AI活用のためにビジネス担当者が知っておきたいコト(基礎知識編)
本記事は、Japan Digital Design Advent Calendar 2023 の16日目の記事になります。
こんにちは、Japan Digital Design(JDD)の瀨尾です。
Advent Calendarも16日目を迎え、少しずつ今年も終わりが近づいてきましたね♪
昨今はChatGPTが大きな話題になるなど、ビジネスでのAI活用の重要性がより一層高まってきています。
一方で、いざAIを活用しようとするとその専門性の高さや難解さに驚くことも多いのではないでしょうか。
本記事ではビジネス担当者がAIを上手に活用するために、どのような知識を持てばよいかを、その学習方法も合わせて、私自身の経験も踏まえながら書いてみたいと思います。
これからビジネスでAIを活用したい人はもちろん、何となくAIに興味を持っている、という人も是非読んで参考にして頂ければ嬉しいです。
なお本記事はAI活用のための「基礎知識」に的を絞って書いています。
その他にも「ビジネス実装上のポイント」「マインドセット」など大事な観点はありますが、そちらはまた別の機会とさせて頂ければと思います。
自己紹介
本編に入る前に簡単に経歴の紹介をさせてください。
私も元々はビジネス側の業務経験しかなく、AIやデータ分析に本格的に携わり始めたのはここ2~3年です。まだまだスペシャリストと呼ぶには程遠い点は予めご了承ください(笑)
現在私はJDDのM-AIS(MUFG AI Studio)という部署に所属し、AI開発案件のプロジェクトマネージャーを担当しています。
元々は新卒で三菱UFJ銀行へ入行し、法人営業や企業/産業リサーチを経験したのち、2021年10月にJDDへ出向してきました。
大学でも専攻は文学でしたので、今の職場に来るまではAIやデータ分析に触れる機会はほとんどありませんでした。
そんな私ですが、現在はJDDで複数のAIプロジェクトに携わっています。中でも、業務で新たにAI活用を検討するフェーズ(PoCフェーズ)のプロジェクトを担当することも多く、その経験を通してAI開発の初期フェーズで重要なポイントについても年々理解を深めています。
以下ではこれまでの経験を踏まえて、ビジネスサイドの担当者として上手にAIを活用していくためにはどのような基礎知識があれば助けになるか、という点について、オススメの学習方法も含めて個人的に感じたことをお伝えできればと思います。
AI活用のために知っておきたいコト4選
1. AIの概要
重要度:★★★
これは当たり前すぎますかね(笑)
もう少しポイントを絞ると、「AIにできること、できないこと」を理解する、ということが非常に重要です。
「AIは魔法の杖ではない」とよく言われます。
一見すると何でもできるスーパーツールのように思えるAIですが(ChatGPTの登場で尚更そう思われるようになりましたが)、中身はあくまでアルゴリズムで動く計算機であり、計算できること、できないことがあります。この点を確りと理解しているかどうかが、ビジネス課題解決に向けたAI活用のカギになってきます。
「AIにできること、できないこと」を把握するために理解しておきたいポイントは例えば以下です。
AIの分類・定義(機械学習、ディープラーニング、など)
機械学習の具体的手法(教師あり・教師なし・強化学習の違い、など)
ディープラーニングの具体的手法(画像処理、自然言語処理など)
AIの学習や推論のために必要なデータ
これらの基礎知識を体系的に学ぶ方法はいくつかあると思いますが、私自身は資格試験を通して学習をしました。
中でも知識範囲の網羅性や難易度(ビジネスサイド向け)の観点から日本ディープラーニング協会主催の「G検定」がオススメしやすいです。
資格試験の学習を通して一通りAIの基礎知識を身につけたうえで、ご自身のビジネス課題の解決に役立ちそうなAIについて、更に詳しく書籍やインターネット等で調べて理解を深めるのがよいと思います。
2. データの概要
重要度:★★★
「1. AIの概要」に比べるとこちらはやや意外でしょうか?
しかしデータについて理解を深めることは、AIについて理解することと同じくらい重要です。
AIモデルとデータの関係を製造業で例えると、AIモデルは製造設備、データは原材料です。どれだけ製造設備が素晴らしくても、低品質・不完全な原材料からは良い製品は作れません。
データ理解の重要性に関しては別記事も書いていますので、興味のある方はそちらをご覧頂ければと思いますが、大きくは以下観点からデータの重要性を強調したいと思います。
AIモデル開発のために、データ自体の理解やデータ過不足の判断が必須
適切なデータ選択がAIモデルの性能向上に寄与する
プロジェクトの各フェーズに応じた適切なデータ管理・活用により、プロジェクトの成果が最大化される
データへの理解を深めたいと思った場合には、まず「一般論」を学習したうえで、「個別論」へと移るのがいいと思います。
「一般論」とは、データのあり方に関する一般的な概念知識です。具体的にはデータベースの仕組みを理解することが個人的にとても有用だと感じています。
私は書籍等でこの辺りの知識を一通り学習したうえで、実際のデータをSQLを使って触ってみたりしました。遊び感覚で楽しみながらデータ構造やデータ利活用のイメージをもつことができるため、とてもおススメです。
「個別論」とは、ビジネス現場で生成・利用される実際のデータに関する知識です。それぞれの現場ごとに多種多様なデータが存在していると思いますが、それらデータの内容や定義、所在、生成頻度などを社内ドキュメント調査や担当部署へのヒアリングなどを通して理解していくことで、AIの開発に活用できそうなデータの見当をつけることができるはずです。
3. AI開発の流れ(ハンズオン含む)
重要度:★★☆
3点目は実際に手を動かしてAIを作ってみたり、AI開発の流れを追体験してみる、ということです。そうすることでAI開発に対する解像度がぐっと高まり、より有効・円滑にビジネスで活用することが期待できるようになります。
ただし実際の開発にはPython等のプログラミングの知識や実行環境の用意、データ等の準備が必要になり、この辺りにハードルを感じる人もいるかもしれません。
そういった方は、まずはオンライン講座などを活用してPythonの基礎知識を身につけたり、ハンズオンでAI開発を体験してみたりするのもよいと思います。その後、慣れてきたらデータサイエンスコンペなどに参加して独力でAIを構築する経験を積む、というのもありですね!
オンライン講座はUdemyなどが有名です。AI開発のハンズオン解説講座のみならず、前段で説明したAIの概要やデータベースの基礎知識、このあと説明するITシステムに関する講座など、非常に充実しています。
私自身もオンライン講座でプログラミング・AI開発の知識を得たあとで、データサイエンスコンペに参加をして実際にモデルの構築とモデル予測までやってみたことでAI開発の解像度がグッと高まりました!
4. AIの運用環境(ITシステム環境)に関する理解
重要度:★☆☆
AIは一度開発したらそれで終わりではなく、開発したモデルを実業務で運用しながら、継続的に改良・改善していくことが重要です。
運用フェーズでは、程度の差はあれITシステムとAIモデルを連携させながら活用していくことになります。その際にAIモデルの性能を最大限引き出し、摩擦なく業務へと導入するためには、ITシステムの基本概念を理解し適切な運用環境を準備してあげることが大事です。
ひとえにITシステム環境と言ってもバリエーションは様々で、例えばオンプレミス(自社環境)での運用かクラウドサービス(SaaS)の利用か、などでも大きく異なります。
また具体的な業務システム構成も、自社のビジネス特性や過去からの開発経緯などによって千差万別と思いますので、一足飛びにいきなり自社システムを理解して運用を検討しようとしても、中々難しい部分もあるかと思います。
ここでもまずは「一般論」としてITシステムやクラウドサービスの基礎知識を理解したうえで、「個別論」としてシステム部署や外部ベンダーと連携し具体的に自社のITシステムに対する理解を深め、施策の検討を進めるのが良いかと思います。
「一般論」としては、基本情報技術者試験やクラウド系の資格(AWS Certified等)の勉強をすることでITシステム・クラウドに関する基礎的な概念や知識、用語はカバーできるかと思います。
もちろんオンライン講座や書籍も充実していますので、そちらを学習されてもいいかと思います。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。
AI活用のために知っておきたいコトとして4点紹介しましたが、本業をこなしながら全てやりきるのはなかなか大変かと思います。
その際には業務で必要な部分に絞って、時間が許す限り、かつ興味のある部分から、少しずつ理解を深めて行ってみてください♪
この記事がビジネスサイドからAIを活用したいと考えている方々にとって少しでも参考になれば幸いです。
それではまた機会があれば「ビジネス実装上のポイント」編、「マインドセット」編でお会いしましょう!
Japan Digital Design
瀨尾 卓也
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