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The Chainsmokersの美し過ぎる歌詞から学ぶ"今"の英会話


はじめに

近々カムバが期待される世界的DJデュオ『The Chainsmokers』ですが、彼らの大ヒット曲である「Closer」がリリースされたのが5年以上前です。昨年、SNSで一時活動休止を発表したにも関わらず、今もなおEDMのヒットチャート上位には数々のチェインスモーカーズの曲が名を連ねています。特にCloserは、Spotifyで現在20億回以上聴かれており、Spotify史上第6位にあたる再生回数だそうです。YouTubeで公開されている楽曲動画は、リリック動画とMV合わせておよそ31億回再生を突破しており、誰しもが知っている大ヒット曲であることは間違いありません。


それでは一体なぜ、「Closer」は、ここまで長い間にわたって人々の心に残り続けているのでしょうか?アメリカと日本の両方でエンターテインメントとそれに関する心理学について研究を続けてきた私は、The ChainsmokersのCloserという曲の歌詞の中に、今どきのアメリカの若者たちの心に突き刺さるよう計算され尽くされた、とんでもない『言葉のロジック』があることに気付いてしまったのです。The Chainsmokersの新作アルバムが近いうちに発表されるのではないか...と噂される今だからこそ、改めて名曲『Closer』の美しすぎる歌詞を分析し、教科書では学べない“リアルな”英語の言い回しについて紹介していきたいと思います。

『Closer』の歌詞は随所で韻(ライム)が刻まれていることで、非常にキャッチーで簡単に人々の頭の中に取り込まれやすい“軽さ”があります。その一方で、それぞれの歌詞の行間において、一体何が起こっているのかをリスナーに想像させ、正確に考えさせるような“曖昧さ”があります。

メロディ的には、『Closer 』の雰囲気は落ち着きのあるいわゆる“チル”なリズムのエレクトロニック・ダンス・ミュージックであり、歌詞的には人間関係、特に20代半ばから後半あたりの男女の物語です。ありがたいことに、ネット上では既に多くの『Closer』の基礎的な和訳ページが存在しますので、ここではそれらを引用して、この曲の一行一行の分析のサポートに活用したいと思います。


Aメロ (Verse1) 

はじめ、ボーカルのAndrew Taggart(アンドリュー・タガート)は、

“Hey, I was doing just fine before I met you / I drink too much and that's an issue but I'm okay.” (やぁ、君に会う前は全部うまくいっていたんだけどね/ついお酒を飲み過ぎて問題も起こすけど、俺はとりあえず大丈夫だよ )

と歌っています。

- ダメ彼氏を一言で表す英単語

元カノにSMSを送っているような設定を想像させる切り出しですが、後にこれはお互いの心の内を表した言葉であり、実際に2人は連絡を一切とっていないことが明らかになります。彼が酒に酔って彼女に迷惑をかけてしまうことがあったことを認めていて、二人の関係がうまくいかなかった理由の一部も明確にさせるフレーズです。しかし、2行目の“drink”が過去形ではないことから、彼は現在もお酒に依存していることが分かります。彼女と別れてから、心の隙間を埋める為にお酒に頼っているというよりかは、昔も今も変わらず“ついつい”飲みすぎてしまう彼の人間像が捉えられる表現方法です。明らかな劣等感のようなものさえ感じさせる最後の一言“but I'm okay”が「別に全然大丈夫」という強がりに聞こえてきます。

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