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或る私文浪人のほぼ不合格体験談のような合格体験談 中編(冬休みまで・その1)

※浪人した経緯まで読みたい方は前編をご覧ください。

開講まで

 河合塾に申込み、高校の卒業式も終えて準備期間のようなものに入った。3月から勉強するという浪人生は多いそうだったが、私はそこまで意識が高くなかったので3月はあまり勉強しなかった。現役時代は前編で述べた勉強不足に起因する課題を常に意識して学習していたため、今更洗い出すほどのこともなかった。それより今のうちに遊んでおこう(とはいえ陰キャなので派手なことはしない)、休んでおこうという考えだった。4月に入るころから英語と国語の開講前必須受講講座(と言いつつも受講は任意である)を受けて少しずつ勉強の感覚も取り戻すようにした。とはいえこの開講前必須受講講座の効果はそれほどあったようには思えなかったが、河合塾の授業に慣れておくという意味では効果があるかもしれない。私は現役時代に夏期・冬期講習で河合塾の授業を受けていたので、授業はどんな感じなのかをなんとなくわかっていたという事情もある。ちなみに僕は受けなかったが、小論文や日本史を受けた人はかなり刺激を受けたと言っていた。
 サクセスクリニック・開講前チュートリアル・テキスト配布と事務的なイベントを終わらせ、授業が開講するのは…、なんと4月の中旬ととても遅い。高校の同期は大学生活をスタートさせ、後輩達も学校が始まるなか、自分は何も始まっていないというのはなかなか虚無感を感じたものだ(笑)

授業・勉強の方針

 世間の新学期より少し遅れて河合塾生としての生活が始まった。授業は前年度の講習や開講前講習とあまり変わらない流れで進んでいたので戸惑うことはあまりなかった。むしろ英語表現や英文解釈、古文、漢文総合、日本史、小論文の授業で出てくる今まで知らなかった知識との出会いに刺激を受けるとともに、現役時代の勉強の粗さを改めて認識する。

 第3~5講まで進んだ頃には1年間の学習の見通しを以下のように設定した。
・英語→全体的な語彙・文法語法知識の底上げ・丁寧な速読の取得
・国語→現役時以上の水準へ高める(得点開示の結果、早稲田本試で概ね7割を取れていたと分かったことが大きい)
・日本史→流れの再確認と正確な把握・細かい知識の肉付け
 ありきたりな内容だが、これを常に意識して授業を聞くようにした。秋以降内容が簡単すぎる、或いは授業の質が低いと判断した授業は欠席し、体力面での負担を軽減した。

 授業の予習・復習については予習を重視した。理由は単純で、授業は予習を前提としているため予習をしっかりしていないと授業の理解ができないからである。週の初めに予習を一気にやって他の授業の記憶が混ざるのも嫌だったので、基本的に授業前日の午後に予習を行った。英語長文や古文・漢文でわからなかった単語の意味を調べ、読解できなかった箇所に?マークを付け、その箇所の説明をより意識的に聞くようにした。それ以外の科目は基本的に解いて終わりで、授業の説明で自分の解答や考え方とのズレを確認した。
 復習は授業当日の午後は基本的に自分が間違えた箇所・知らなかった知識の確認に留め、不明箇所は積極的に講師に質問に行った。週末や長期休みに改めて詳細な確認を行った。せっかく予備校に行って浪人をしているのなら悩みや疑問は一人で抱え込まず、講師やチューターといった「大人」に積極的に相談した方がよいと思ったし、実際直前期まで勉強面や生活面で様々な相談をした。
 とはいえ英語長文や現代文で全く同じ文章が本番で出る可能性はほぼ皆無であるから、知識の確認を優先し、内容については新たな問題に取り組んだときに「既視感」を持てる程度の復習に留めた。この既視感は出題される文章の主題に一定の傾向が見られる入試英語長文において、初見の文章の読解において非常に助けになる。英語長文系の授業では音読がかなり推奨されたが、僕は時間がかかる割に効果を感じられなかったため夏を境に止めた。これはおそらく高校時代にスピーキングやリスニングの訓練を怠ったため、僕の音声による英語処理能力が低かったのであろう。代わりに既に読んだ文章の難解箇所の訳や文法事項、修飾関係をパッと思い出せるように(「これアレじゃん!」となる感じ)意識しつつ速めに黙読することを心掛けた。
 英文法・語法や英語表現、英文解釈・英文読解、古文の復習は冬までループして復習していた。これについては後編で触れる。
 日本史についてはレギュラー授業期間中はテキストを見返す程度に留めていたが、夏休みに「私大日本史テスト」の授業で配られていた講師特製のプリントが非常に有用であることに気が付き、それ以降プリントを貼り付けたノートを用意し、授業で得られた補足事項を書き込んで復習としていた。古代からの通しの復習は長期休みに1~2周行った。日本史の復習についても後編で述べる。
 全教科に共通して、夏休み明け以降も予習・復習のスタイルは変更しなかった。

普段の勉強と生活習慣

 普段の勉強は9割超を河合塾の自習室で閉室時間(21:30)まで行い、個人的にだらけがちになる家での勉強は避けた。ただし体調がすぐれないときは切り上げて帰ることもあった。困ったことに日曜日は17時で自習室が閉まってしまうので、日曜日はむしろ勉強時間が少なくなった。必要とあらば喫茶店で延長戦をしていることもあった。この点で一つ反省を述べるなら、家で勉強できるに越したことはないということだ。後々家勉強は強みが出てくる。直前期の勉強週間については後編で詳しく述べていきたい。

 生活習慣については、高校時代の朝型生活を極力維持した。理由は単純で、予備校の1限開始と高校の始業開始は時間があまり変わらず、通学時間も大きくは変わらなかったからだ。ただし秋以降疲れが出るようになった頃には最低限授業を欠席(大抵1限)して、休息に充てることもあった。
交友関係については、大人数の同年代の人間が集まる以上友達を作るなとは言わないが、「意識の高い友達」「戦友」を作るのがよい。その友達に刺激されて自分のモチベーションも維持される。逆に意識の低い友達を作るのは堕落の原因となりがちである…。僕はそれなりの進学校の出身だったせいか「予備校ではみんな勉強する」と思っていたが、全くそんなことはなかったので衝撃を受けたものだ。(具体的な内容は伏せるが)友達選びは本当に重要である。
 またスマートフォンやSNSとの付き合い方だが、僕は「ほどほどに使う」ことにした。無理にスマホ断ちやSNS断ちをしてストレスを溜めるくらいなら節度をもって使う方がいいと考えたのだ。特にTwitterは良いストレスの捌け口になった。もちろん勉強中は見るべきではないし、のめり込みには注意が必要だ。要は「オンオフの切り替え」ができるかどうかである。

夏期・冬期講習と長期休みの過ごし方

 塾生の夏期・冬期講習の優先申し込みは大体2か月前に行うことになっている。公開はされていないが定員があるようで、オーバーした場合には抽選となる。というか東大や京大、早慶アドの担当講師は多くが人気講師であるため抽選は必至と言ってよい。抽選に外れた場合は追加申し込みで追加授業や他校舎の授業を取る。
 基本的に自分が所属する校舎(僕の場合は横浜)を中心に授業をとったが、抽選に外れた場合は秋葉原や藤沢など周辺校舎に行くこともあった。他にも池袋や町田、新宿に行った人もいた。普段と違う電車に乗り、普段と違う校舎に行くのはマンネリになりがちな浪人生活においていい気分転換になった。
 長期休みは時間があるようにみえて時間が無い。講習の授業時間や予習・復習、他校舎での授業を取った場合はその移動時間で意外と勉強時間が限られる。オススメなのは完全に講習を入れない期間を設け、レギュラー授業の復習や休養に充てることである。夏は暑さでかなり体力を消耗するし、冬も1年(実際は現役時からの疲れも多少加わる)の疲れが出始めるので、張り切りすぎると後半ガス欠を起こす危険が高い。行き詰まりを感じた場合は、思い切って花火やネズミーリゾート、近距離のプチ旅行(関東なら箱根温泉など)でリフレッシュするのもいいだろう。時期と時間を選べば本当にいい気分転換になる。

 浪人の一年間は早い。あっという間に夏が来て、10月の最後の全統模試が終わり冬が来る。再びあの入試の孤独な戦いに挑まなければならない時が刻一刻と迫ってくるのである。

前編(浪人するまで)
後編(冬休みまで・その2&受験校決定・直前期)
最終編(最終受験結果と反省)

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