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ソムリエ・ワインエキスパート試験【#8 ワインの歴史①】紀元前

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

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はじめに

こんにちは。ワインエキスパートのワインチャンです。

今回から2回に分けてワインの歴史についてお話していきます。早いですがちょっと寄り道です。ソムリエ教本のワイン概論の章のお話ではありませんが、ただ試験に出題される可能性はあるような内容をピックアップしています。確実に、効果的な寄り道なのでご安心ください!

参考書でも対策講座でも、歴史という側面から章立てをしてお話をするということはなかなかないのかな、と思います。ただし各国の単元では少しずつ歴史の話が出てくるんですよね。ただ、その繋がり、普通に勉強していると国や時代の繋がり、前後関係が全く見えてきません。点と点がつながるような整理された流れがあったらいいのになあと思っていました、なので軽くですが、今この時期にまとめてお話しをしておきます。

 全体像が見えていることで、点と点がつながりやすくなります、つなぎやすいですし気づいた時には暗記もできています。今この時点で歴史の全体像に触れておくメリットはそこにあります。いろいろな角度から点の数を増やしていくお話をしていきます。ぜひ、なんとなく聞いたことがある気がする、その感覚を増やしていきましょう!

それでは始めます!

ワインの歴史(紀元前)

BC6000から始まりますよ~!

今から8000年前、紀元前6000年頃にメソポタミアのシュメール人によって現在のジョージア(グルジア)という国の辺りで、始めてワインが造られたとされています。世界最古のワイン醸造の痕跡が見つかったとして、2017年11月、ジョージアがワイン発祥の地として正式に認められました。

アメリカのジョージア州とは異なります!

ワイン造りに加え、ワイン用ブドウヴィティス・ヴィニフェラもジョージア付近、カスピ海沿岸から中近東が原産とされています。また現在ジョージアといえばクヴェヴリ醸造のオレンジワインが有名です。クヴェヴリとは素焼きの壺のことで、その前身となる粘土製の壺は、ワイン造りが始まった当初から使われていました。現在のクヴェヴリの形状になったのは紀元前7C頃。クヴェヴリを用いた、ジョージアの伝統的な醸造法は、2013年にユネスコの「無形文化遺産」として世界遺産に登録されます。特徴的なのは白ワインにおいても果皮や種と一緒に、赤ワインのように醸造されるため、出来上がった白ワインにはタンニンや複雑性があります。またオレンジ色を帯びた色調に仕上がります。これがオレンジワインの原点であり、地元ジョージアでは「アンバーワイン」と呼ばれて親しまれています。

ギリシャにおいてもワイン造りの歴史は長いです。

紀元前4000年代後半にはギリシャの東マケドニア、ピリッポイというところでブドウ栽培とワイン造りが行われていました。紀元前3000年代には、交易の拠点だったクレタ島やサントリーニ島(エーゲ海)などでワインが取引されていました。紀元前2000年以降、クレタ島にミノア文明(青銅器文明)が起こり、その時代に使われていたとされる世界最古のワイン用圧搾機や容器は現在でも出土しています。

ちなみにクレタ島は地中海で5番目に大きな島です!大きい順に
シチリア島 ⇒ サルデーニャ島 ⇒ キプロス島 ⇒ コルシカ島 ⇒ クレタ島

同じ時代、紀元前2000年以降にはサントリーニ島にキクラディック文明という文明が栄え、もちろんワインは交易品でした。ただしここで、火山の噴火も起こります。サントリーニ島は特異的なカルデラ地形(三日月形)をしていますが、その地形はこの紀元前1700年頃に生まれたとされています。

サントリーニ島には火山があって、確実に火山性土壌ですね!

サントリーニ島@エーゲ海 綺麗!

そのまた同じ時代、紀元前2000年前後あたりから、イタリアでも、原始的なワイン造りが行われていました。ただし、本格的にブドウ栽培、醸造技術が広められたのは紀元前8世紀ころ、ギリシャ人とエトルリア人によるものと言われています。

スペインにブドウ栽培が伝わったのは紀元前1100年頃、現在のスペインの最もに位置する州、アンダルシア州西部、大西洋岸のカディスという街に、フェニキア人によって伝えられました。アンダルシア州ではこの頃から文明が栄え、紀元前700年頃にはこのカディス近郊へレスという町でもワイン造りが行われていた遺跡が見つかっています。

この「へレス」酒精強化ワインで有名な「シェリー」のスペイン語読みになります。ちなみにフランス語では「ケレス」、英語では「シェリー
シェリーは、都市へレスのイスラム教徒支配下当時の呼び方、シェリシュから来ているようです。

紀元前600年頃には、お隣ポルトガルでもワイン造りの歴史が始まります。スペインのカディスにブドウ栽培を伝えたのと同じフェニキア人がワイン造りを始めたといわれています。 

時を同じくして紀元前600年頃、ついにフランスにブドウ栽培がもたらされます。古代ギリシャ人の一民族であるフォカイア人が、地中海沿岸、現在のプロヴァンス地方のマルセイユを植民市とし、ブドウを持ち込んだことから始まりました。その後、古代ローマ人によってブドウやワイン造りは徐々に北へ広がり、紀元前1世紀頃にはローヌ地方、4世紀頃までにはシャンパーニュ地方まで広がったといわれています。

あと少し!

 最後に、ドイツ・オーストリアです。

オーストリアではフランスにブドウ栽培が伝わる少し前の紀元前700年頃に、ケルト人によってブドウ栽培がおこなわれていた痕跡が残っているようです。その後の紀元前5世紀~4 世紀にかけてドイツのワインの歴史が始まります。当時のライン川、モーゼル川周辺はオーストリア同様ケルト人が支配していました。ケルト人の貴族が地中海産のワインを輸入していたこともエトルリア様式のアンフォラの出土などから明らかになっています。

エトルリア人は紀元前8世紀頃に、イタリア@地中海でブドウ栽培や醸造技術を広めた民族でしたね!

おわりに

以上、おおまかに紀元前の歴史、紀元前6000年頃のジョージアでのワイン造りからの広がりについてお話をしてきました。一般的に、この時点で登場するような数千年オーダーでのワイン造りの歴史を有する国々がオールドワールド、伝統国と呼ばれているのではないでしょうか。

一方ニューワールド、例えばアメリカやオーストラリアは時期を同じくして数百年前、18世紀以降にワイン造りの歴史が始まります。そう考えると、つい最近に感じられるのかもしれませんね。

次回は紀元元年以降の歴史、ワイン造りの流れについてお話していきます。

それではこれからも、こつこつ一緒に頑張っていきましょう。
おつかれさまでした!

※この記事は「ワインチャンのワインラジオ」の台本です。「台本のみ」、「音声のみ」の内容もありますのでご了承ください。本編が気になる方は、ぜひstand.fmにて、下記ラジオをご清聴くださいませ。

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