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自分の幸せだけを考えていいんだろうか? 日系航空会社のベテラン機長が寄付を始めた理由

ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」というミッションを掲げ、25年以上にわたり、ミャンマーやカンボジアなどのアジア、日本国内で医療活動を続けています。

そのジャパンハートの月額寄付プログラムのマンスリーサポーターである江川雄也さんは、日系航空会社のベテラン機長として国内外を飛び回っています。また、3人のお子さんを育てる父でもあります。

今回は、欧米やアジア各国へのフライトを通じて世界の街々を垣間見た江川さんにジャパンハートを支援している理由から、人生に対する考え方まで詳しくお話を聞きました。

執筆:峯あきら

世界を飛び回った中で感じた貧富の差

――まず、江川さんご自身について教えてください。

機長になって18年、国内外の空を飛び続けています。パイロットは国によって運航ルールが異なるので、方面ごとに資格を取る必要があるのですが、私はそうした資格をほぼ取得し終わりましたので、担当機種の運航エリアは概ね飛ぶ機会があります。国際線では欧米に行くことが多く、東南アジアもたまに行きます。

機長としての18年間では、悪天候のため出発空港への引き返しを余儀なくされたり、機内の赤ちゃんの急病対応をしたり、さまざまな経験を積ませていただきました。大変なこともありましたが、常にお客さんの無事を第一に考えて仕事に取り組んできたつもりです。

――ジャパンハートとの出会いについて教えてください。

テレビ番組「未来世紀ジパング」と「情熱大陸」で、ジャパンハートの設立者である医師の吉岡秀人先生の活躍を見たのが最初の出会いでした。他にも雑誌やACジャパンのテレビCMで見聞きしていたように思います。

吉岡先生がミャンマーで無償で子どもの手術をしているのを知り、「立派な行いをする人がいるんだなあ」と思いました。そのときはそれだけでしたが、後日別の機会に手軽に毎月寄付できる仕組みがあることを知って申し込みました。

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――寄付をしようと思った理由は何ですか。

パイロットとして世界各地を訪問する中で貧富の差を感じたことです。特に東南アジアでは、タクシーに乗っているときに、交差点で車が止まっていると子どもが窓を拭いて「お金をくれ」と言ってきたり、窓際まで花を売りに来たりしている姿を目の当たりにしました。

また、初めてインドのオールドデリーを歩いたとき、40数度の気温の中で人が道端で倒れていて、寝ているのか死んでいるのかもわからず、子どもも裸でいる姿を見て、こういうところで生まれたこの子たちに、どれほど将来の夢が持てるのかと暗い気持ちになりました。


欧米でも貧富の差は歴然とありましたし、また日本と比べて教育格差がかなりあるのを感じました。

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――そういう姿を見て、支援しようと決意したのですね。

はい、世界各地で貧しい人を見て、「自分には大したことは何もできない」という無力感を感じていました。そして、そうした状況を垣間見たり、友人との話のネタにしたりするだけで、帰国後は日本という恵まれた日常に舞い戻ってしまうと何か後ろめたい気がしたのです。

でもよく考えるとメディアやネットの発達した今、世界中の貧困や不幸は誰しも目にするところですよね。寄付することで、誰かの役に立つのは嬉しいことですし、自分の中で小さな幸せを感じられます。もし「何かしてあげたい」と思っているのに、行動できていない人がいるならば、「些細なことからでも始めてみては」と思います。このインタビューがそういう人の背中を押すきっかけになれば嬉しいですね。

――途上国を支援する様々な団体がある中で、なぜジャパンハートを選んだのでしょうか。

ジャパンハートの重要な支援先のひとつが東南アジアだからです。まずは、身近なご近所さんであるアジアの困っている人を支援したいと思いました。

また、私と吉岡先生が同じ年代ということにも心を動かされました。「自分と同い年の人がこんなにも素晴らしい活動をしている」と。思うだけなく実際に行動に移せるところがすごいですね。

テレビ番組でジャパンハートの医師がアジアの子どもを手術している様子を見ると、ジャパンハートに寄付して良かったと思います。

自分だけの幸せを感じる人生は寂しくないか

――ジャパンハートを支援して気持ちに変化はありましたか。

ジャパンハートのテレビCMなどを見たときに、こんな自分でもお役に立っているかなと、一瞬ですが小さな幸せを感じます。人生50年を過ぎ、自分の人生を振り返った時、自分や家族を養い守って仕事を退職して、人生が小さく終わっていくのかと思うと(家族を養うことはもちろん大切なことですが)、「それだけで良いのか」という思いが少しありました。

仕事以外にも世の中に少しは貢献したい、偉そうに言ってはいますが、実際はほんの少しだけですよ。それはある意味、人のためと言いつつ、実は心の満足を得たい自分のためなのかもしれません。でもその結果、困っている人々のお役にたてれば良いのかな、と。読書や色んな人の考えに刺激を受けて、そう思うようになったのかもしれません。

――そうした考えをお子さんにも話していますか。

子どもには話していませんでしたが、今日、娘にはインタビューを受けることを話しました。いずれは子どもたちに「自分のことばかり考えるのでなく、世の中の役に立つ人間になりなさい」と伝えたいですね。

――これから先のジャパンハートや「社会の未来」に期待していることはありますか。

ジャパンハートには、途上国の人の命を救い続けてほしいです。モノを直接あげても状況は大きくは変わりませんが、命を救ったり、教育したりすることで、育った子どもが自分の意志と努力で社会を発展させられるようになったら良いと思います。それぞれの国で自分の国を良くしていく人材が育ってくれたら素晴らしいですね。

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***ジャパンハート マンスリーサポーター募集中***

世界にはまだまだ貧困に喘ぐ子どもたちがたくさんいます。現在私たちがアクセスできているのは、医療を届けたい患者数の5%にも及びません。今も同じ時間にこの地球で、病気や飢餓に苦しんでいる子どもがいるのです。

私たちの活動に共感し支援してくださる、さらなる仲間(マンスリーサポーター)を募集します。1日100円からの支援で、医療の届かないところへ医療を届ける、仲間になりませんか?

詳細は、ジャパンハートのホームページからご覧ください。

ジャパンハートについて、こちらの動画をご覧ください。


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