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30年日本史00901【南北朝最初期】南北朝最初期概観

 今回から南北朝時代が始まります。
 南北朝時代は語るべきことが多いので、まずは延元元(1336)年12月21日の南朝成立から延元4(1339)年8月16日の後醍醐天皇崩御までを「南北朝最初期」として取り上げます。たった3年間ではありますが、「太平記」で取り上げられる有名な戦闘、有名なエピソードの多い時代といえるでしょう。
 この時代を語る上で、引き続き「太平記」を主たる参考文献とします。「太平記」はあくまで物語であって、決して史実をそのまま伝える文献ではないのですが、登場人物が最も躍動感をもって生き生きと動くのは「太平記」です。あくまでも人物の面白味に着目して歴史を語るのが本稿の目的ですので、多少は史実から離れても仕方ないでしょう。とはいえ、史実とかけ離れている部分については注釈を入れていくことにしたいと思います。
 さて、南北朝時代に在位した天皇を即位順に挙げていきましょう。
・南朝初代(第96代)後醍醐(ごだいご): 在位1318~1339
・北朝初代光厳(こうごん): 在位1331~1336
・北朝2代光明(こうみょう): 在位1336~1348
・南朝2代(第97代)後村上(ごむらかみ): 在位1339~1368
・北朝3代崇光(すこう): 在位1348~1351
・北朝4代後光厳(ごこうごん): 在位1352~1371
・南朝3代(第98代)長慶(ちょうけい): 在位1368~1383
・北朝5代後円融(ごえんゆう): 在位1371~1382
・北朝6代(第100代)後小松(ごこまつ): 在位1382~1412
・南朝4代(第99代)後亀山(ごかめやま): 在位1383~1392
 第100代の後小松天皇が1382年に即位しているのに、第99代の後亀山天皇がその翌年の1383年に即位しています。この逆転現象がなぜ起きたのかは、だいぶ後で(南北朝最末期の章で)解説することになると思います。
 詳しくは後述しますが、日本政府の見解では南朝が正統な政府ということになっています。南朝の方が圧倒的に人数も少なく占領地域も狭く、不利な状況だというのに、何だか不思議な気がしますが、明治天皇の決定ですから仕方ありません。
 よって、北朝の天皇は歴代天皇には含まれませんし、北朝が定めた元号も否定され、長らく使われずにいました。本稿では便宜上、南朝・北朝それぞれが定めた元号を両方示しながら、「延元元/建武3(1336)年」というふうに記載していきます。(南朝/北朝の順です)

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