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John がYokoに初めて会った時

少し前にメトロポリタン美術館が25パーセントの顧客率の予約のみでオープンした話を呟いた。そして、先日たまたまメトロポリタン美術館の近所に行く用事があったので、折角なので美術館の前まで行ってみることにした。

長い列を作っている人たちに沿って広めの歩道を歩いて行くと、そこにはフロントドアが開けられたMet(メトロポリタン美術館)が存在していて、この中にある数多くの名作をまたみんなが堪能できるのだと思うとやはりさすがに胸が熱くなった。

そして、事前情報では知っていたのだけれど、メトロポリタンの建物の表玄関両脇に吊るされていたオノ・ヨーコさんの「Dream Together」という作品を実際に現場で間近に見た時、やはりそこに彼女の作品の中にある深い愛のようなものを感じ、泣けた。

これは、単純に白い四角いビニール地に「Dream」と「Together」という黒い文字が印刷されているだけの至ってシンプルなアート作品だ。なので、写真で見るだけでは、良さが伝わりにくいと思うし、アートに興味がない人ならば、こういう宣伝文句なのかな、とスルーしてしまう人もいるかもしれない。

けれども、実際に現場で見たこの作品は、私にはどう考えてもものすごく重要なメッセージを含み持ったある種の愛のエネルギーの象徴のような感覚を覚えたし、それを実際にメトロポリタンの現場で見る限りでは、その写真や広告の比ではない本物の力が、その作品の置かれている場からは本当に強く感じられた。

今この時期に、この作品をこのサイズ、このマテリアル、この白、このフォント、この配置で作ってメトロポリタンのフロント玄関に飾ったこと、そのことがあまりにも全ての気持ちを物語っているように感じられて、そこにある愛と同質のものが、おそらくジョンがヨーコに初めて会った時に彼女の作品から感じたものなんじゃないだろうかと思った。

ジョンとヨーコの出会いは、1966年の11月のロンドンに遡る。その年はビートルズにとっては世界ツアーの年だった。夏場に果てしない数のツアーをこなしながらビートルズの4人は疲れ切って関係もおかしくなりかかっていた上、同じ年のジョンのビートルズはキリストよりも有名発言(イギリスの雑誌の次にアメリカのデイトブック誌に掲載されてから物議を醸した)もあいまって、世論の中で揉みくちゃにされる事も多かったJohnが、その年の終わりが近づいて一息ついた時に訪れたのがロンドンのピカデリー側にある一つのギャラリーだった。

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