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今でもササッと空で描ける

二十代後半だったろうか、深夜バイトを終えて帰って来た朝方のニュースを何気なく見ていたら赤塚不二夫さんの訃報を伝えるニュースが流れて来て、天才バカボンを見て育ち、おそ松くんを見て育ち、もーれつア太郎を見て育った私の心と脳みそは、その知らせを聞くなりすっかりぽかんとしてしまって、「えー」とか「まじかぁ」とか時々ぽつりと言ったり思ったりしながら、距離感の掴めないままふわふわと、でも一つも聞き逃さないようにじっとテレビを見つめていた。ご本人とは会ったこともなければ見かけたこともなかったけど、そんな人に対して喪失感と言うものを味わったのはあの時が初めてだったと思う。

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