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マトリックスレザレクションズのあらすじ(+解説)

148分のあらすじをシンプルな形式でまとめたノートです。

あらすじ部分は主語で始めているので、ささっと読みやすいと思います。

▼起(ネオの苦痛な日常と精神異常):

夜:ホテル〜ビル屋上〜窓ガラス(侵入・遭遇・脱出)
バッグスとシークが《モーダル》に初めて侵入する。
バッグスが《モーダル》の異様さ(微妙に違うこと)に気づく。
バッグスが《モーダル》のモーフィアスを見つけて外界に連れ出す。
バッグスとモーフィアスが《モーダル》から脱出する。

昼:会社〜カフェ〜会社〜セラピー(ネオの苦痛な日常)
ネオが会社PCで《モーダル》の侵入者に気づく。
ネオがジュードの助けを借りて、カフェで《ティファニー》と話す。
《モーダル》が会社PCから、なぜか消去していた。
ネオが会社の共同経営者からマトリックス続編の制作開始を命令される。
ネオが精神分析医《アナリスト》と話す。

●台詞で説明された事象:ネオは現在ではトーマス・アンダーソンと名乗っている。彼が務める会社の名前は《ゼウス・マキナ》で親会社はワーナー・ブラザース。マトリックス過去三部作はネオがゼウス・マキナで20年前に開発したゲーム。会社の経営者は《スミス》のモデルで、ティファニーは《トリニティ》のモデル。ネオはかつて飛び降り自殺を図って失敗し、現在はセラピーに通って精神安定剤に頼る日々。

第3作『レボリューションズ』で出てきた機械の神の名前がゼウス・エクス・マキナ

モンタージュ(ネオの苦痛な日常)
薬を飲む日々。やりたくもない企画会議が続く。喋るのは他人ばかり。

●音楽:BGMはジェファーソン・エアプレーンの楽曲『White Rabbit』=ドラッグ依存症になった人が現実と幻覚の区別がつかなくなりながら、白ウサギを追いかけて穴に落ちて不思議の国のアリスに会いにいく、みたいな歌詞。

昼:カフェ(ティファニーで朝食を;ティファニーとコーヒーを)
ネオはカフェでティファニーにエスプレッソを奢る。
ティファニーが語る日常への違和感と怒り、そしてゲームへの既視感。
「ゲーム内の彼女は私のことなの?」「それは、えっと…」
ティファニーは子供のことで学校に呼び出されて返事を聞かず去る。

昼:会社〜セラピー
不審者がネオの会社に侵入して警報が鳴る。
ネオが会社のトイレで不審者(モーフィアス)と会う。
SWATが侵入者の駆除のために突入してきて銃撃戦になる。
スミスがネオの額に銃口を当ててトリガーを引く。
次の瞬間にはネオがセラピーを受けている。(さっきのは幻覚なのか?)

オフィスで作動するスプリンクラーは第1作へのオマージュ。

▼承(ネオはマトリックスから再び脱出する):

夜:屋上〜新幹線〜廃れた劇場〜新幹線(赤い薬を飲む)
ネオが屋上から飛ぼうとして、バッグスに止められる。
バッグスが左腕のウサギのタトゥーを見せてネオを説得する。
ネオがバッグスに連れられて走行中の新幹線に乗り込む。
ネオ達が新幹線のドアから廃れた劇場へ移動する。
ネオが赤い薬を飲む。
アナリストがネオの脱出を妨害する。
ネオ達が廃れた劇場でSWATに襲撃される。
ネオ達が新幹線に移動する。ボットが起動して乗客がスウォームになる。
ネオがトイレの鏡からマトリックスを脱出する。

【現実世界】機械都市(マトリックスからの脱出)
ネオの身体がマトリックスのポッドから取り出される。
去り際に反対側のポッドにトリニティがいるのが見えた。

【現実世界】ムネモシュネ船内〜仮想世界〜ムネモシュネ船内(リハビリ)
クルーがネオの意識を戻すために《コールドブート》を使用する。
ネオが《クリブ》の中でモーフィアスと戦って爆発を起こす。
ネオが数時間後に目を覚ましてバッグスから色々聞く。
ネオはトリニティを救出したがるが、クルーから手段が無いと告げられる。

●ムネモシュネ(Mnemosyne):バッグスの船の名前。ギリシア神話に登場する記憶を神格化した女神の名前でもある。

●クリブ(The Crib):cribとはもともと「何かを無許可でコピーする」という意味の動詞。盗用またはカンニングペーパーという意味もある。マトリックスの外に出た人類がマトリックスをコピーして作った仮想世界だから、この名前が付けられたと考えられる。

●コールドブート(cold boot):コンピューター用語で電源が完全に切れた状態から起動すること。おそらく本作ではクリブを起動すること指す。(→生身だとこのまま死にそうだったので、クリブを起動してその中で活動させて精神の活動レベルを上げることで、合わせて肉体の活動レベルも高めようとしたと考えられる)

●台詞で説明された事象:ネオが機械都市に吸収されてから60年が経過した。機械都市は平和(ザイオンへ干渉しない契約)を守ったがネオをマトリックスのバージョンアップに利用した。このためネオは騙されて昔に戻された気持ちだ。しかし人類と機械の間に平和的解決という選択肢が生まれたのは事実。また現実世界にはネオの生き様に感化された人達が多数いる。

【現実世界】アイオ(人類の現状)
ネオがナイオビと再会する。
ナイオビが歴史とアイオについて語る。
ネオがタワーに幽閉される。(ラプンツェル状態)
ネオがムネモシュネ号のクルーと共に脱獄する。

●台詞で説明された事象:現在の人類の総司令官はナイオビ。機械と共生するようになったおかげで人類は果物の栽培までも可能になった。かつて電力不足が原因で機械都市で機械同士の戦争が起きた。機械都市で新たなパワーが生まれたとオラクルは最期の預言を残して死んだ。モーフィアスはその預言を信じずに代わりにネオのしたことを信じ続けた(過去作で2人は「預言は嘘だった」「預言じゃなくて俺を信じろ」という会話をしている)。ネオとトリニティの摘出はマトリックスへの反乱に該当する可能性があるため、アイオの平和を守るためナイオビは総司令官として許可できない(少なくとも状況が明らかになるまでは)。なのでナイオビはわざとネオとバッグス達に「反乱」という形で脱走させた。

▼転(ネオは真相を知り、協力者が現れる):

高級ホテル〜工場〜ティファニーのガレージ(真相1)
ネオ達が高級ホテルに潜入する。
ネオ達が工場に移動する。(機械にバレないように場所を複数経由する)
ネオ達が工場でスミスとメロヴィンジアンの部下と戦闘になる。
ネオがスミスを吹き飛ばす。
ネオがティファニーに会う。
アナリストがバレットタイムを使いネオを邪魔する。(真相1
ネオはアナリストに勝てないことを悟り、一旦退く。

●台詞で説明された事象(真相1):アナリストはバージョンアップ後のマトリックスのパワープラントの責任者。ネオとトリニティを適度な距離を保ってマトリックスに接続させることで、愛の力により超強力な電力を獲得した。このため機械都市は安定していた。これが真相1。
ネオの能力を吸収したアナリストはネオよりも強い。よって普通にトリニティに赤い薬を飲ませて摘出するのは不可能。ネオがマトリックスに戻らなければトリニティを殺すとアナリストは脅迫した。

【現実世界】辺境の地域(拿捕)
ムネモシュネ号がシェパードの船に見つかり、アイオに呼び戻される。
実際はムネモシュネ号が現実世界で機械軍団に襲われないようにナイオビがシェパードに護衛させていたので、危機をいち早く察知したシェパードがバッグス達を救った形。ナイオビとしては「バッグス達は反乱したから放置した」というテイにしたかったのに、バッグス達のマヌケを見過ごせずに救援してしまった形になったので、これから機械軍団にアイオが攻め込まれるかもしれないし、もう本当にどうしてくれるんだよ!という困った状況

【現実世界】アイオ〜クジャク内部(サティが用意した作戦、真相2)
ネオ達がナイオビの元に連行される。
そこに《クジャク》がやってくる。
ネオがクジャクの中で《サティ》と再会する。
サティがネオとナイオビに《アノマリウム》の真相を説明する。(真相2
ナイオビがトリニティ救出作戦にGOを出す。
ネオ達がクジャクの中で作戦会議をする。

●アノマリウム(The Anomaleum):サティは「the resurrection pods where Neo and Trinity were imprisoned」と説明。つまりネオとトリニティを収納してマトリックスに復活(レザレクション)させるポッドのこと。本作のタイトル回収はサティの発言の中にありました。

《アノマリウム》別名「ザ・レザレクション・ポッド」(by サティ)

●台詞で説明された事象(真相2):ネオが脱出したことで《アノマリウム》は不安定になり、本来はマトリックスの安全装置が作動して1つ前のバージョンに戻るはずだった。しかし、アナリストはネオがトリニティに会うために戻ってくると主張して、トリニティもそのままにしてある。そこを逆手に取ってトリニティを摘出する作戦。
アナリストはパワープラント増強のために《アノマリウム》をサティの父親に作らせた。救世主であるネオを利用することを正しくないと感じた父親はサティに情報を漏洩。サティの両親はバレてアナリストに消去された。サティはマトリックスの外側のクジャクの中にいたので難を逃れた。サティはアナリストに復讐するために今日まで計画を練って、ネオが脱出するのを待っていた。これが真相2。

どうでもいいけど、クジャクがポケモンにしか見えなかったw

▼結(トリニティ救出作戦):

【現実世界】機械都市〜アノマリウム(救出作戦の準備)
モーフィアスが《アノマリウム》に潜入してダストシュートを開放する。
クジャクとバッグスが《アノマリウム》に潜入してトリティを準備する。

夜:カフェ(トリニティの選択)
ネオがアナリストにトリニティに選択させることを提案する。
アナリストが受けて立つ。
アナリストがティファニーの夫や子供を使って説得する。
トリニティは「もう遅すぎたから諦めてティファニーになる」と言う。
しかし土壇場で、
トリニティがマトリックスからの脱出を選択する。ばばーんっ!
「ネオ〜!」「トリニティ〜!」

トリニティがこの映画で初めて感情を爆発させる!

個人的な感想:「ネオ〜!」「トリニティ〜!」って初めて本当の名前で叫ぶところ、泣きそうになるくらい感動した。

『天空の城ラピュタ』と同じくらいエモいシーンだった。
バルス!(違)

【現実世界】アノマリウム(逃走)
トリニティの意識をバッグスの脳を経由(バイパス)してクジャクに移す。
モーフィアスとクジャクとバッグスとトリニティが脱出する。

夜:カフェ〜ビジネス街(逃走)
スミスが自由の身で居続けたくて、ネオに協力してカフェで暴れる。
ネオはまだ空を飛ぶことができない。
ネオ達がスウォーム集団の攻撃からビジネス街を逃げ回る。

夜明け:ビル屋上(覚醒)
ネオとトリニティがビル屋上で追い詰められる。
トリニティが美しい夜明けを見て覚悟を決める。
ネオとトリニティが手を繋いでビルから飛び降りる。
トリニティが進化して空を飛べるようになる。(奇跡=Oneの復活

第3作『レボリューションズ』のラストシーンの伏線も無事に回収。
「またNeo(One)に会えるかしら」「きっと会えるわよ」

【現実世界】ムネモシュネ船内(再会)
ネオとトリニティが現実世界で再会する。(台詞なし音楽のみ!)

昼:アナリストの家(勝利宣言)
トリニティがアナリストを痛めつける。
トリニティとネオが世界を作り変えるために飛び立っていく。
おしまい。

▼全体のテーマをかるく考察:

気付いてる方も多いと思いますが、本作のオープニングとエンディングは、完全に第1作をトレースしています。粋な計らいですね。

全て第1作のキャプチャです。これに気づくとテンションが上がります。

その上で、ヒーローが男性ネオから女性トリニティに変わったのは、この20年で女性の社会進出が進んだことや監督が男性から女性に変身したことを反映していると言えますし、エンディング曲も第1作で使われたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの『Wake Up』をそのまま女性ボーカルのカバー版を採用しています。

(※正直、個人的には曲はレイジのオリジナルの方が好みだが、メッセージ的に相応しいのはコチラよね)

第2作『リローデッド』でモーフィアスとナイオビに「世界には変わる物もある。しかし変わらない物もある」という台詞がありました。まさに、マトリックスという物語は普遍的で、20年経って俳優が歳をとっても、なお魅力的であり続け、なおかつビジュアルやセックスなどは時代に合わせて大きく変わっていく。そんな監督のメッセージが明確に示されて、痛快な作品でした。

▼おまけ(CATRIX):

夜:デウス・マキナ社内(ポストクレジット)
次の作品の企画会議が続いている。ネオの姿は無い。
男が自信満々で「いま流行るのはネコ動画だ!キャトリックスCATRIX!」

最後のポストクレジットシーンは完全なおまけで、二次創作のジョークだと思います。「今の時代にマトリックスを作っても流行らないでしょ」という自虐ネタかもしれませんし、近年のMCU映画に顕著な「ポストクレジットまで意味がある物語を入れるブーム」に対する風刺かもしれません。エンドロールなんか見てないでさっさと帰れバーカ、みたいな。笑

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了。

この記事で引用している本編の画像は全て公式予告編のものです。

追記(2021.12.29):

もっと深い考察を書いたので、真実を知る覚悟ができている方だけお読みくださいませ🙏

追記(2022.01.10):

それぞれの疑問に一問一答で応える記事も書きました。

どちらも「なぜ気づかない」を解消する記事になるかもよ?
ということでお楽しみにいただければ幸いです。

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