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Helvetica® Now: An Interview / 日本語訳

当記事はWebメディア「Medium」の「Helvetica® Now: An Interview」を日本語訳した記事です。
個人で書いたものであり、広告や依頼などではないことをご承知ください。
This is a translated article of "Helvetica® Now: An Interview" published in web media "Medium".
Please know this article is a personal work, not related to ads and requests.


Helvetica® Now、 Monotype社によってデザインされたこの秀逸で新しいフォントは2019年でMyFont(Monotype社が運営するフォント販売サイト)で一番売れたフォントになりました。我々はこのフォントをより理解する為にHelvetica® Nowを作られたデザイナーにインタビューをしました!


このフォントをデザインする時、
どんなところからインスピレーションを受けましたか?
このフォントは、特定の事例や顧客を想定してデザインしましたか?
それとも、あなたの造形的なビジョンを元にデザインしましたか?
それかどちらもですか?

まず、Helvetica® Now はMonotype社の8人のデザイナーと沢山の人によって作られたもので、私は様々な人や場所からインスピレーションは受けたわけです。
だけど私がこのプロジェクトに手をつけた時に、一つの疑問がありました。
「なんで Helvetica Neue じゃダメなの?」と。

この疑問には3つの回答があります。
1つめ、
Helvetica Neue がデジタル化されてから35年も経っていて、しかも当時は様々な問題がありました。当時はインターネットがありません、メールもありません、なので Helvetica Neue を必要としていた人に届けるのにとても苦労していました。
2つめ、
Helvetica Neue は一つのマスターから作られていた為、小さいサイズの文字も大きいサイズの文字も同じ形からできていました。
これは最初の答えと関係がありますが、 最新のデバイスやスクリーンなどで表示される小さいサイズの Helvetica Neue は良く見えないのです。
3つめ、
Helvetica は出てきた当初から、モダニズムと、普遍的な造形の象徴として、成熟しきっていたのです。
そして今では、ポストモダニズム書体として認識され始めています。
なので、この書体本来の性質を取り戻す為には、アップデートするちょうど良い時期だったのです。

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この書体のデザインプロセスの話をお聞かせください。
この書体のデザインにおいて、他の仕事と違う点はありましたか?
他の仕事よりも簡単でしたか?
それともこれは特別な挑戦でしたか?

Helvetica のような史上最も偉大な書体の制作に取り掛かる時、まず「どうすれば間違えずにできるだろうか」という事を考えます。

過去の Helvetica の成果物を省みた時、造形ではなく文字のスペーシングによって、とても読みやすい読み物が作られていたことがわかりました。
我々はこのスペーシングについて研究したのです。
そして、当時の理論を解き明かし、復元し、改善することを試みました。

しかし当時、Helvetica は小さいサイズでは使われてきませんでした。
なので、今持っている知識を超えて「小さいサイズではどういう振る舞いをするだろうか」ということを想像する必要があったのです。
iPhoneなどの最新のスクリーンでは、いかなる印刷物よりも、遥かに高解像度で映し出します。
なので我々の、小さいサイズの文字で行った様々なデザインは、iPhoneなどのデバイスの為に行っていた、ということです。

4, 5ポイント、テキスト用の8, 9, 10, 11, 12ポイントの文字とそれ以降(13ポイント以降)の文字は、表示されるスクリーンによって形が変化します。
我々が Helvetica Now で作ったのは、今までの Helvetica とは全く違って見えるようになるポテンシャルなのです。

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今後、あなたをワクワクさせるような新しいプロジェクト行われますか?

Monotype社の倉庫には、みんながワクワクするような、沢山の歴史ある書体が保管されていて、そのいくつかは今丁度取り組んでいるところです。
ぜひご期待ください!


本記事をお読みいただきありがとうございます。
ここからは筆者の感想です。
印刷時代の書体として圧倒的な力を持っていたHelvetica Neueもついに世代交代の波が来たか、お疲れ様、という感じです。
美大生として、「とりあえずHelvetica使っとけ」みたいな風潮が嫌で、忌み嫌っていましたが、世代交代するとなるとちょっと寂しいですね。
本記事で 「そして今では、ポストモダニズム書体として認識され始めています。」という発言には、驚きがありました。
普遍的なモダニズムタイプフェイスとしての力があった Helvetica Neue も時代によって違う価値観の書体として認識されるのは、とても興味深い現象です。
Monotype社の次なるクラシックフォントのリデザインが楽しみですね。
それではこれにて。
著者は、この記事がおそらく初の翻訳になります。
その為、文章が稚拙に感じられたり、原本とニュアンスが異なるかと思いますが、ご容赦ください。
また、有識者の方がいらっしゃいましたら、それらについてアドバイスなどをいただけたら幸いです。

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