の人とは、小龍包で有名な、鼎泰豊の董事長 楊紀華さんである。

台湾駐在時に借りたマンションに、楊さん一家が住んでいたことから、知り合うことになった。

鼎泰豊は上場していないので、情報は限られるが、ググってみると、台湾をはじめ12ヵ国にお店を167店舗展開してるとのことである。(2021年の台湾財經理財の記事による。中国語の媒体だが。。。)
同記事によると、企業価値は600億円は軽く上回ると書かれている。

当時、私が住んでいたマンションは、鼎泰豊 本店のすぐ近くにあり、来客があったりすると、昼となく夜となく、よく鼎泰豊でご飯を食べた。
看板料理の小籠包をはじめ、えびチャーハン、鶏のスープ、炸排骨など、どれをとってもシンプルな味で、日本人の口によく合い、とてもおいしい。

しかしながら、台北のレストランを見渡すと、同じ小籠包を出すお店は山ほどある。玉石混合ではあるが、中にはかなりおいしい小籠包を出す店もある。
その競争環境の中で、鼎泰豊が圧倒的に人気があるのは、楊さんの力によるところが大きいと私は思う。
(鼎泰豊は楊さんのお父さんが創立したレストランだが、楊さんの時代にその事業は大きく飛躍している)

楊さんもオーストラリア富豪と同じで、その私生活に派手なところは全くない。住んでいるマンションも高級タワマンとかでは全然ない。2戸を1戸に改造している程度である。お金の面からすると、高級タワマンや、山の手の豪邸に居を構えることもできるはずだが、そういったところにお金を使わない。

楊さんは、鼎泰豊 本店のすぐ近くのマンションに住み、時間がある時には、自ら店頭に立って、お客さんにサーブするのである。
私はよく鼎泰豊 本店を利用したが、4-5回に1回くらいは楊さんを見かけたと思う。
楊さんは、素早い身のこなしで客席の間を動き回り、料理をテーブルにサーブし、また、馴染みのお客さんには、今日の料理の味はどうですかと、声をかけるのである。

誤ってお箸を落としたりすると、どの店員よりも素早く状況をキャッチして、真っ先に代わりのお箸を持ってきてくれる。
追加で小皿が欲しいとか、卓上のしょうがが少ないとか、お客さんの要望をいち早く察するのが楊さんの得意とするところである。

オーナー社長が頻繁にお店にやってきて、自ら素早い身のこなしでお客さんに直接サーブするものだから、鼎泰豊の店員の身のこなしは、全員が素早いものとなっている。
まさに、率先垂範とはこのことである。

先ほど、似たような小籠包を出すお店が沢山ある中で、鼎泰豊が圧倒的人気を誇るののは楊さんの力によると書いたが。
その理由は、センシティビティの高い社長が自ら頻繁に現場で汗を流しているからだ。
社長自らが、レベルの高いサービスを提供し、また、常連さんに今日の味を直接確認する、ということを飽くことなく行っているからである。

そのために、小籠包というシンプルな料理においても、その品質が日々ぶれることなく提供され、また、レベルの高いサービスと相まって、鼎泰豊のブランドが作られたのである。

鼎泰豊のサービスレベルが高いのは、とても有名な話だ。その理由として、店員にフライトアテンダント経験者を多く採用しているからとか、高い給料を出しているからだと、経済メディアで言われたりするが、その本質は、楊社長の現場主義にあると思う。

更に、楊さんの人柄を伝える、エピソードを少し加えると。
楊さんはとても従業員思いである、高い給料を出してる(仕事には厳しいが)のもそうだが、何より、現場に顔を出して店員を直接ねぎらう。
台湾では、中秋名月の日に、家族でバーベキューをするのが流行っているのだが、その日は、お店を早めに閉めて、自分のマンションの屋上に社員を招待してバーベキューパーティをする。
更には、マンションの隣人にも声をかける。
自分の部屋も解放して、大勢の人間がところせましと入り、バーベキューを食べるのである。
楊さんは、その中で誰よりも忙しく動き回りながら、皆を全力でもてなすのである。

もう1つのエピソードは、楊さんは週に一回、近くの台湾大学病院の夜勤チームに鼎泰豊の料理を無料で配給している。
私の友人が緊急入院した日の夜に付き添ていると、なんと、楊さんが社員と一緒に配給に現れたのでとても驚いた。
楊さんの夜勤チームへの配給は、台湾大学病院の中では有名な話しだが、それがメディアなどで報じられるのを見たことはない。
楊さん曰く、身近なところで頑張っている人に、できる範囲で応援しているだけだということだった。

大成功している鼎泰豊のオーナーは、大富豪の身分でありながら、いたずらに贅沢をすることなく、とても丁寧な生活送っていた。
そして、その働く姿勢は、地に足をつけた、徹底した現場主義であった。

楊さんと知り合って、経営における現場主義の力を真近にみさせて頂いてとても勉強になった。
楊さんがお店に立ち続けるかぎり、鼎泰豊のサクセスストリートはとまらないと思う。

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