写真-2019-07-27-9-27-09

着物知識その10 「着物を自分で着れるようになるためにはの本音」

第10回目です。

今回は「着物を自分で着れるようになるためには」どうすればいいのか?という部分を、掘り下げていきます。

商売上の建前は抜きの内容を書きます。

1 着付けを習う必要はあるのか?

これは「あります」と言いいたいところですが、実際は「必要ありません」。

というのも、最初から着付け教室などに行くことは、あまり必要ではないのです。

昔は情報が少なかったし、母親などがそこまで着物に詳しくない場合は、誰かに習わないといけませんでした。しかし、このネット社会において、YouTubeなどで基礎的な着方を動画にしている人はたくさんいます。

そんな動画で、まずは半巾帯から初めてしまえばいいのです。

逆に、このご時世に、自分でなにも調べずに、いきなり着付け教室に行くほうがおかしいと考えてください。

興味を持ったならまず自分で調べる!そしてまずはチャレンジしてみる!

です。

道具なんて、今は化繊でよければ帯やら小物やら合わせて20000円程度で揃います。

また、そうやって自分で調べない、ひどい人になるど道具すら揃えず、教えてもらう人に丸投げの人の場合、すぐあきらめる方が多いのではっきり言って教えるほうも「ま、授業料と道具代もらっておわりかな」ぐらいしか考えません。

そもそも、「着物は着慣れること」です。

スーツだってなんだって、最初は着慣れてないとなんか変だし、似合ってませんが、ずっと着ていくと、ビシッと着こなせるようになるし、マナーなども覚えます。

それと全く一緒なのです。

要は着物を着れるようになるには、とにかく「経験値」が必要です。

洋服は、そもそも子供の時からずっと着てくるでしょう。しかし自分が着たことない洋服のタイプを渡されたら、最初はなんか着崩れしたりします。

そうこうしているうちに慣れて、綺麗に着れるようになる。ただそれだけです。

なのでまずは教えてくれる人を探すよりもなによりも「自分で練習できるようにする」ことを考えてください。

ということで、まずは誰かに習う「必要はありません」ということです。

とにかく半巾からでいいので、道具を自分でそろえて、できる限り毎日1回は練習し始めてください。

〇〇分で着れる着物講座とかありますが、これも結局本人がどれだけ練習するかです。

1~2回習ったら着れるようになるとか勘違いしている人も多いですが、はっきり言って練習しなければどんなに教えても上手にはなりません。

「誰でも簡単に着れる着物講座」とかよく見かけますが、簡単にも限界があります。

そして教える着方にちょっとした工夫が人によって違うだけで、習う内容は変わりません。

誰でも簡単にというのは学習塾の「誰でも成績アップ」となにも変わりません。

2 着付けを習っているがなんか難しくて嫌になる。

よく聞く言葉です。

実は教える人によって変わります。そもそもその教える側がどういう風に体系付けをしてるかによります。

小難しく教えるところは、要はそうしないと自分たちの教える内容が「軽く」見えてしまうし、すぐ覚えてやめていかれたらお金になりません。

なので、がっちり内容をマニュアルで決めて、そのとおりに教えます。

これを詐欺とかいう人もいますが、そもそも専門学校でも大学でも基本そうでしょう。

体系つけて、ある程度の道筋を作って3年間なら3年間教える。

簡単に卒業されたら運営できません。

そしてそのマニュアルに沿って勉学に励み、その学校を出た!となるとその学校を出たという証明がもらえて、世間でも「〇〇大学出」です。

と言えるようになるわけです。

学校や学院に属している着付けの先生方に習う場合は、はっきり言って大変です。

結局、勉学と同じなのですから。

そのかわり、そういった先生に習い続けて、ある程度、先生の進めるものを購入(これに関しては実際、抱き合わせ商法みたいなものなので、間違っている気もしますが)すると、最終的には、その学院や学校の卒業証書というか証明が持て、また自分が誰かに着付けを教える際にその学校なりの名前を掲げてお金を稼いだり人から「あそこの学院の卒業生ですか!」とうらやましがられたりするわけです。(まあ、現在はそんなに稼げませんが)。

結局は「価値観」をどう見るかの違いなので、とにかく着れるようになればいいと考える人には難しく感じるでしょう。

でも、難しい言い回しや、手順が細かいだけで、実際はどの先生も教えることは基本一緒です。

なので、そういった肩書などは必要ないけど、着物を着れるようにしたいという人は、500円着付け教室や、YouTubeなどで学ぶだけで十分なわけです。

そういったところは、とにかく簡単に完結に説明してくれます。

なので、いま着付けを習っている人で、なんか難しいと思う方は、一度、自分の着物に関する価値観がどの程度かを考え直して、誰かに習うなら、自分の価値観に合った教え方をしてくれる方を探し直してみてください。

3 とにかく努力しなければ何事も進まない。

とにかく、練習するしかありません。

そして、自分なりの「コツ」を掴む必要があります。

難しいと思ってる人は、名古屋帯を締めるにあたって、人に言われたとおりにしようとしすぎて、結果できないだけです。

帯を締めるにも、前で締めて後ろに回したり、関西巻きや関東巻きなど複数あったりします。

なので、まずは全部の締め方にチャレンジしてみて、自分に一番しっくり来る締め方を探してください。

※もししっくりくるものがなかったら、その中で一番理解しやすかった締め方を選んでください。

そして、まずはそのしっくり来た締め方で何度も練習し、帯を締めれるようになってください。そうすると、帯を締めるにあたり、原理というか、コツというものが理解できるようになります。

そうなったら、他の締め方でも理解できるようになるわけです。

長じゅばんの着方からなにから全部そうやって一つ一つ練習してください。

結局、着付けが覚えられないというのは、練習量が足りないだけです。

また、始めた年齢によっても、理解の進み度合いが変わります。

年配であればあるほど、基本的に何度も練習しなくては体で覚えることは難しいです。

そして、よく「楽しく着付けを教えます」というフレーズも沢山ありますが、「楽しく着れるよ」ではなく「気軽に教わることができる」だということを忘れないでください。

4 着る機会が無いから覚えない。

こういう人はすごく多いですが、勘違いしないでください。

着る機会は山ほどあります。

着物には「普段着」と「おしゃれ着」、「礼装」とあります。

つまり、普段から着ていればいいことです。

買い物行くにも、家事するにも昔の人みたいに過ごせば機会はたくさんあるわけです。

そんなのできるわけがない!と言うかもしれませんが、それは他人の目が気になるからですか?動きづらいからですか?動物を飼ってるからですか?

着物の場合、他人がこちらを見るのは着物が珍しかったり、うらやましかったり、綺麗だったりするからです。それって気にすることですか?

逆に、着てない人より注目されるわけだし、妬みはその人より優位にあるということでしょう?なにを気にする必要があるのですか?

また、動きづらいという理由もありますが、それは姿勢が悪かったり、着物で動く「コツ」を知らないからです。つまり、着れば着るほどコツを掴めます。気になるなら、気にならなくなるまで着ればいいのです。気にならないようになるころには、姿勢もよくなり、しぐさなども綺麗になりますよ。

動物がという人もいるでしょうが、そもそも家の中なら安い紬でもいいし、綿の着物でも良いわけです。安いのを着ておけば、動物がひっかいても気にならないでしょう。

その他、自宅の生活環境だったり、いろいろ言う人がいますが、結局「甘え」や「弱さ」なわけです。

それを他の理由にすり替えているだけです。

着物を着る機会なんて、自分の考え方を変えれば、山ほどあることを忘れないでください。


■最後に

そこまでして着物を?と思う人がいるかもしれませんが、そもそも今回の内容は「着物を自分で着れるようになる」ための内容です。

世間で言ってるような「楽して」「簡単に」というのはキャッチフレーズです。

そして、そこまでして着物を着れるようにならなくていいという人は、もう洋服でいいじゃないですか。

本当は着物を一人でも多くの方に着てほしいです。

しかし、それとは裏腹に、しっかりとした練習などが必要になるというのが本音であり、それが理解できていないとなかなか覚えないでしょう。

そこまでして着物を・・・とか言ってる人に、自主練を家でしろなんて言ってもしないでしょうから、覚えるなんて無理なわけです。

上の方にも書いたとおり、普段着ていない分、圧倒的に着こなすための経験値が洋服に比べて足りないのですから。

なんでもある程度練習して、初めて普通になれるわけです。楽してできるようになるわけです。

今から着物の着付けを習おうとしている人で、簡単に考えている人は、なによりも練習が大事であると考えて初めてください。

実はそれが一番の近道なのです。

「着物は着慣れる」ことが第一なのです。


着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。