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ソムリエ・ワインエキスパート試験【#10 ワイン概論②】ブドウとは/分類

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

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はじめに

こんにちは。ワインエキスパートのワインチャンです。

今回はワイン概論の2回目です。そもそも果実としてのブドウとは何なのか、定義についてお話していきます。

※ 台本投稿遅れてしまい申し訳ございません ※

 ブドウの種類

ブドウとは、生物分類学でバラ類、ブドウ目、ブドウ科、ブドウ属に属しており、冬季落葉のつる性植物のことです。ブドウ属(Vitis)に多くのブドウ種が含まれており、有名な物にヨーロッパ・中東系のヴィティス・ヴィニフェラ北米原産のヴィティス・ラブルスカやヴィティス・リパリア、ヴィティス・ルペストリス、ヴィティス・ベルランディエリ、また東アジア原産のヴィティス・アムレンシスヴィティス・コワニティなどがあります。

 それぞれ原産地ごとに説明していきます。

①ヨーロッパ・中東系

ヨーロッパ・中東系のヴィティス・ヴィニフェラ、「ワインを造るブドウ」を意味します。ヴィニフェラは最もワイン醸造に適したブドウ種といわれており、ワイン発祥の地でもあるジョージア付近、カスピ海沿岸から中近東が原産とされています。世界中でワイン用に利用されるブドウのほとんどがヴィニフェラに属しており、その数は1000品種以上。現在栽培されているのはそのなかの数百種で、実際にワインとして醸造されているブドウは100種類程度といわれています。栽培環境としては乾燥した気候を好み、雨が多い気候や病気への耐性、特にフィロキセラへの耐性をほとんどもちません。品種としてはシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンなどが代表的です。

②北米系

次に北米原産のヴィティス・ラブルスカ、リパリア、ルペストリス、ベルランディエリです。ヴィニフェラ種と比較して、湿った気候に適応しており、病気への耐性も高いです。

特にリパリア、ルペストリス、ベルランディエリの3種について、フランスのジュール・エミール・プランション博士によって根に強いフィロキセラ耐性があるということが、発見されています。現在でもこれらのブドウ種を台木としてヴィニフェラを接ぎ木することで、フィロキセラの被害を抑えるという対策が取られています。リパリア、ルペストリス、ベルランディエリ、それぞれにメリットデメリットが存在するため、交配および交雑によって、その台木としての特性向上が図られています。

リパリア×リパリア、のように同じ種を掛け合わせることを交配 Crossing、リパリア×ルペストリス、のように異なる種を掛け合わせることを交雑hybridizationと呼んでいます。最近ではヴィニフェラとの接ぎ木の成功率を上げるために「台木×台木の交雑」に限らず「台木×ヴィニフェラの交雑」、(例 ルペストリス×ヴィニフェラ)のような交雑台木も使われています。

もう1つの北米原産ヴィティス・ラブルスカは「フォクシー・フレイバー」と呼ばれる、特徴的な甘い香りや風味を持っていることで知られています。生食用に使われることが多いですがワインも造られています。品種はコンコードやナイアガラ、またラブルスカ×ヴィニフェラの交雑によって生まれたデラウェアや巨峰、マスカットベーリーAなどがあります。

③東アジア系

東アジア原産のヴィティス・アムレンシスヴィティス・コワニティは、日本で自生している野生ブドウのことです。特にコワニティ種はヤマブドウとしてかなりの種類が確認されています。

④その他

他にも東洋系品種として日本固有の土着品種や、中国原産の品種も存在しています。日本の代表的な白ブドウの甲州は基本的にはヴィニフェラに分類されますが、ヴィニフェラのDNAに中国のヴィティス・ダヴィディという野生種のDNAが3割ほど含まれていることも明らかになっています。カスピ海の沿岸で生まれたヴィニフェラが中国を渡るとともに、何百年、何千年と時間かけて交雑を行いながら、日本に伝わったのではないかとされています。

 ブドウの品種

ここからは、一般的なブドウ品種についてのお話に入っていきます。参考はOIV:国際ブドウ・ワイン機構の文献です。

そもそも、ブドウは、世界で一体どのくらい造られているのでしょうか。生食用・加工用・醸造用いろいろな用途がありますが、それらをすべて合わせた世界のブドウ栽培面積は、およそ740万haといわれています。どのくらいの広さか全くピンときませんが、北海道の面積が830万ha程度なので、世界のブドウ栽培面積は北海道程度(離島を除いた面積と同じ程度)いうことになります。醸造用に限っては450万ha程度と北海道の半分よりも少し多い位です。つまり世界のブドウ栽培面積のうち、生食用以上にワイン醸造用ブドウが作られているのです。

ブドウ生産量の世界一は中国ですが、そのほとんどは生食用です。

醸造用のぶどう栽培面積の多い国は、スペイン、フランス、イタリアです。スペインはEUのおよそ30%ものブドウ畑を有しています。ワインの輸出量も、スペインが世界一ですが、ワインの生産量ベースでみると、第7回配信の通り、イタリア、フランスに次ぐ、第3位に位置していましたね。

【醸造用ブドウ栽培面積】
1. スペイン 2. フランス 3. イタリア
【ワイン生産量】
1. フランス
 2. イタリア 3. スペイン

それでは、世界で栽培されているブドウ品種のうち、何が一番作られているのでしょうか。生食用・醸造用、用途によらず、最も多く栽培されているのは、生食用の黒ブドウ、巨峰です。主に中国で造られています。次いで赤ワイン用のカベルネ・ソーヴィニョン、第3位に加工用、よく乾燥ブドウ(レーズン)として親しまれているサルタナ、トンプソン・シードレスという白ブドウが続きます。4位にメルロ(黒)、5位にアイレン(白)、6位にテンプラニーリョ(黒)が続きます。

ワイン用ブドウに限って続けると、シャルドネ(白)、シラー(黒)、グルナッシュ(黒)、ソーヴィニョン・ブラン(白)、ピノ・ノワール(黒)となっています。

【醸造用ブドウ栽培面積】
1. スペイン 2. フランス 3. イタリア
⇒ このスペインの主要品種が、アイレン(白)とテンプラニーリョ(黒)

おわりに

以上、今回はブドウについて、ブドウの生物学分類上のタイプ分けから、栽培量や品種についてお話ししてきました。ソムリエ試験的には、品種の順位を覚える必要はありませんが、内容は理解しておくと繋がる点も見えてくるかもしれません!

次回は、栽培条件や生育サイクルについてお話していきます。

 それではこれからも、こつこつ一緒に頑張っていきましょう。
おつかれさまです!

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

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