マトリックスレザレクションズのあらすじ(+解説)
148分のあらすじをシンプルな形式でまとめたノートです。
あらすじ部分は主語で始めているので、ささっと読みやすいと思います。
▼起(ネオの苦痛な日常と精神異常):
●台詞で説明された事象:ネオは現在ではトーマス・アンダーソンと名乗っている。彼が務める会社の名前は《ゼウス・マキナ》で親会社はワーナー・ブラザース。マトリックス過去三部作はネオがゼウス・マキナで20年前に開発したゲーム。会社の経営者は《スミス》のモデルで、ティファニーは《トリニティ》のモデル。ネオはかつて飛び降り自殺を図って失敗し、現在はセラピーに通って精神安定剤に頼る日々。
●音楽:BGMはジェファーソン・エアプレーンの楽曲『White Rabbit』=ドラッグ依存症になった人が現実と幻覚の区別がつかなくなりながら、白ウサギを追いかけて穴に落ちて不思議の国のアリスに会いにいく、みたいな歌詞。
▼承(ネオはマトリックスから再び脱出する):
●ムネモシュネ(Mnemosyne):バッグスの船の名前。ギリシア神話に登場する記憶を神格化した女神の名前でもある。
●クリブ(The Crib):cribとはもともと「何かを無許可でコピーする」という意味の動詞。盗用またはカンニングペーパーという意味もある。マトリックスの外に出た人類がマトリックスをコピーして作った仮想世界だから、この名前が付けられたと考えられる。
●コールドブート(cold boot):コンピューター用語で電源が完全に切れた状態から起動すること。おそらく本作ではクリブを起動すること指す。(→生身だとこのまま死にそうだったので、クリブを起動してその中で活動させて精神の活動レベルを上げることで、合わせて肉体の活動レベルも高めようとしたと考えられる)
●台詞で説明された事象:ネオが機械都市に吸収されてから60年が経過した。機械都市は平和(ザイオンへ干渉しない契約)を守ったがネオをマトリックスのバージョンアップに利用した。このためネオは騙されて昔に戻された気持ちだ。しかし人類と機械の間に平和的解決という選択肢が生まれたのは事実。また現実世界にはネオの生き様に感化された人達が多数いる。
●台詞で説明された事象:現在の人類の総司令官はナイオビ。機械と共生するようになったおかげで人類は果物の栽培までも可能になった。かつて電力不足が原因で機械都市で機械同士の戦争が起きた。機械都市で新たなパワーが生まれたとオラクルは最期の預言を残して死んだ。モーフィアスはその預言を信じずに代わりにネオのしたことを信じ続けた(過去作で2人は「預言は嘘だった」「預言じゃなくて俺を信じろ」という会話をしている)。ネオとトリニティの摘出はマトリックスへの反乱に該当する可能性があるため、アイオの平和を守るためナイオビは総司令官として許可できない(少なくとも状況が明らかになるまでは)。なのでナイオビはわざとネオとバッグス達に「反乱」という形で脱走させた。
▼転(ネオは真相を知り、協力者が現れる):
●台詞で説明された事象(真相1):アナリストはバージョンアップ後のマトリックスのパワープラントの責任者。ネオとトリニティを適度な距離を保ってマトリックスに接続させることで、愛の力により超強力な電力を獲得した。このため機械都市は安定していた。これが真相1。
ネオの能力を吸収したアナリストはネオよりも強い。よって普通にトリニティに赤い薬を飲ませて摘出するのは不可能。ネオがマトリックスに戻らなければトリニティを殺すとアナリストは脅迫した。
●アノマリウム(The Anomaleum):サティは「the resurrection pods where Neo and Trinity were imprisoned」と説明。つまりネオとトリニティを収納してマトリックスに復活(レザレクション)させるポッドのこと。本作のタイトル回収はサティの発言の中にありました。
●台詞で説明された事象(真相2):ネオが脱出したことで《アノマリウム》は不安定になり、本来はマトリックスの安全装置が作動して1つ前のバージョンに戻るはずだった。しかし、アナリストはネオがトリニティに会うために戻ってくると主張して、トリニティもそのままにしてある。そこを逆手に取ってトリニティを摘出する作戦。
アナリストはパワープラント増強のために《アノマリウム》をサティの父親に作らせた。救世主であるネオを利用することを正しくないと感じた父親はサティに情報を漏洩。サティの両親はバレてアナリストに消去された。サティはマトリックスの外側のクジャクの中にいたので難を逃れた。サティはアナリストに復讐するために今日まで計画を練って、ネオが脱出するのを待っていた。これが真相2。
▼結(トリニティ救出作戦):
個人的な感想:「ネオ〜!」「トリニティ〜!」って初めて本当の名前で叫ぶところ、泣きそうになるくらい感動した。
▼全体のテーマをかるく考察:
気付いてる方も多いと思いますが、本作のオープニングとエンディングは、完全に第1作をトレースしています。粋な計らいですね。
その上で、ヒーローが男性ネオから女性トリニティに変わったのは、この20年で女性の社会進出が進んだことや監督が男性から女性に変身したことを反映していると言えますし、エンディング曲も第1作で使われたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの『Wake Up』をそのまま女性ボーカルのカバー版を採用しています。
(※正直、個人的には曲はレイジのオリジナルの方が好みだが、メッセージ的に相応しいのはコチラよね)
第2作『リローデッド』でモーフィアスとナイオビに「世界には変わる物もある。しかし変わらない物もある」という台詞がありました。まさに、マトリックスという物語は普遍的で、20年経って俳優が歳をとっても、なお魅力的であり続け、なおかつビジュアルやセックスなどは時代に合わせて大きく変わっていく。そんな監督のメッセージが明確に示されて、痛快な作品でした。
▼おまけ(CATRIX):
最後のポストクレジットシーンは完全なおまけで、二次創作のジョークだと思います。「今の時代にマトリックスを作っても流行らないでしょ」という自虐ネタかもしれませんし、近年のMCU映画に顕著な「ポストクレジットまで意味がある物語を入れるブーム」に対する風刺かもしれません。エンドロールなんか見てないでさっさと帰れバーカ、みたいな。笑
了。
この記事で引用している本編の画像は全て公式予告編のものです。
追記(2021.12.29):
もっと深い考察を書いたので、真実を知る覚悟ができている方だけお読みくださいませ🙏
追記(2022.01.10):
それぞれの疑問に一問一答で応える記事も書きました。
どちらも「なぜ気づかない」を解消する記事になるかもよ?
ということでお楽しみにいただければ幸いです。
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