第一話 物心ついたあの頃

気づいたらピアノをやっていた。

どうしてやっていたのか自分でもわからないので、母親に聞くと、

『習い事何やりたい?と問うたら自分で(ピアノを)やりたいって言ったんだよ』と。

それくらい、安易に決定したことを、なんとなくやっている、そんな小学生だった。

ピアノだけではない。親父の趣味でやっていた野球も、気づいたらなんとなくやっていた。練習は死ぬほど嫌いだった。

学校から帰って親父の車があると、『今日も練習に連れて行かれるのか、、』と憂鬱になっていた。そんな少年時代。

パンチパーマで見た目マッチョなヤクザで顔面凶器な親父。おまけにゴリゴリの九州男児(愛知在住)。ストリートで売られた喧嘩を買い、時にヤクザとカーチェイスになることも。そんな親父からニコニコしながら『練習行くよな?』と聞かれちゃー行かない訳にはいかない。

とりわけ運動神経のない俺は、親父の地獄のノックでエラーを繰り返し、罵倒される。普段から好きなこと以外の集中力は散漫で、投球コントロールもない。暴投したら怒鳴られ、だだっ広いグランドを走って取りに行かされる。おかげで足腰は強くなりある程度の基礎体力は身についたが、常に親父にビビりまくっていた少年時代を過ごした。

そんな当時、好きなことと言えば『絵を描くこと』。今では全く描けないが、小学校の時に何度も賞を取ったり、ひたすら毎日絵を描きまくった時期がある。そしてなんと言ってもMost of 好きだったことが『ファミコン』。これは死ぬほどやった。我が家にあった『一日一時間』のルールを破り毎日夜中にやっていたのがバレて、自らの手でハンマーを持ち本体を壊させられたことも。暇さえあれば攻略本を読み、夜中に徹夜でファイナルファンタジーを全員最高レベルにするまでに制覇した。

思えばその頃から好きなことへの【異常なまでの執着と集中力】があった。

それが後に音楽へと向くようになる。

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