晴紀

詩と絵本と、映画がすきです。 たまに、エッセイを書きます。 児童精神科、

晴紀

詩と絵本と、映画がすきです。 たまに、エッセイを書きます。 児童精神科、

最近の記事

ラブソファに、ひとり

“なぜか、ふたりがけだけが、ラブソファなのだ。 ひとりにも、三人にも愛はつかないのに、ふたりなら自動的に愛になる。” 「だってさ、あんな若造りしたおじさんがさ、カッコつけたスーツとか着てさ、 愛だのセックスだの語ってるんだよ、女の人になってみたり、イケイケな若い人のフリとかしてさ。 そんなのが好きなわけ。」 以前、大人の病棟に居たとき、高校生の女の子に、石田衣良がすき、と言ったら、言われた台詞だ。 捻くれ者の、人嫌いの猫のような子であった。 誰かに、自分に気づいて欲

    • 魂のいちばんおいしいところ

      “そうしてあなたは 自分でも気づかずに  あなたの魂のいちばんおいしいところを 私にくれた” 夜、眠りにつく前には、詩を読むことにしている。 たまに絵本だったり、エッセイや小説なこともあるけれど。 一篇二篇、ゆっくり読むと、 外に向けて張っていた気が、すっと緩んで、 からだの中が、じんわりあたたかくなって、 息がゆっくり出来るような感じがするのだ。 色んな詩人がいるけれど、 特に谷川俊太郎の人間くささが、愛おしくて、何より好きなのである。 彼の詩集の何冊かが、寝る前

      • マイ•ブルーベリー•ナイツ

        “何がいけないの?” “理由なんて何も。パイのせいじゃなく注文がない。選ばれないだけ。” “マイ•ブルーベリー•ナイツ”という映画の中で、 何故かカフェでブルーベリーパイだけ殆ど手付かずで売れ残る、という話の中での台詞だ。 この映画を観た後、1週間はずっと、 ノラジョーンズの“The Story”を聴いていたと思う。 ウォンカーウァイという監督が好きだ。 内容はどれも、どこか残酷で、救いがないように思うのに、 描き方がポップで奇妙で、ロマンチックなのも、 登場人物

        • 夜間飛行

          “愛されようとするには、同情さえしたらいいのだ” ふらふらの頭のまま、部屋の本棚に置いてあった本をテキトーに引き抜いて勢いのままに開いたら、ページの初めに書いてあった。 サン=テグジュペリの『夜間飛行』、いつ買ったんだったか、最後に読んだのはいつだったか。 頭がふらふらするのは気圧のせいか、貧血なのか、微熱からかよくわからないけれど、 とにかく、走り続けていたら急に熱がでて、 原因も不明だけど、数日休まなくてはいけなくなった。非常に不本意である。 あの子たちの顔をみる

        ラブソファに、ひとり