おじいちゃんへ

今年、7回忌になるとお母さんから聞きました。
もうそんなに経つのかと、時の流れの早さに驚かされます。

おじいちゃんが85歳で天寿を全うしたとき、私は悲しかったけれど安堵しました。
やっと不自由な生活から解放されたんだなって。
80年も頑張って生きてきて、最後の5年が事故で首から下が麻痺だなんて、私すごく悔しかったのです。
だから、あのときは不自由な生活から解放されたおじいちゃんを、晴れやかな気持ちで見送ることができました。

おじいちゃん、天国ってどんなところですか。
若いときの姿になれたりしますか。
もちろん、手も足も自由に動くんですよね。
大好きだったお酒はたくさんありますか。
きっと毎日晩酌してることと思います。

おじいちゃん、おじいちゃんは最後の5年間、病院で何を考えていましたか。
私たちの前では弱音も吐かず、涙なんて絶対に見せなかったおじいちゃん。
人知れず泣いた夜はありましたか。
事故を恨んだりしましたか。
それとも、80年も生きると現実を受け止められるようになるのですか。

おじいちゃん。
あなたが可愛がってくれた孫は、今、生きることに押しつぶされそうです。
朝が来るのが怖くてたまりません。
5年も病気と闘って、まだ治りそうにありません。
先が見えなくて、闘病はずっと終わらないんじゃないかと怖くて怖くて、涙が止まりません。

愛されて育ったはずなのに。
今でもたくさんの人に大切にしてもらっているのに。
命を手放したくてたまらない夜があります。

おじいちゃんは、事故に遭ってから「死にたい」と思いませんでしたか。
どうしていつも前向きだったのですか。
私も、おじいちゃんのように前向きになりたいです。
どうしたらいいのですか。

おじいちゃん。
やはり天寿を全うしないと天国には行けないのでしょうか。
私の寿命はいつまでなのでしょうか。
寿命まで生きるには、どうしたらいいのですか。
死にたい気持ちを消すには、どうしたらいいのですか。
前を向くには、どうしたらいいのですか。

おじいちゃん。
あの頃、おじいちゃんのお見舞いに行くのが面倒に感じるときもあって、病院からだんだん足が遠のいていきました。
そのまま進学で県外に出てしまい、余計会えなくなりましたね。
ごめんなさい。
孝行できずにごめんなさい。
私たちに会うのが何よりも楽しみだったはずなのに。
後悔先に立たずとはこのことを言うのですね。

そんなダメな孫は、それでもあなたを頼ってしまいます。
おじいちゃん、もしこの手紙が届くなら、一度でいいから夢に出てきてくれませんか。
豪快ではつらつとした声で、「大丈夫だ」と励ましてくれませんか。
「まだまだ死ぬのは早い」と勇気づけてくれませんか。

そして、しんどい状況で生き抜いたおじいちゃんの力を、私にも分けてくれませんか。

泣き虫で弱い孫を、今でも可愛がってくれますか。
どうか、可愛がって助けてください。
いつかちゃんと天国で再会して、今度こそおじいちゃん孝行できるように、甘えん坊な私に生きる力を貸してください。

いつまでも、私のことを見守っていてください。

あなたの3番目の孫より

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