あなたは全て気付いた?Netflix「イカゲーム」のヤバ過ぎる伏線回収 【ネタバレ解説】
Netflixの大ヒット作『イカゲーム』は、「ゲーム『スプラトゥーン・シリーズ』の実写版かな?」程度に期待していた私にとっては、とてつもなく大きなショックを与えられたドラマシリーズでした。しかし多くの視聴者にとって、胸に突き刺さる名作であったことは間違いないでしょう。イカゲームは、公開当初に日本のデスゲーム系映画『神さまの言うとおり』の盗作が疑われていましたが、世界中のNetflixユーザーによって全9エピソードが見進められていくうちに、重苦しさと心温まる瞬間が絶妙にミックスされた全く新しい名作ドラマシリーズであると認識されるようになりました。
子供の頃にやった懐かしい遊びを通して賞金456億ウォン(約43億円)を獲得するための命がけのゲームが進行されという舞台。特徴的なキャラクター達が奮闘する姿を見ていると、思わず感情移入してしまい、所々で「うわっ」と声が出てしまいます。
今年9月に公開されてから今週に至るまで、世界ランキング1位をキープし続けている『イカゲーム』は、素晴らしい映像美術、衝撃的なストーリー展開、親しみやすいキャラクター達(出演キャスト陣のカリスマ性も含む)、そして鋭い社会的考察が見事に融合した文句なしの“大ヒットドラマ”です。CNNによると、イカゲームは9月17日の配信開始以来、史上最短期間で1億1100万人のアカウントで視聴され、Netflixにおける最高再生回数の記録を塗り替えた大ヒットとなったとのこと。その大きな要因として特筆すべき点が、イカゲームの物語には、様々な角度から隠された“伏線”が多くのシーンに詰まっていることで、その秘密を解き明かす為に全9話のシリーズを一度最後まで見終わった人でも、2回目3回目と再視聴する人が多く生まれているということでしょう。
世界的大ブームを巻き起こしている『イカゲーム』。今後も視聴率がさらに上昇することが予想されます。この記事では、イカゲームの中でも特に興味深い伏線と各シーンにおける様々な考察をご紹介します。 ちなみにネタバレ注意記事となりますので、まだ本作イカゲームをまだ一度も観ていないという方は、是非先に作品をご視聴されることをオススメします。
14年越しの伏線回収?謎の地下鉄イケメン男の正体?!
序盤とエンディングのみに登場し、主人公のソン・ギフン(イ・ジョンジェ)をゲームに招待するなど、明らかに物語の鍵を握っているにも関わらず、その全貌が明らかにされないままの謎の男。
シーズン2での再登場が大いに期待される彼ですが、欧米の『イカゲーム 』ファンの間では、甘いルックスと知的な笑みが話題になり、Twitterでは「私もビンタされたい!」という投稿が続出し、全米でトレンド入りしたほどです。ここではまず初めに、この謎の役を演じた韓国の人気俳優コン・ユ氏と本作『イカゲーム』との関係性について面白い“伏線”を紹介します。
そんな話題のコン・ユさんは、今や韓国や日本でも人気の韓流スターです。そんなコン・ユさんが、ブレイクを果たした出世作と言われているのが、2007年に主演した大人気ラブロマンス・ドラマ『コーヒープリンス1号店』です。その後、コンユ氏は国民的人気俳優への道を進むことが期待されたのですが、コーヒープリンスを20代最後の出演作として、軍隊に入隊することになります。兵役期間を経て人間的な成長を遂げた30代のコンユ氏が、俳優としてのブランクを不安視する声があった中で、除隊後初となる待望の復帰作に選んだのが、何を隠そう『イカゲーム』のファン・ドンヒョク監督がメガホンをとった、『トガニ 幼き瞳の告発(聴覚障害者学校で起きた実際の性的虐待事件を基にした衝撃の社会派映画)』でした。
ドンヒョク監督によると、コンユ氏とはこの話題作以来、とても親しい間柄だそうで、 今回のカメオ出演はプライベートでの提案を通じて実現されたという。 CNNやNEWS1などによるラウンド・インタビューの際にファン監督は、ドラマの中ではまだ描かれていないが、設定上、コンユ氏が演じた謎の男はかつてのゲーム運営関係者としての経歴と信頼があり、ゲーム会場の謎の島の“外部”でも、仕事ができるようになったのだと明かしています。本来であれば極秘のゲーム運営に関わる一切の情報について、外の世界で話す事は運営スタッフの間で禁止されているわけで、警察の捜査の手が入る糸口などにもなり得るため、外でゲームに関わる仕事が任されているという時点で相当なキーパーソンであることは間違いなさそうです。
俳優のコンユさんとドンヒョク監督とのその信頼関係によって、あの地下鉄の駅のホームで赤と青の紙でめんこ対決をする場面も、2人だけの話し合いのもとで出来上がったそうです。そして今回のイカゲーム出演にあたり、コーヒープリンス1号店から受け継がれた演出や小道具がイカゲームに再登場しています。
私も視聴していて、妙にこのジャズ人形がカメラでアップで抜かれるなーと思っていました。特に物語では触れられていませんでしたが、熱い絆で結ばれた2人だったからこそ、そういう理由(監督の遊び心)があったんですね。
謎の男・フロントマンの正体はずっと前から明かされていた!?
今年のハロウィンで多くのコスプレが予想される印象的なキャラクター達が『イカゲーム』には登場しますが、そんな中でも特にネット上でビジュアルが人気なのが悪役のフロントマンです。黒いマスクを被り、ゲーム全体を統括する不吉なキャラクター。第8話で彼の正体が明らかになるシーンは、複数の伏線が同時に回収されたことによって、観ている人々の多くに衝撃を与える、まさに“サプライズ・シーン”でありました。
その正体は、真相を突き止める為に必死に奔走する若き刑事?警察官?ファン・ジュノ(演: ウィ・ハジュン)の失踪した兄ファン・イノでした。イノは、2015年のデスゲームの優勝者ですが、どうしてゲーム参加者からフロントマンへと変貌したのかという肝心の理由は謎のまま。恐らく『イカゲーム』のシーズン2で、その点についても明らかになることでしょう。そしてなんといってもこのシーンで1番の衝撃だったのは、このフロントマンことファン・イノを演じる俳優があの日本でも大人気の韓流スーパースター、イ・ビョンホン(『悪魔を見た』、『IRIS』、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』)だったというところです。
ギャラ数千万円と噂される名俳優ですから、第8話のクライマックスシーンまで、顔も声も隠されていた(制作的な)理由がなんとなく伝わってきます。しかしその価値がある衝撃的なシーンとそれに匹敵する圧巻の演技力であったことは間違いありません。それはそうと、欧米の視聴者からしてみれば、イ・ビョンホンが登場することの衝撃度は、どれくらい伝わっているのでしょう?ハリウッドで例えるのなら、第1話から終盤まで一貫して正体が隠された凶悪な悪役が、ようやくマスクを外したと思ったらブラッド・ピットだったというくらい驚きなのですけれどもね...。
イ・ビョンホン演じるこのフロントマンに隠された秘密はまだあります。正体が明らかになる第8話から話は少し遡り、4つ目のゲーム『ビー玉遊び』での場面に小さな伏線が隠されています。自ら望んでチームを組んだ信頼し合える二人がビー玉遊びで競って、どちらか一人がその場で命を落とさなければいけないという、号泣必死且つ非情な回のシーンで、結果的に、人生に絶望していたジヨン(イ・ユミ)が救わなければいけない家族がいるカン・セビョク(チョン・ホヨン)に勝利を譲ることになります。そのビー玉遊びを始める前、ジヨンは2015年公開の映画『インサイダーズ / 内部者たち』で、主演のイ・ビョンホンのセリフで当時韓国で流行語にもなった「モヒートに行ってモルディブ一杯やろうか」というセリフを引用して、このゲームが終わったらどこに旅行に行きたいかという会話をしています。さらにイ・ビョンホンの名前までそこで口にしています。 これは、有名な俳優がゲームの後半に登場することをさりげなく予告する、ちょっとした伏線です。
ちなみにこのイ・ビョンホン演じるフロントマンによって銃で左肩を撃たれた弟ファン・ジュノは、そのまま崖から墜落してしまいますが、その後に彼の生死について具体的に明示したシーンは描かれていません。この後に解説するオ・イルナムの『ビー玉遊び』の死亡シーンでの演出のこともありますから、明確に死亡が描写されていない登場人物はシーズン2でなんらかの形で復活することが十分に考えられます。さらにこれはついでのついでですが、俳優としてのイ・ビョンホンがこの世界に存在していることになりますので、フロントマンは実質彼のドッペルゲンガーだということにもなりますね。
主要キャラクターの死は“全て”予告されていた!?
全米で1000万人のファンを持つHBOの『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』でさえ、メイン・キャラクターの死亡シーンの圧倒的な喪失感においては、『イカゲーム』にはかないません。456人のプレイヤーが、たった1人しか生き残れないゲームに参加するという設定から、ゲームの進行状況を表現する役割を果たしている生存者カウンターが頻繁に映るシーンがあります。そしてお気に入りのキャラクターのほとんどが、物語を追うごとに悲劇的でショッキングな方法で次々と死んでいきます。しかし、それらの死は決して突然の出来事ではなく、物語の中には主要な登場人物の運命を示唆するヒントが隠されているのです。
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