1:4:4:1で考える現代人⑤ 対立は乗り越えられるか?

 これまで、現代社会の人々が「1:4:4:1」の人数比でグループ分け出来ること、それぞれのグループごとに様々なものの見方が異なること、それにより対立があるという考えをまとめました。
 今回はまとめとして、グループ同士の対立をどのように乗り越えれば良いのかを考えました。

目次
・グループの人数比変化と対立の深刻化
・最高・幸福グループの出来ること
・不安グループの出来ること
・絶望グループの出来ること

○グループの人数比の変化と対立の深刻化
 各グループを分ける大きな要素として、経済的な成功があります。近年の経済状況や環境を考えると、各グループの人数比も変化していることが予想されます。
 これまで「1:4:4:1」という比率を提示してきましたが、より細かい比率を想像すると、「1.5:2:5:1.5」となるように感じます。
 インターネットの普及や、個人個人の生き方が許容されてきていることから、能力がある人にとってはより経済的な挑戦を行いやすくなり、それに伴って経済的な成功者(最高グループ)が以前よりも増えました。一方で、挑戦が増えたことも要因に経済的な競争が加速し、働く人に求められる成果の水準が上がったことから、ついていくことが難しい人(不安グループ)が増え、また一方では長寿命化と医療・介護の費用増により、予想以上にお金が必要となり普段の生活すら危うい高齢者(絶望グループ)が増えました。こうした他グループの人数増加により、それなりに充実した生活を行なっている幸福グループの人数比が低下しました。

 現代は、ひと昔前よりも地域社会への強制的な参加は激減し、自分が選択した人とだけ付き合うことが可能となりました。さらに、SNSで自分の意見を広く主張することも可能になっています。
 これにより、自分とは異なるグループの人と「直接会う」機会が減り、一方で自分と同じグループの人とだけ付き合って「考え方を強固・先鋭化させる」機会が増え、その上でSNSで直接会うよりもはるかに多くの人へ自分の主張を届け、「影響を与える」ということが起こりやすくなっています。先鋭化した各グループの主張は、ぶつかり合うだけで対立が深まってしまう状況にあります。
 こうした状況をどのように乗り越えるか、以下のように考えてみました。

◯最高・幸福グループの出来ること
・努力について
 両グループにとっては当たり前の行為と考えている「努力」は、実はかなり難しいことだということを意識します。自分の素質と環境、これまでの経験の3つが揃わなければ、努力という自分にとっては当たり前のことも難しいのです。
 そこで、不安・絶望グループの人が環境作りや経験を積むことを支援できれば、最高グループのように努力を自然なものとして出来る人が増えていきます。
・お金について
 最高グループではお金よりもまずは信用が大切である、幸福グループではお金を何に使うかが大切であると考える人が多いと思いますが、絶望グループの人にとっては何よりも今日の生活を送るためにお金が必要であることを意識します。信用を作るには、約束を守ったり誠実に働き続けるなどの行動が必要ですが、行動を起こすキッカケすら掴めない人もいます。
 まずは、このキッカケから掴めるように他グループを支援してみてはどうでしょうか。

◯不安グループの出来ること
・努力について
 これまで努力をしても報われなかった経験の方が多く、面倒で信じ切れないものと感じていると思います。まずは、努力して報われる経験を積んでいき、努力への信頼を持てるようにしていくことが必要です。
 大きな目標に向けて行動することだけが努力ではありません。自分が少し面倒と感じることをやることも、自分を律して成し遂げた立派な努力の結果です。
・お金について
 お金は、確かに目に見える安心を私たちに与えてくれます。将来がどうなるか不安でも、日々使うお金と今貯めているお金が分かれば、何かあってもいつぐらいまで大丈夫なのかがわかります。ですから、お金を貯めることは安心を得る方法として間違っていません。
 しかし、目に見える安心だけでは自分自身が本当に心から安心することは出来ません。誰かと繋がっているという実感や、困難を乗り越えたという経験など、目には見えないけれども将来への不安に向き合える安心が必要です。こうした実感や経験に対してお金を使うことも意識してみてはどうでしょうか。

◯絶望グループの出来ること
 絶望グループの人たちに必要なことは、まず環境を整えることです。
 悲しいですが、努力をしても報われない環境はあります。それは、自分自身の得意でないことを求められたり、自分とは異なる価値観で評価されるような環境です。そこでは、いくら周りが「努力は素晴らしい」と言っても、報われないために自尊心が傷つくだけです。
 お金についても、「お金が今すぐ必要なため、すぐに支給されるが低賃金の仕事を行う。」「低賃金なため、必要な額を稼ぐために長時間働く」「長時間働くことで時間がなくなり、より賃金の高い仕事を探したり必要な能力を取得できない」「結局割に合わないけどずっと低賃金で働かざるを得ない」という、悪循環にはまってしまう環境にいるのであれば、「とにかくお金があれば脱出出来る」という考えも一つの正解だと思います。
 環境を整えるために、絶望グループが出来ることは「助けを求める」ことです。何を言っているんだと思われる人もいるかもしれませんが、そもそも置かれている環境が整っていなければ、いくら自分で何とかしようにも出来ません。
 助けを求める人を喰い物にする人間や、充分な対応ができない行政に当たってしまう可能性もあります。しかし、助けを求めなければ支援してくれる人も気付くことができません。自分自身を助けるために、他の人へ助けを求める勇気を持ってください。

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