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会津塗の良さを語りたい(2)技術・材料編

工芸好きの旅人、はるかです☺

前編・後編と分かれた「会津塗」特集。今回は、会津塗の技術や材料に注目しました。会津塗は、縁起のいい意匠や多彩な加飾の美しさが魅力。浅く細い溝を掘る技巧で柔らかな装飾が会津塗の特徴です。

漆器特有の材料がどのように手に入るのか。
会津塗の魅力に迫ります。


漆器(会津塗)の原料は、貴重。

木地師によってつくられた丸物に漆をつけていく

漆器(会津塗)の原料は、大きく分けて

お椀や重箱等の元になる木材
・木材に塗る漆

の2つです。

まず木材。
つくるものによって使われる木材がさまざまです。
お椀や茶托など丸物には、ブナ、トチ、カツラ、ケヤキ、クワなどの木材が使われます。重箱などの板物には、主にホウと呼ばれる木材が使用されています。

これらの木材を山から切り出して製材し、木地工場で最低でも3年(そんなに!?)時間をかけて自然乾燥させます。
この期間に木材の水分やあくをしっかり抜くことで、木地師が削り出す際に割れるのを防ぎ、また完成した後に歪んだり曲がったりするのを防ぎます。

次に木材に塗る漆
漆の木の幹を傷つけ採取した樹液を精製したもので、一本の漆の木から約200gほどしか取れません。昔は会津地方では漆の木が数多く植林されていましたが、現在では木を育てる人も漆を採取する人も少なくなってしまい、他の産地同様に漆を中国から輸入しています。

しかし、中国から輸入される漆は国産の漆に比べると、漆の中に含まれるウルシオールの分量が少ないという課題点があります。更に輸入では為替や物流の関係で価格・流通量が不安定になることもあります。

そこで、 会津若松市では再び漆の植林が行われ、高品質な漆器作りのため上質な国産の漆の採取が目指されているんだとか。

菌につよく、腐りにくい漆。

塗りに使用される漆は、漆の木の樹液で天然塗料のなかでも特に抗菌性と防腐性に優れています。抗菌性が高いことからお椀などの生活用具として利用されてきました。

また、防腐性の高さから文化遺産の修復や保存などの役割を担っています。漆の耐久性は数千年と言われていますが、紫外線に弱く屋外では年々、塗膜は風化していきます。役目を終えた漆の塗膜は自然に還っていく素材なのです。

会津漆器の技法、木地・塗り・加飾

会津漆器の制作工程は、
木地
・塗り
・加飾

の三部門に分かれています。

木地づくり

まずは、形を作るところから。
ろくろ、おの、のみなどで丸太から削り出したり、かんななどで板を加工して組み立てる作業を行います。

木地工程でも「丸物(お椀などを指す)」と「板物(重箱などを指す)」は制作工程が全く異なり、丸物師・板物師がそれぞれ存在しています。(会津地方独特の呼び方で、「惣輪師(かなを)」と呼ぶ場合も)

木材を削る工程では、100種類以上のカンナを使い分けるんだとか。
若い木は、歪みやすいため、お盆などの製作では樹齢100年を超えた木を使用するなど、つくるものによって木材の使用部位が異なります。

まさに、職人の経験値が頼りの作業です。

塗り(花塗りと金虫喰塗り)

成形された木地に塗りを施すのが「塗り師」です。

この作業によって、
なめらかな手触りを実現し、強度が上がります。滅多なことでは壊れない漆器が出来上がるというわけです。
(漆の成分であるウルシオールが水分と結合することで表面が固まります)

また、
漆を何層にも塗り重ねることで独特の風合いが生み出されます。
漆の特性をしっかりと理解し、埃が付着しないよう湿度を徹底的に管理することで美しい塗りに仕上がります。

会津塗の「塗り」工程は、大きく二種類あります。
・花塗り
・金虫喰塗り

花塗りでは、
有油漆(ゆうゆうるし)を使用します。有油漆とは、漆に乾性油を加えたものです。これにより、光沢が増し、伸びが良くなります。

しかし、漆を刷毛でムラなく塗るのは非常に難しく、漆をムラなくきれいに塗るには、職人の高度な塗りの技法が必要とされます。塗りは、下塗り、中塗り、上塗りの三層になっています。

金虫喰塗りは、
一つとして同じ模様はできない塗りの技法です。
黒漆を塗った後、大麦や籾殻を全面に蒔き付けます。乾燥後に殻を取り除くことで籾殻が漆を吸い取り、凹凸模様の柄になります。そこに金箔、銀箔もしくは消金粉(けしきんぷん)などを巻き、透漆(すきうるし)と呼ばれるものを塗り込みます。

透漆とは、漆をゆっくりと加熱することで水分を飛ばし、精製した漆のことです。透明度の高いこの漆を使用することで、木目の美しさを引き出すことができます。乾燥後に、研磨し、磨きの工程を経て完成します。

加飾(漆絵・蒔絵・沈金など)

さらに、装飾を施す職人を「加飾師」もしくは「蒔絵師」といいます。塗り物に装飾することを蒔絵といい、海外でも「MAKIE」と呼ばれる、日本独自の装飾技法です。

会津塗の魅力でもある、塗りの表面の美しさと表面に絵を描く蒔絵などの多彩な加飾。

〇縁起のいい意匠、漆絵
漆絵は、筆で彩漆(いろうるし)を用いて直接模様を描く技法。
朱色や黄色、青の顔料と漆を混ぜ合わせて彩漆を作ります。漆の性質上、黒・朱・黄・緑・茶褐色など落ち着いた色味が多い。
絵模様には、牡丹・鶴や亀・鳳凰・松竹梅など、縁起がいいモチーフが描かれます。

〇地色から浮かび上がる模様、蒔絵
蒔絵は、塗りの後に漆で絵を描き、それをのりの役割として金粉や色粉を蒔き付け、元の地色から模様を浮かび上がらせる技法です。

漆絵とは対照的に金、銀などの華やかさが特徴です。
蒔絵の技法は
・平蒔絵
・研出蒔絵
・高蒔絵
の3つに大きく分けられます。
加飾には、青貝や螺鈿、白蝶貝が使われることもあります。

〇柔らかい仕上がりが特徴、沈金(ちんきん)

沈金は、まず沈金刀と呼ばれる刃物で漆を塗った面を彫り出します。
彫り面の溝に金箔や銀箔、消金粉を蒔きつけ、模様以外の部分に付着した箔や粉を除去し完成する技法です。

他の産地の漆器より浅く彫るため、柔らかいイメージとなります。かつては、中国やタイ、インドなどでも生産されていましたが、現在は日本で最も盛んに行われています。

漆絵や蒔絵、沈金以外にも貝殻を貼り付ける螺鈿(らでん)などさまざまな装飾技法があります。精密な筆遣い、配色、図案の開発、曲面に描く技術などさまざまな技術を持って初めて一流という、なんとも奥深い世界。

今回、参考にしたのはこの記事です。

日本工芸スタッフ。日本の伝統工芸に魅了され、その美しさや技術に感動する日々。旅行が大好きで、新たな文化や素敵なものに触れることが大好きです。このnoteでは、日本の工芸文化や旅先での出会いを通じて感じたことや、見つけた情報をシェアしていきます。一緒に工芸品の魅力に迫りましょう!

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