見出し画像

【物語3】初顔合わせ

「ミラ! ここが校舎だよ」
校門をくぐってから一目散に東へ走って校舎に辿り着いた。
「うわっ~!素敵。やっとこの校舎に来れたわ」
ミラも目の前に立つ異世界風の校舎を一目で気に入ったみたい。

校舎に入るとウェルカムポ-チに生徒の写真が飾られており
ここで顔認証(正確にはスキル認証)が自動的に行われる。
これにクリアしないと中には入れない。
僕たちの写真はきっと昨日チ-ム選定が終わった後に
ここに掲げられたのだろう。
現在写真は17枚。この校舎の生徒は「17名」だということだ。
任務には機密事項もたくさんあり、守秘義務遵守は絶対条件。
これを破ると即、任務が解除されしばらく指令が貰えない。

正面に広がる大回廊を通り、中央にある螺旋階段を上がって
僕とミラは目的の場所、4人の教室「Room108」に向かう。
途中、僕がわかる範囲でミラに校内の説明をしてあげた。

今回初任務のミラは来る途中ずっと不安いっぱいで、とても緊張していた。
でも今はただでさえクルクル忙しく回る大きな目をさらに見開き
この校舎の魅力を十二分に楽しんでいる。

「セス!素敵だわ。普段の校舎とまるで違う。なんて素敵なの!」

魔法学校のようなこの校舎はノスタルジックで異世界空間そのもの。
緊張と不安の連続となる10日間を少しでもリラックスした気持ち
で過ごせるようにとの学長のアイデアらしい。

教室に入るとアミが窓際に立って外を眺めていた。
スラッと背の高い整った顔立ちのアミは人懐っこく微笑んできた。
「おはよう。確か、セスとミラよね?私はアミ。よろしくね」

年上のアミから声をかけてくれたおかげで、僕たちの緊張はほぐれた。
「おはようございます。アミ先輩」
「今日からお願いします。アミ先輩」
それぞれ挨拶を済ませて席に着こうとすると、アミがこう言ってきた。
「先輩はやめましょう!チ-ムなんだからアミでいいよ」
また一気に気が楽になった。この人なら一緒にやっていける。
授業時間ギリギリにもう一人のメンバ-が駆け込んできた。
「やばっ💦あと1分で初日から遅刻だった~~💦セ-フ」
ダイははぁはぁと息を切らしながら席に着いた。
「おう!アミ、おはよ。」
「やっぱりギリギリのご出勤ね。あと5分早く家を出れないわけ?」
「その5分が俺には作れないんだよな~」
アミたちが話をしているている間、僕たちはじっと彼ら見つめていた。
挨拶のタイミングを見計らっていたのだ。するとアミが
「セスとミラよ。こっちがダイ。遅刻常習犯のね…笑」
それぞれを紹介してくれて僕らはペコリと頭だけ下げた。
「おう!おチビさんたち。よろしくな!ダイって呼んでくれ」
「はい。よろしくお願いします」
「不束者ですがよろしくお願いします」
ミラの"不束者"という古い言葉選びにダイとアミは大笑い。
また一気にその場が和んだ。僕は心の中でミラにありがとうとつぶやく…。

明るくてエネルギッシュな兄貴肌のダイ
綺麗で優しい魅力的なお姉さんアミ
臆病だけど周りを常に和ませてくれるミラ
そして…真面目で正義感が強い優等生の僕  (笑)

これが僕たちチ-ムメンバーだ。
今から4人で大きな任務をこなしていくうちに、もっともっと色んな面が
見えてくるんだろうなぁ。

あっ!先生がきた。。。。
                              (続く)





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?