藍原淡海

あの冬の日、17時半に見えた空の色。

藍原淡海

あの冬の日、17時半に見えた空の色。

最近の記事

量産型フラミンゴの悲恋的ジレンマ

揃いの指輪を買ってくれた。 このフラミンゴは表向きでは 永遠に見つめ合うことはできず どちらかが裏返しになるか どちらかが上下逆さまになることで 初めて見つめ合うことができる そしてこの数時間後、片方のフラミンゴは千切れ落ちる。 〜旅行中の某日、はしゃぎまくりインスタストーリーより〜 ……そんなことを真剣に語り合った、賑やかな商店街でのワンシーンを思い出しながら描きました。 ラブストーリーの原石はどこにでも転がっているものですね。 千切れ落ちた友人のフラミンゴへ。元

    • 春の箱船

      諸行無常、盛者必衰、ゆく川の流れは絶えず、元の水であることはない。 全ては新陳代謝を繰り返す。と同時に、この世界は新陳代謝と循環を同時に行っているとも言えるだろう。 古びたもの、汚いもの、要らなくなったものはやがて土に還り、美しい花を咲かせ、いつか別の生命を成す。 (還らないものだって沢山あるが、今は見ないふりをさせて頂き) それにしても、土に還る、って発想。 便利すぎるし、コスパが良すぎやしないか。 困ったときは何でもかんでも「土に還る」で片が付く。私も、貴方も、

      • 昔々、赤いずきんを捨てた少女は

        誰にも見つけられずにひっそりと生きているひとの絶望を、ランプの温かい光で照らしたい、という思いがある。 * 今朝のこと、とりとめもなく童話『赤ずきん』の結末、そしてその後について思いを巡らせていた。 数年後、成長した赤ずきんは、自分とおばあちゃんとの命と引き替えに殺された狼のことをどう思うだろう。そして、もし殺された狼に家族がいたとしたら、彼らはその後どんな風に生きたのだろう。 『赤ずきん』の数年後、成長した赤ずきんと殺された狼の息子が出会う、物語を想像していた。

        • 明けない夜のオムニバス

          いつまでも明けない夜に立ち尽くすひとへ。 ──昔々、 * 「ごめんね、きみがこわくて、ごめんね」 どんな姿をしたきみでも抱き締めて愛を誓えるような、強く美しいお姫様になりたかった。 寂しいけれど、私の出番はここまで。でもね、 「泣きたくなるほど心優しいきみには、ハッピーエンドが待っている」 おとぎのくにはきっと、そういうふうにできているから。 絶望にはもう慣れたつもりなんだけど、 * 誰も悪くないことを知っている。だから弱虫なおとなはもう、ただ、笑うことし

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