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中国少数民族自治区で出会った命の恩人

前回のnoteで中国の河南省にある少林寺で武術修行したエピソードを書きましたが、そこで会った香港人に旅行先として雲南省を勧められたという話をもしました。

チベットや内モンゴル、九寨溝、敦煌など中国の様々な地域を旅した彼が特に強くオススメしたのは雲南省の大里で暮らす少数民族、白族(bai2zu2 ペー族)のいる地域。とにかく景色が信じられないほど綺麗で逆に観光地化してないのでそこで暮らす人々が素朴でよかったとのこと。

思い立ったら火车(普通列車)の一番硬い席に乗って、今じゃ絶対できない24時間の旅路。体がバキバキになりました。

火车で乗り合わせて仲良くしてくれた親子 中国の鉄道旅はカップ麺を食べる乗客が多い

私が訪れたのは喜洲镇という雲南省大里から車で2時間ほど離れた場所にある小さな村。

喜洲镇で撮った一枚 なんかエモい…

若さとは無謀なもので、何も考えずにやって来たのはいいものの実は金欠に喘いでいました。中国留学の夏休みを使って行けるだけ中国の色々なところを旅行してみようと、先の少林寺や陜西省西安、四川成都など様々な地域を巡り、雲南省はまず昆明に入り、その後で大里を観光。この時点でアルバイトで貯めた貯金は底をつきかけていて、そこそこ食費や宿泊費をセーブする必要がありました。

まあ地方だし安いホテルなんていくらでもあるだろうとタカをくくっていたのですが、なんと喜洲镇の観光用ホテルはたった一つ、しかもかなり高額でここに泊まってしまうと留学先の北京に帰れないという大ピンチを迎えました。

そこで私は腹を決めました。きょうは野宿だなぁと。

そうと決まったら、とにかくこの村を楽しもうと市場へ。

喜洲镇の市場

ここで私はあることに気づきます。確かに伝統的な衣装の少数民族・白族がいたんですが、かなり高齢の方が多い。方言もすさまじく中々会話が通じなかったのですが、子供がいたのでようやく標準語が通じて聞いてみたところ「若い大人はほとんど街に出稼ぎに行ってるよ」と。

なるほど、この規模の村になると中々安定した仕事に就くのは難しいようで、脂の乗った20代〜50代くらいの人は近くの都市の大里や昆明に出払っているようです。

さて、景色が綺麗なのは確かだけど、宿もないしここで一体何をしたら良いのか・・そうこうしているうちに今度はお腹がくだって来ました。
たぶん、お昼にその村で食べた魚介料理に当たってしまったようです・・

満身創痍で途方にくれていた私は、とにかく眠れる場所を夜までに探さないとやばいと感じて、いくつか店を訪ねることにしました。ただ、やはり方言が強烈で私の言葉は半分通じてるようですが、あちらがしゃべってる言葉が聞き取れず悪戦苦闘。

そんな中、たまたま入った染め物屋さんに奇跡的に20代の女性がいました。彼女は訛りはありますが標準語が通じました。私は「申し訳ないけど染め物を買うお金はない。この辺りで野宿ができそうな場所はありますか?」と聞いたところ、「野宿するぐらいならウチに泊まりなよ」と、お店の2階の自宅になんと泊めてくれることになりました。

さらに奇跡的に、彼女はドラえもんを知っていて、日本文化にも興味を持ってくれているようで、夜ご飯までご馳走してくれて、色々と日本のことを質問してくれました。「日本では小学生でも恋愛するの?」「生魚を食べるって本当?」 結局、商品も買わずに素泊まりしただけの私に「お金を稼いでまた来た時には買ってね〜」と優しい言葉をかけてくれました。ぶっちゃけその時にはもう彼女に恋しそうでした笑

もう20年近く前のこと・・・それ以来あの場所は訪れていませんが、いつかあの時のお礼をしてちゃんと染め物を買って恩返ししたいなぁと思う今日この頃です。

優しいあの子は今、元気にしているだろうか

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