RJP理論

こんにちは!ジャンティサービスです。

中途採用の支援をしていて、ここ半年ほど、コロナ禍で短期間で退職している方、もしくは退職しようとしている人が増えている印象です。転職理由を確認すると、入社した企業の業績悪化の他に、入社するときに提示された業務内容と違う仕事を任されているなどの理由をよく見かけるようになりました。

2020年の5月にマンパワーグループが発表した「入社前後のギャップ」について発表した記事がありますが、実に5割以上の方が、何かしらのギャップを感じていると答えています。

(参考資料)マンパワーグループ
「入社前の期待と入社後の現実に、5割以上が「ギャップ」を実感。入社前に聞いておけばよかった!と思ったこととは?」
https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200519.html

入社した社員が「思っていた業務内容と違った」「社風が合わない」などの理由で早期退職してしまったら…?かえって損失が出てしまいますし、双方にとって良くありません。

そんな企業と求職者のミスマッチを防ぎ、離職を減少させるための採用方法として、アメリカの産業心理学者ジョン・ワナウス(John P. Wanous)氏が提唱し米国で発展してきた「RJP理論」についてお話しします。

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RJP理論とは

RJPとは「Realistic Job Preview」の略で、直訳すると「現実的な仕事情報の事前開示」という意味になります。
良い面だけでなく悪い面も含め、正直に情報を提供するという方法で、こういった採用はRealistic Recruitment(リアリズムに基づく採用)とも呼ばれます。

人材確保よりも人材定着を重視した理論で、企業と求職者の適合性を高め、入社後の定着率を高める効果があると言われています。

では、どのようにして定着率向上をもたらすのでしょうか。ジョン・ワナウス氏によると、以下の4つの心理的効果があるといいます。

RJPの4つの心理的効果

●ワクチン効果
求職者が抱いていた過剰な期待を緩和し、入社後のギャップによる失望や幻滅を軽減し離職率低下につながる
●スクリーニング効果
求職者自身が企業との適合性を判断し、「それでもこの会社で頑張りたい」と自己選択するため、入社意思の強い人材が残る
●コミットメント効果
正直にネガティブな面を開示することで会社の誠実さをアピールすることができ、企業への信頼度・愛着心・帰属意識を高める
●役割明確化効果
企業が人材に対して何を期待しているのか明確に伝えることで、働くイメージが湧き、意欲向上につながる

RJP導入の5つのガイドライン

①RJPの目的を求職者に説明したうえで、誠実に情報提供を行い、 与えられた情報の十分な検討と自己決定を促すこと
②提供する情報に見合ったメディアを用い、どのメディアにおいても信用できる情報を提供すること
③客観的な情報だけでなく、現役社員が自分の言葉で仕事や組織について考えを語る感情的側面も含めること
④良い情報と悪い情報のバランスは組織の実態にあわせて適切に考慮すること
⑤これらの情報開示は採用プロセスの早い段階で行うこと

以前採用支援をしていた会社では、自社を主語とした発信だけでなく、例えば、顧客やパートナー、業界誌の編集者などから、自社についての評価を投稿(ポジティブなもの、ネガティブなもの、期待値などを併記した内容)してもらったり、社員にアンケートをとって、入社した方からのうれしい誤算とうれしくない誤算を入社案内などで併記していました。最近は映像を使った情報配信をしている会社も増えているようです。また会社紹介ビデオなどでも、NGシーンもそのまま撮影し、社員の日常の素顔を垣間見せる工夫もしていました。

もちろんメディアだけでなく、実際に候補者と接点を持った時にも、RJPを体現することが重要です。

「エンジニアや理系学生を大切にする」を標榜する会社の採用支援をしていた時に、その会社では説明会や面接、実際の選考の結果連絡に至るまで、どうすれば候補者に自社が「エンジニアや理系学生を大切にする会社」であることを実感いただけるかに細心の注意を払っていました。その企業はエンジニア派遣の企業でしたので、辞退する方も、また不合格になった方も、将来の顧客や中途採用の候補者になる可能性があることを想定した行動をされていました。景気が落ち込んだ時もエンジニアを解雇しない経営を徹底され、とことん「エンジニアを大切にする会社」であることを体現されていました。

RJP理論の真髄とは?

もう1点付記すると自社に不都合な情報を覆い隠すことだけが問題なのではなく、良い情報をきちんとわかりやすく伝えられていないことも問題です。

・自社のチャームポイントは何か?
・自社で働く魅力はどんなものなのか?
・自社に入社すると候補者にはどんなメリットがあるのか?

など良い情報の棚卸しは十分でしょうか?
自社のチャームポイントを3点挙げろと言われれば言えるかもしれませんが、10点挙げろと言われると窮する会社も多いと思います。候補者側も自己分析をやっていると思いますが、企業や団体側も自社分析が重要です。

いかがでしたか?

現状選考段階に入られている企業や団体も増えていると思いますが、RJPの観点が踏まえられているのかをフォロー活動が本格化する前に、今一度再検討されてみてはいかがですか?

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次回のブログをお楽しみに!



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