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ガラス工芸に魅了された。

工芸好きの旅人、はるかです☺
たまたま入店した居酒屋で、江戸切子が出てきてからというもの、ガラス工芸ってすごいなあと感嘆する日々が続いています。

万華鏡さながらのカット技術に魅了されました………

「切子」以外にもガラスを吹いて造形する吹きガラスや漁師の道具として使用されてきた歴史をもつ浮き玉が由来のガラスなど、日本には、多くのガラス工芸があるんです。


まずは「切子」から。江戸切子・薩摩切子・天満切子、それぞれの魅力とは?

〇繊細なカットが美しい、「江戸切子」

麻の葉模様がなんとも繊細。

江戸切子は、その名の通り、主に東京(江東区・墨田区に8割の職人が集中しているらしい)でつくられているガラス工芸です。
曲線や花鳥風月の文様には、それぞれご利益や願いが込められていて、鑑賞するのがとてもたのしい。江戸時代末期から今まで引き継がれており、2002年には国の伝統的工芸品にも指定されています。

夏の時期には、東京スカイツリーのエレベーターが江戸切子の彩りに包まれたりするらしい✨

〇重厚感のある深い色味をもつ「薩摩切子」

重層感のある色味がいい。

薩摩切子の魅力は、「色被せガラス」が生み出す色味だと思っています。制作時に異なるガラス色を重ねていて、エメラルドグリーンや琥珀色などの深みのある色合いができます。薩摩藩の産業政策の一環として生まれ、幕末に一度途絶えましたが、現在は復刻したという思わず心がぐっと熱くなる歴史があります。

〇U字にカットされた文様が魅力「天満切子」

天満切子は、ご存知でしたか。
長崎に伝わっていたガラス製法が持ち込まれて、大阪でガラス製造が始まったのは江戸中期の1700年代中頃といわれています。大阪天満宮正面脇には、ひっそりと「大阪ガラス発祥之地」の碑が立っています。

江戸にガラス製造が伝わったのは、1800年代初期といわれているので、江戸切子よりも早い時期から製造していたことになります。その後、昭和初期まで、大阪のガラス産業は発展を続け、ガラスのビー玉を最初に制作したのも大阪のガラス工場だったといわれています。

薩摩切子の流れを受け継ぐ「天満切子」。カットによって生まれる光の反射は、グラスに飲み物を注ぎ、口元に持ってきた時にきらきらと反射してなんとも美しい。

吹きガラスにも個性がある。肥前びーどろ・琉球ガラス、そして….

副島硝子の肥前びーどろ

肥前びーどろの始まりは、佐賀(鍋島)藩主鍋島直政が設置した精錬方(たんれんがた)。薬瓶や酒瓶のほか、科学実験のためのビーカーやフラスコを作るガラス窯がありました。肥前びーどろの最大の特徴は、「ジャッパン吹き」と呼ばれる日本独特の宙吹き技法で作られていることです。

鉄ではなくガラスの吹き竿で作られるガラスは、空気以外のものに触れることがなく、なめらかな仕上がりです。また、赤や青の鮮やかな色合いもいい。最近では、金箔やピンクや黄色の色粒を使った華やかなグラスも作られているんだとか。

〇沖縄らしい情熱的な色味も魅力、琉球ガラス

ロックグラス。orionビール吞みたくなる。

琉球ガラスの特徴は、廃瓶を原料にしていたことでしょう。琉球ガラスが注目を集めたのは、戦後。アメリカから入ってくる色付き瓶を再利用していました。緑や淡青、茶色など、基の瓶を彷彿とさせる色合いの商品には、廃瓶を使っているからこそ生まれる、くすんだ色や気泡があり、それが琉球ガラスの大きな魅力の一つとなっています。

こちらの動画からは実際の使用シーンを見ることができます。

「浮き玉づくり」から生まれたガラス工芸。小樽ガラスと津軽びいどろ

日本のガラス製造の目的は、グラスや皿、花瓶や酒瓶など、庶民の暮らしに密着したものだけではありません。明治から昭和にかけ、日本では漁業の現場でガラスが活用されていました。それがガラスの浮き玉です。

時代の変化とともに、漁業ではプラスチック製の浮き玉が使用されるようになりました。そんな中、丸く、薄くガラスを形作るこの技術を活用できないか。そんな思いから生まれた新しいハンドメイドガラスが人気を集め始めました。「津軽びいどろ」(青森)と「小樽ガラス」(北海道)です。

〇石油ランプの町「小樽」のカットガラス、小樽切子

ガラスの浮き玉や石油ランプを盛んに製造し、北海道の産業発展に貢献したのが小樽。小樽が「ガラスの町」として知られるようになったのも、これら実用的なガラス製品が、全国に流通したことが理由です。

浮き玉づくりで磨かれた、柔らかな曲線づくりが魅力の小樽ガラス。安らぎを感じさせるガラス工芸品として、人気を集めています。

〇頑強な浮き玉から生まれた、津軽びいどろ

清涼感のある津軽びいどろ

津軽もまた、浮き玉づくりで名を馳せていた産地の一つ。その技術に、青森の自然を思わせる色ガラスを組み合わせたのが津軽びいどろ。日本ならではの色合いを表現するため、色ガラスも自社で生産するというこだわりがあるんだとか。

気軽に日常使いできる、ガラス工芸品として、若いファンも増えています。

「ぎやまん」と「びーどろ」の違いって??

杯上グラス

最後に少しうんちくを。

「ぎやまん」「びーどろ」という言葉をご存知でしたか。これらは、江戸時代、ガラス工芸品をさす言葉でした。吹きガラスの製法で作られた一般的なガラス製品が「びーどろ」、海外からの輸入品やカットを施したものが「ぎやまん」だそう。

技術からみても日本のガラス工芸は、楽しい。「吹き」と「カット」で織りなすガラスの光


さまざまな形を生み出し、華やかな色合いで日本人の感性を表現する吹きガラスと、繊細なカット技術で光輝く世界を刻むカットガラス。

日本にはまだまだ自分の知らない魅力が詰まっていました。どのガラスでのむのかで、味も変わってきそう…..🍶✨

最後に、参考記事を置いておきます。今回紹介したガラスのより詳しい歴史が紹介されています。さらに知りたい方はぜひご覧ください。

日本工芸スタッフ。日本の伝統工芸に魅了され、その美しさや技術に感動する日々。旅行が大好きで、新たな文化や素敵なものに触れることが大好きです。
このnoteでは、日本の工芸文化や旅先での出会いを通じて感じたことや、見つけた情報をシェアしていきます。一緒に工芸品の魅力に迫りましょう!

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