【インタビュー】オライオン・ワイス
多数のソリストと定期的に共演しており、アメリカでも室内楽奏者として注目を集めているワイスが、室内楽の楽しみを存分に語ってくれました。
室内楽を好まれると聞ききました。室内楽のどのような点が魅力的だと思いますか?
室内楽は大好きです。その過程のすべてが大好きなのです。リハーサルをして、話し合い、アイデアを共有して、音楽的経験を通して友情を築き上げることが好きです。本番は特に大好きです!音楽の友人達と舞台で、魔法の中で音楽を分かちあうわくわくした感じは、何にも代えがたい喜びです。
これまで印象的だった共演について教えていただけますか?
すばらしい共演の喜びに満ちた思い出がとてもたくさんあります。お気に入りのリストアップを始めることすら難しいくらいです。でもひとつだけ選ぶとしたら、メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」でヨーヨー・マと共演したことは、これまでで最も刺激的な経験でした。彼はとても寛容で想像力があり創造的でした。彼と一緒に演奏し、音楽について話し合えたことはぞくぞくする体験でした。
今、どのような活動に力を入れていますか?
私の活動は様々な刺激的な仕事に満ちています。私はレコーディングが大好きですが、今年新しいソロCDが出ます。タイトルは「アークIII」と言って、3部作のレコーディングの最後になるものです。それからドビュッシーの「12の練習曲」の録音も最近終えたところなので、そのCDの編集作業も行っています。協奏曲の演奏も好きです。今年、とても楽しかったのは、マイケル・ティルソン・トーマスが指揮したワシントン・ナショナル交響楽団とシカゴ交響楽団との共演です。来年はいくつかのソロ・リサイタルでブラームスとバッハのゴルトベルク変奏曲を弾くのを楽しみにしています!また私は、弦楽四重奏団、歌手、クラリネット奏者、ヴァイオリニスト、チェリスト等の様々な素晴らしいリサイタル・パートナーと室内楽を行っています。私は自分の活動の多様性がとても気に入っています。そのひとつひとつが別の活動をするときの助けになっています。たとえば、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを演奏することは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の解釈の助けになりますし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの演奏はベートーヴェンの三重奏曲で助けになるのです!
今回の日本ツアーで演奏していただくブラームスのヴァイオリン・ソナタの魅力はどのようなところにあると思いますか?
ブラームスの3つのヴァイオリン・ソナタはヴァイオリンとピアノの最高傑作に数えられます。ひとつひとつが独自の世界を持っています。並べて聴くと、3曲全体でブラームスの人生の全体像を作り上げています。3曲を聴くとまるで季節の移り変わる一年を通した旅のようです。ソナタ第1番は私には春のように聞こえます。厳密に言うと春のブラームス版ですね!第2番は暖かい夏の音楽で秋へと導いていきます。そして3番は冬の嵐のようです!
諏訪内晶子さんとのブラームスは、どのようなものになりそうですか?
晶子は本当にすばらしく、熱情的でダイナミックな音楽家です。演奏はきっと非常に思いのこもった胸を躍らせるものになるでしょう。待ちきれません。そして私たちは毎回違う演奏をするだろうと確信しています。私たちは常に探し求め努力し続けるのです!
ところで、諏訪内晶子さんとの出会いはどのようなものだったのでしょうか。
私たちには共通の友人がたくさんいて、互いにずっと共演したいと思っていました。今回のコンサートは二人の初共演になります!
初来日はいつですか?
2007年にヴァイオリニストのジョセフ・リンとのリサイタル・ツアーで初来日しました。再び日本に行くことができわくわくしています。ずいぶんと久しぶりになります。
日本の印象を教えてください。
私は日本の文化、食べ物、芸術、それから特に映画が大大大好きです。若い時には日本のホラー映画が本当に好きでしたが、今は小津安二郎や溝口健二のような静かなドラマや古い映画が好きです。黒澤明と黒沢清も大好き!宮崎駿の映画も全部、子供と一緒に見ています。日本滞在中は、とても嬉しくて、たくさん食べて、きれいな所をたくさん見て、親切で温かいたくさんの人々と出会い、そしてクラシック音楽に対する情熱に圧倒されました。それが一番うれしかったです。
日本で楽しみにしていることはありますか?
今回のツアーではこの国をもっと深く知ることができるのでわくわくしています。たくさんの素晴らしいホールで演奏し、ブラームスの天才さに深く潜り込み、私たちの解釈を聴衆のみなさんと共有することが楽しみです。
日本のファンのみなさんへメッセージをお願いします。
皆さんと会えること、日本でご一緒できることを心から楽しみにしています!皆さんの美しい国と申し分のないコンサート・ホールに私を迎えてくれてありがとうございます。私は日本語を話しませんが、私たちは音楽を通して伝えつながることができます。音楽は奇跡なのですから、私たちは互いに完全にわかり合うことでしょう。
取材:ジャパン・アーツ
《公演情報》
稀代のヴィルトゥオーゾで聴く、透徹のブラームス
諏訪内晶子&オライオン・ワイス デュオ・リサイタル
2024年9月8日(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
2024年9月12日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
出演:諏訪内晶子(ヴァイオリン)、オライオン・ワイス(ピアノ)
[全国公演日程]
9月6日(金) 愛知県芸術劇場コンサートホール
9月7日(土)大垣市スイトピアセンター
9月8日(日) ミューザ川崎シンフォニーホール
9月12日(木) 東京オペラシティ コンサートホール
9月14日(土) ザ・シンフォニーホール
9月15日(日) 西条市総合文化会館
⇒ 諏訪内晶子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/akikosuwanai/
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