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【海街diary】広瀬すずの身長と鎌倉の家の柱とじいちゃんばあちゃんと

映画「海街diary」を観ていたら、祖父母のことを思い出したんですよ。腹違いの妹のすずちゃん(広瀬すず)が鎌倉の家の柱に身長をペンで刻むシーンで。

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小学生の頃は夏休みとか正月の度に名古屋のじいちゃんばあちゃんの家に帰省していたんですね。で、じいちゃんばあちゃんの家に着くとまず何をやらされるかと言うと、2mくらいの角材を持って来て、身長を測ってマジックで記録していくんです。「120cm ’95 8/10」みたいに。

で、実はこれ、嫌いだったんです。同い年の双子の従兄弟がいて、同じときに帰省してくるんです。もちろん、同じ角材に身長を記録するんですが、その従兄弟は2人とも身長が伸びるのが早くて。小学校のクラスで整列するといつも前から2番目で、背が小さかったんですね。従兄弟はクラスで1番背が高い部類。いつも10cmくらい従兄弟たちより低くて、角材にじいちゃんが身長を記録すると、従兄弟との差が明確にわかってしまって、なんとも居たたまれない気持ちになるんです。ペンで記録するじいちゃんも「牛乳飲めば身長伸びるがね」なんて言うのですが、毎日朝昼晩かなりの牛乳を飲んでても伸びないものは伸びない。しかも、親父は185cmと身長も高いのになんで、と。じいちゃんばあちゃん家に帰省するのは大好きだったのに、この角材に身長を書かれるのだけはなんだが嫌でした。

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それで、海街diaryを観て思うのは、じいちゃんばあちゃんの目からはまた違ったように見えていたんだろうな、と。年に数回しかない大好きな孫と会う楽しみ。その孫が会う度に健康に成長している喜び。身長を測られていた当の本人は低い身長がコンプレックスだったけど、じいちゃんばあちゃんにはそんなことは関係なくて、とにかく健康に成長していることが嬉しくて、それが角材にお盆、正月と刻まれていくことの幸せを噛み締めていたんだなと。

家にはそこに居た人にまつわるものが何気ないところに刻まれていたりする。ばあちゃんが遺していった浴衣、母親が海鮮カレーを作ってくれていたカレー鍋…。海街diaryで腹違いの妹すずの身長を三姉妹の記録とともに鎌倉の家の柱に記録すること、それは家族としてその家に刻み込まれるということ。それは、仙台の家でも山形の家でも居場所のなかったすずが、初めて周りから喜ばれる存在、すずが家族になる、そういうことなのだ。

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