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30年日本史00029【旧石器】鎌田と梶原の反応

 ホテルにやって来た鎌田理事長に、山田キャップは事の次第を説明しました。
 藤村が言います。
藤村「俺もうダメだ。上高森の埋納遺構、自分で埋めちゃった」
鎌田「どこの埋納遺構よ?」
藤村「今年の分全て」
鎌田「いや、そりゃねえな。被害妄想になってるかもしれねえな」
 鎌田は、藤村の精神状態が不安定だと述べ、「自己暗示にかかっているんだよ」と藤村を弁護し始めました。
 取材班が鎌田に90秒の映像を見せると、鎌田は衝撃を受けたらしく、
「これはしようがないね。ああ、これはどうしようもないな。残念だな。全部チャラだ」
と言い始めました。
「破門してけろ」という藤村に、鎌田は言い返します。
「こんなことのためにお前の業績チャラかよ。これが出れば、俺たちの仕事は全部チャラだ。原因はプレッシャーだろう。俺たちの目は節穴だったということになる」
 そこに、さらに呼ばれた梶原教授が駆けつけてきました。梶原教授も90秒の映像を見せられて、「うーん。信じられない」とうなりました。
 鎌田が言います。
「残念なのは、この一例か二例のために、これまでの世界的な大発見がチャラになることだ。埋納遺構7なんて何の価値もない。あれ一つで他の10個がチャラになるなんてな」
 鎌田は、藤村の捏造が埋納遺構7だけだと思っているようです。ここで取材班が、90秒のダイジェスト版でなく遺跡に来てから立ち去るまでの12分間の映像を全て見せると、鎌田はうーんとうなって、「今年の埋納遺構6個、全部ダメか」と藤村に尋ねました。藤村の埋め方があまりに手慣れているのを見て、「これは他にも埋めているな……」と感じ取ったのでしょう。藤村は「全部じゃないかな」と答えます。
 さらに山田キャップが「なぜ総進不動坂でもやる必要があったのか」と尋ねると、鎌田と梶原はギョッとしました。「他の遺跡でもやっていたのか」と驚いたのです。
 鎌田は、「ここはごめんなさい、ここは間違いないと、天地神明に誓って言うしかない」と藤村を促し、埋めたものを全部白状するよう促しました。藤村は、ポツリポツリと「瓢箪穴(岩手県岩泉町)はまとも。一斗内松葉山(いっとうちまつばやま:福島県二本松市)もそうです。総進不動坂は今年のは(埋めたものが)ある。長尾根、小鹿坂は正しい。上高森は、今年の分はダメ」と話し始め、23時50分に取材を終了しました。
 しかし、結局藤村が認めたのは上高森と総進不動坂の2遺跡のみ、しかも今年の分だけでした。藤村は取材班が現に目撃した2ヶ所の捏造だけを認め、真実を話さなかったのです。

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