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ちょっと小話シリーズ3「購入したら色がちがう!」

 またまた、小話です。

 今回は着物などをネットで販売する際に起きるトラブルの話。

 ネットで購入すると、写真と色がぜんぜん違った!と言ってトラブルになることがけっこうあります・・・。

 まあ、確実に違いすぎるものを除いて、色合わせをしていてもそう言われるケースもあるんですよね。

 この「色」によるトラブルはいったいどうして起こるのか?という話を今回は書いていきます。

 もともと、着物は生地に光沢があることが多いです。

 この光沢が曲者で、またちりめんの生地だと、同じ角度から光をあてても、ちりめんのシボによって生地の光の当たる角度が微妙に変化します。

 この微妙な変化がカメラで撮影した際に影響を及ぼすわけです。

 でもそれだけではないんです。

 今回は、着物業界がいがいと触れていない(詳しい人がいない?)写真と実物の色の違いなどをもっとしっかり説明していくつもりです。

 ※というのも、このところネット販売を始めた着物関係で色の違いによるトラブルの原因の説明に追われてましたので、例によってそのグチみたいなものです。なお、一部、専門的な内容をできる限り簡単完結に説明しますが、それでも理解が難しい場合は「そういうのもあるんだ~」ぐらいで考えて読んでください。

1 光の色による変化と、カメラの性能による変化

 まず、当たる光の色や強弱によって、色味が変わります。とくに太陽光などの強いものから、木洩れ日の下での撮影だと、木々の葉っぱの緑色が反射して緑色の光が混ざり、それによる色味の変化などが起こります。

 それだけでもやっかいなのに、カメラの性能というか、癖のようなものまで混ざってくるんですね。

 カメラで、特にiPhoneやスマホで撮影して出品している人は、色味の自動補正がかかります。

 これは機種によりますが、たとえばある機種は色合いを自動調整する際に青味のある色をかぶせてきたり・・などですね・・。

 ※もっと専門的な説明はありますが、ここはこのような表現で止めておきます。もっと簡単に説明するとするならカメラが「オイラはこの色がいいとおもうぜ!」と勝手に色調整をする!と思ってください。

 この2点の現象により、たいがいの色味は肉眼で見た場合と大きく異なります。


2 閲覧する環境で大きく変わる。

 PCで見た場合、iPhoneで見た場合、その他のタブレット、スマホで見た場合で色の見え方が大きく変わります。

 まず、PC。

 PCのモニターは特に2015年より以前に購入したもの、また、それ以降に購入した場合でもモニターの性能が悪いものはカメラで撮影した色合いと大きく見え方が異なります。

 液晶画面の色深度(簡単には色の数と考えてください)の数が少ない時代のものはごろっと色味が変わりますし、またモニターの光度が悪くなったもの、モニターがヤケている(黄ばんだり、線が出たり・・・)ものも色味が変わります。

 そしてモニター焼けはスマホでも起きます。

 さらに!こういった機器はもともと扱う色の種類がバラバラなんです。

 たとえばモニターの種類が変われば

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のように、同じ赤を表示しても色味がモニターや機種ごとに違ったりするわけです。

 そしてこの違いというのは、プリンターやスキャナーにも見られます。

 カラー印刷したらPCで見た時と色が違う!なんてことはこの現象が一部関与しているわけです。

 現在ではこれを解消すべく「カラープロファイル」というものが存在します。

 これは、簡単に説明すると「機種ごとの色の違いを無くすため色情報を共通させる」設定みたいなものです。

 ※専門的に書いてもいいですが、わからない人には本当にチンプンカンプンなので、簡単に表現しました。もっと詳しくしりたい方はネットで「カラープロファイル」を検索してください。すぐ出てきます。

 ただ、このカラープロファイルは汎用的なものはあるものの、それが対応していないアプリケーション(各ソフト、動画編集ソフトとか)の場合は適用されませんし、適応されているものであっても、ソフトごとにカラープロファイル設定などを行わなくてはならない場合もあります。

 また、Webブラウザ(Googleなど)で写真データを見た際に自分のパソコンと色味が違うのは、写真のカラープロファイル設定が違ったりするためです。

 と、どんどん書くと着物の話からそれてしまうので、この辺で戻していきますが、とにかく!こういった要因が複数にも絡み合っているのが、色のトラブルにつながるわけです。

 これを解決はほぼ不可能なわけですね。

 そもそも、ネットで着物や反物などを購入する人で、ここまで理解できている人はほとんどいないでしょう。

 それでも人は「色が違う!だまされた!」思うわけです。

 切ないですね~・・・。


3 肉眼でも色の見え方が人それぞれ。

 もう究極ですよ・・ここまで来たら。

 人ごとに色の見え方って変わります。

 それが色弱の方で、気が付かず生活している人などになってくるとどうしようもありません。

 これはさすがに対応はほぼ不可能です。


 と、ここまでできるだけ簡潔に書いていきました(できるだけ簡潔に書いたつもりです)。

 次は、実際の写真を使って色の違いを説明します。

 まず、iPhoneで撮影した画像

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 撮影して加工もなにもしてない状態です。

 肉眼だともっと明るく、緑色も鮮やかなのですが・・これでも撮影用ライトを当てて撮影したんですが、暗いです(明るさ補正されてます)。

 これをPCに移して、Adobeフォトショップで肉眼で見える色に編集したやつが↓

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 まあ、私のPCで編集すると肉眼だとこんな感じの明るさと色合いに見えます(商品として出すならもう少し明るく加工しますが、今回は説明用なので、実際の明るさに近い明るさで編集※明るすぎると色味がごろっと変わるので、撮影の場合はこのぐらいの明かるさにしています)。

 これをもう一度iPhoneにデータ移行して、そのiPhoneでの色合いなどを参考にもう一度編集した写真が↓

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 ・・・・・ね?PCで編集したものをiPhoneでもう一度見ただけでもこんなに見え方が違うわけです。

 しかも、これでも私のPCはカラープロファイルをできる限り調整した結果です。

 なお、今回編集に使ったPCが少し古いので(最近のPCモニターならもっと近い色に調整が可能だと思います。じつは少し前にPC壊れまして、仕方がないので、1世代前の余ったPCを現在は使用してます)ので差が大きくなりました。


 また、画面の種類や性能によって、色味を合わせる際に緑に対して弱かったり、赤に対して弱かったりなど、癖などもありますので、手に負えません。


 さて、ここまで読んでいただけた方は、ネットで買い物する際に色味の問題は解決不可能だ!と認識していただけたと思います。

 これだけの要因に+アルファで、たとえば閲覧している人が10年前のPCでいまだに閲覧しているとか、古いスマホを使用しているとかまで関与してくるわけです。

 ということで色味の解決は無理なのですが、これをどうにかしてくれ!という無茶なものもありました。

 ここまで書いたので、ついでに解決方法も一応書いておきます(とはいえ、すべて解決するわけではありませんのであしからず)。

なお、以下の説明は、あくまで「商品の色味を調整して販売する」ということを前提として書いています。

a 最も日本で汎用性の高いiPhoneで色調整する。

 日本におけるiPhone普及率はかなり高く、またおなじ種類であるならば、色味の誤差も少なくなります。普及している機種で編集した色味を調整すれば、それだけトラブルの確立は減ります。

b モニターの性能の良いPCを購入し調整する。

 最近のモニターは色深度も昔より増えてますので(ビット数に関係します)、その分、複雑な色味が表現されます。また、それとカラープロファイルを調節し、さらにスマホを確認しながら同じ写真の色味が合うようにモニター自体の色合いなどを調整していく。

※自分の手持ちのスマホと色を合わせれば、少なくとも自分と同じスマホを持っている人と色の見え方は共通しやすいので、その分トラブルは減ります。

c 説明に書く

 商品説明に色の見え方を書きます。

 日本だと「和の色」がありますので、そこから一番色味が近いものを説明に書いておけば、購入者が想像しやすいでしょう。

d ブラウザによって色が違うと書く。

 上記cの内容に重複しますが、説明に「スマホやブラウザによって見え方が違う」と断っておくことです。相手が読む、読まないは別にして書いておけばトラブルの際の防御線となります。

e それでも文句言う人は無視。

 ・・・・・これに限ります。


 上記a~eでだいぶトラブルは減ります。

 ただ、そもそもパソコンを常に新しいものにしたり、iPhoneに変えたり、カラープロファイル調整したりなんて無理ですよね普通は。

 しかも着物業界のほとんどの人はそういったことに疎いでしょうから、難しいですよね~。

 で、逆に買う側の人はどうすればよいのか?ということになりますが、これははっきり言って「一択」です。

 「色が違った場合はあきらめろ」

 です・・・。

 まあ、あきらかに調整もなにもしてなくて、青買ったらおもいっきり紫だった・・みたいなパターンは怒って当然だと思います。

 ですが、少々ちがった(緑だとおもったら黄緑だった)ぐらいはどうしよもないわけです。

 だって、撮影の光、機種による色の違い、購入者の家の照明の色と、簡単に考えてもこれだけの要因が重なってくるわけです。

 少々違う分には、家から出ずネットで買える便利さの代償ぐらいに思ってください。

 それが嫌なら地元で売ってる呉服屋さんなどで直接確認して買えばいいのですから・・・。


とまあ、すごい走り書きなので、一部意味がわからないところもあるかもしれません。

※後日、読み直して修正していきます・・たぶん


着物の基礎知識を裏の話も含めて記事にしています。初歩の初歩から裏話まで。飾り内容無しの本音で書いています。よろしくお願いします。