着物知識その5 「帯の種類の話」
第5回目は帯の種類の話です。
以外に半巾とか小袋とか細かくわかれてて、いまいちよくわからないという相談が多いので、個別に書いていきたいと思います。
・角帯
↑角帯。ボールペンと比べてみても巾が狭いことがわかる。奥の角帯が一番よく見かけるタイプ。
男用の細めの帯。だいたい巾は9~10cm程度。圧倒的に博多献上柄、もしくはそれっぽいものが多い。
正絹のものがオススメだがまともに買うと8000円~18000円など高額。なのでちょっと着る程度の分には綿のものを買うと洗えるし、洗濯ノリ使えばハリが戻るのでオススメ。(化繊だとツルツル滑って締めにくい)。
なお、居合に使う場合は絹だと鞘が滑りにくいので綿がいいです。
・細帯
↑細帯。ほぼ角帯と同じ巾。上の黒い細帯なら男性がつけてもいい模様である。袋帯をリメイクしたもの。
男性用の帯と同じぐらいの巾の女性用の帯。今では滅多に見かけない。もともとはおはしょりが無い時代にサクっと着物を着る時に使われてた。今で言うなら兵児帯みたいな感覚。今どうしても欲しいなら、いらない袋帯を半巾と細帯というふうに仕立てなおして作ると派手な半巾+細帯ができるのでオススメ。
※なお、角帯に派手なものが少ないので、袋帯で和歌などの男にも使えそうな模様のものを半巾と細帯と仕立てなおして夫婦で使うなどすると粋な帯ができあがる。
・半巾帯
↑半巾帯。黄色のものが最近のタイプ。黒のが昔のタイプ。写真左上の画像でわかるとおり、今のもののほうが巾が広いため、締めると昔より豪華に見える。
女性用の細帯よりもっと巾が広い帯。昔は12~15cm、今は16cmぐらいのが主流。浴衣や紬など、カジュアルな時に使う事が多い(ただし上記のように袋帯、それも礼装用の袋帯を半巾に仕立てなおしてるなら、セミフォーマルまでなら使ってもよい)。
※実際、昔は西陣が礼装にも使える半巾帯というのを出しました。結び方は片流しなどを使用します。その他、豪華な文庫とかでもOKです。貝の口はNGです。なお、礼装用の半巾を礼装で使うと誰かがそれについてつっこんできますので「え?しらないの?これ礼装にも使える半巾ですよ?」と言える度量が必要です。また、礼装に使う半巾は長尺の4m10~40cmぐらいは必要です。それより短いと結びが貧相になりますので豪華に見えません。
・小袋帯
小袋と書いてますが、単に帯が単衣作りか袋作りかの違いで、小さい袋帯という意味です。(単衣は裏地がありませんが、袋は裏地があります)
なので「男性用小袋」と書いてあったら角帯が袋帯と同じように作られているというだけです。
半巾小袋帯とあるなら、使い方は半巾と同じです。
稀にネット上で小袋帯は半巾帯のことですと書いてる人がいますが、これは「半巾を小袋仕立てで作った」というだけです。
小袋=半巾ではありませんので注意してください。
・付け帯(作り帯)
↑写真は角帯の作り帯。帯結びが最初から作ってあり、写真左下のようにマジックテープでとめる。
普通の帯のように締めるのではなく、お太鼓や帯結びの場所がすでに最初から作ってあって、あとはマジックテープなどで固定して着るものです。
基本はかっこ悪いといってあまり使われませんが、ご年配で腕が後ろに回らないとか、あとはコスプレで軽く着る、浴衣を年1回しか着ないから帯なんでめんどくさいなどに重宝します。
今、よく見かけるのは浴衣向けに角帯、半巾ぐらいです。
名古屋の作りなどはたまに見かけますが、今はほとんど製造していないと思います。
最近では袋帯を付け帯に仕立ててもらうなども流行っています。
・兵児帯
↑左のピンクが子供用、右が男性用。男性用は派手なものはほとんど無い。
完全カジュアル向けで、男物、女性物、子供用とあります。
外にでかけるより、近所をちょっと歩くとか、家でくつろぐ際に使いますが、最近では長尺の兵児帯を使ってオシャレにかわいく着るのが流行ってます。昔の兵児帯はアンティークとかになると模様もかわいいレトロなものがありますが、絹が弱ってたり、長さが足りない(帯の結びが限られてきて、結び目が貧相になる)ので最近のものを買うか、薄手でひらひらした生地を兵児帯に作るほうがオススメです。
浴衣で歩くときに半巾に兵児帯合わせるとか可愛いです。
なお、これも綿か絹がオススメです。兵児帯単体で使うならなおのこと。化繊だと滑ります。半巾と組み合わせるなら結び目が滑っても半巾を締めてるので安心です。
※うちではアンティークの兵児帯を二本縫い合わせて使っています。
・名古屋帯
↑写真のように最初から手先と胴の部分が半分に縫ってあるため、いちいち折り曲げなくてよいが、反面、胴帯部分の巾が自由に変えられない。本来はこの仕立てのことを名古屋帯というのだが、他の松葉仕立てや平仕立てなども同じような使い方なので今では総称として認識されている。
名古屋仕立てという仕立てで仕立てた帯。
セミフォーマルまでの使用用途に適している一重太鼓結びが基本。
※カジュアルかセミフォーマルかは模様などで変わるので注意。
八寸と九寸があり、また松葉仕立てや平仕立てなどもある。
一重太鼓で使用するので、袋帯よりも短めに作ってある。3m40cm~80cmが主流。
※なお、金及び銀主体のつづれ帯だけは名古屋仕立てであってもフォーマルにも使える。
・京袋帯
通常の袋帯より長さが短く、使い方は名古屋帯と同じ使い方をする袋帯仕立ての帯。名古屋より格が上と紹介する人もいるが、それもこれも模様や作り次第(金糸、銀糸を使ってるとかそうじゃないかとかで変わる)。セミフォーマルまでが基本。
・袋帯
↑礼装用の袋帯。このぐらいだと模様がそこまで仰々しくないので、セミフォーマルまで使える。だが、反面、がっちり礼装が必要な時はすこし軽い気もする。よほど受勲式などではなければ、そこまで気にする必要はない程度。
裏地がある帯のことで、筒状に表地と裏地を縫い合わせて作ってあるが、本袋帯と袋帯とがある。
通常の袋帯は表地と裏地を別々に織り、あとから筒状に縫い合わせるが、本袋帯は最初から筒状に織っていく。本袋帯のほうが織るのに高い技術がいるので、値段は高い。
こちらもカジュアル用と礼装用があり、基本は二重太鼓で使用する。
基本は4m程度だが、お太鼓ではなくもっと華やかな帯結びをする場合は4m40cm上の長尺のものが良い。
・丸帯
今では使わなくなったが、本来は最上級の礼装帯。一枚の幅広の帯地(だいたい65cmぐらいの巾)を二つ折りにして縫い合わせたもの。
今ではまず作られておらず、出回っているのは昔作られたものがほとんど。
ちなみに作られた時期は戦前ぐらいまで。
アンティーク着物に類する。
とこんな感じです。
■今回のまとめ
1 帯にいろいろな種類があり、帯によって用途が変わる。
2 帯ごとにカジュアル向けなどの基準は存在するが、冠婚葬祭であっても場合によっては使えるものもある。礼装向けなどはまず模様(金銀系など)で決まるし、例外も存在する。
3 帯の種類はそういう名前というわけではなく、その帯の作りによる。
礼装かカジュアルかなどはまた色々細かいので、後日書いていきたいと思います。
着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。