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コロナで閉店瀬戸際なのに手塩にかけて可愛がっていた問題児ボーイに労働局に連れてかれそうになり給料2倍にしないと裁判起こすと言われた話

アンラッキーの幕の内弁当かよ!と思いました。

なにゆえに一度に全部くる?前世で一体どんな悪事をしでかしたんだ私は?

空に問うてみても何も出てきません。今日は、そんな従業員とのプチ事件について書きたいと思います。


アフリカにもコロナがやってきた

遡ること2〜3週間前。遅ればせながらも、ここタンザニアでもコロナの影響が出はじめました。日頃、外国人相手に商売をしていた我々は、彼らがお国に帰ってしまうと、真っ先に打撃を受けました。

お客さまはほとんどいなくなってしまい、経費だけが嵩んでしまう。でも、社員のお給料分は捻出したい。でないと会社自体が潰れてしまう。元ストリートボーイズはここを出たら、また路頭に迷う。

デリバリーをはじめてみるも鳴かず飛ばず。日本食のお弁当をはじめてみるも、こちらも全然ダメ。足掻いても足掻いても出口が見えない。

毎日PCを睨みつけては、禿げそうな頭を抱えました(禿げない)。色々な選択肢を考えて天秤にかけては机に突っ伏して、マイケルジャクソンを聴いて踊ってはまたPCに向き合っては頭を・・(以下無限ループ)という日々を過ごしていました。(完全に気が振れた人ww)

そんな時に、事件は起こりました。(キタキタキタキタ!)

創業時から手塩にかけて可愛がってきた問題児ボーイのヨハナが、「弁護士を立てて労働局に突き出してやる」と言い始めたのです。

片手には傘を握りしめ、この世の憎悪をすべて詰め込んだかのような目で私を睨みつけて。おいおい、穏やかじゃないねえ。とりあえずは傘を下に置こうか。


「労働局に突き出してやる」

まずは、ヨハナが労働局云々言い始めた経緯からお話しましょう。

彼は昨年の8月に入社してからというもの、何度も遅刻を繰り返していました。パン屋の朝はとても早いので、寝坊してしまうことは誰にでもあります。それは責めません。

でも、遅刻してしまう時は、それがわかった時点で、なるだけ早く連絡を入れて、ということを社員には言っていました。

しか〜し。さすがタンザニア人というべきか、いや、元ストリートボーイというべきか。

彼は、これまでに連絡なしで遅刻する回数が計14回にものぼっていました。

タンザニアでは、多くの会社がこういったルールを3回破った時点で、「あと1回やらかしたらこちらは解雇する権利がありますからね」というWarning Letterなるものを社員に対して出します。

もちろん、弊社でもそれを踏襲していたのですが、それでもこの有様です。

そもそも、なぜ14回に至るまで解雇しなかったのか!という問題もありますが、まあその時その時で色々なドラマがありましたが、ここでは長くなるので割愛させていただきます。。。


さて、ついぞジャクソンの堪忍袋の緒が切れ、「今日こそ本当に解雇だ」と彼に告げた日、つまり、彼が労働局云々言い始める数日前、彼はめでたく15回目の『無断遅刻』をしました。

しかもその日、彼はあろうことにタバコの匂いをプンプン漂わせてやってきたのです。

食品を扱う場所にタバコのflavorを漂わせるのは言語道断ですが、百歩譲ってそれはさておき、30分遅れて連絡もよこさずに、優雅にタバコをふかしてくるとはナニゴトよ?

とジャクソンはぶち切れたのでありました。それでもって、晴れて彼を解雇することになりました。(もちろん彼を解雇するにあたって、身を千切られそうな思いをしました。でもチームを回していくのに彼だけを特別扱いし続けることもできませんでした。)


しか〜し!単に解雇といえど、即日で済むことではありません。まず、彼はうちで用意した社宅に住んでいました。更に、彼は私からお金を借りていました(元ストリートボーイのため、人並みの生活を始めるためにはまとまったお金が必要だったのと、家族の医療費諸々・・あああ)。

これらをどう処理したものか・・。とりあえず、社宅の方は半年分を先払いしていたため、あと2ヶ月間は住まうことができました。なので、その間になんとかしなさい、ということにしました。

貸したお金については、彼がうちからお給料をもらわない限り返済が困難であることはわかっていたので、説明した上で返さなくていい、と言いました。

タンザニアでは通常、社員を解雇するときには、会社側が1ヶ月先の分の給料も支払った上で辞めてもらいます。しかし、ヨハナの場合は、その1ヶ月分の給料を渡したとしても、まだ貸した金額の方が上回っていたため、相殺して(できないけど)説明した上で辞めてもらうことにしました。

ところがどっこい、このヨハナくん、理解力に少しだけ難ありな子なのです。

実は、彼が初めて工房にやってきた日、あまりにも話が通じないので、1日目で去ってもらおうかと本気で悩んだことがあったほどです。

今やこれは笑い話なのですが、水と氷を準備していて、「この常温水を3度まで下げたいんだけど、さてどうしようか?」と言った時、彼は水を火にかけて沸かし始めたのです。。。(唖然)

そんな子をなんで雇ったのか?!もはやそれは雇ったあなたのミス!

と責められても仕方がないのですが、ただ、一つだけ言い訳が許されるのであれば、彼には人に愛される天賦の才能があるのです。(もはや親バカの域w)

実際、彼が居なくなってしまった数日間は「あれ、いつもの彼は?」「彼のファンだったのになあ〜」と何人ものお客さまに言われました。。


と、彼の愛されエピソードを挟みつつ、何が問題かといいますと、案の定(?)彼は解雇について私の言ったことをまったく理解してくれていなかったのです。

そんな彼に誰が入れ知恵をしたのか、「労働契約書上で、雇用期間がまだ9ヶ月も残っているなら、不当な理由で解雇されたと会社側を訴えることができる」と言い始めたのです。

私に借りたお金のことも、自分が無断で遅刻しまくっていることもすっかり忘れて。(笑)

そして、冒頭の、血眼で傘を握りしめて私を睨むシーンへと至ったわけです。

人間、窮地に立たされた時は義理も人情もありませんね。。あんなに可愛がっていた子を身を切る思いで解雇せざるをえなかったのに、こっちのそんな気も知らずに首を取るだなんて。本当に人生って面白いわ。


「給料を2倍にあげろ」

さて、ヨハナ事件と前後しまして、「給料を2倍にあげろ」と言い始めた別の社員がいました。

いやはや、コロナで売上は激減し、唯一の創業メンバーを泣く泣く切ったばかりのジャクソンにトリプルパンチ!です。

給料を上げろと言い始めたのは、キッチンを任せているアイシャというママさんでした。

アイシャさん、歳は40近くで、ボーイズ達にとってもママさん的な存在でした。

しか〜し、実は少し前から、私はアイシャに手を焼いていました。私の指示を素直に聞いてくれないのです。

タンザニアは、日本にも増して年功序列制度が色濃く、よくいえば年上の人を敬う文化が根強いのですが、それはつまり、彼女がジャクソンみたいな小娘の言うことを聞いてくれない、ということでもありました。

例えば、彼女が何かミスをして私がそれを指摘しても、ものすごくブスくれた態度で何も言わない。もしくは、逆に私を睨みつけてくる。みたいなことが度々ありました。

初めは「生理か(笑)」と勝手に納得していたのですが、あまりに頻度が多くなったので、彼女を呼び出して態度を改めてほしい、と伝えました。それでも頑固な彼女の態度はなかなか変わりませんでした。


そんな些細なことで悩んでいた頃、今から3週間ほど前、ついに弊社でもNSSFと呼ばれる社会保障を支払う手続きを始めるぞ!と重い腰をあげました。(この社会保障費を巡って血で血を洗う醜い争いが・・・)

タンザニアでは、社会保障費は、会社側が社員のお給料の10%、社員が自分のお給料から10%を支払うことになっています。

弊社もさっさと手続きして支払ってしまえばよかったのですが、その他の役所手続きやら日々の業務やらでてんやわんやしていたら、あっというまに半年が過ぎ、今になってようやく社会保障費の支払いに取りかかれる準備ができたのでした。


さて、この社会保障費と彼女の給料2倍にしろ!発言がどう繋がってくるかと言いますと。。。

要は、「お給料から10%分の社会保障費を引く(預ける)ことになるので、手取りの金額がこれから少しだけ減りますよ〜」と同意を取ろうとしたら「ふざけないで!そもそも私は今のお給料の2倍の額が欲しいの!上げてくれないなら弁護士立てるから!(ドヤ)」と言い始めたのです。

彼女の場合も、私が話した翌日にこんなことをのたまい出したので、おそらくは誰かに入れ知恵されたのだろうと思います。

が、もともと彼女の仕事っぷりに満足していなかった私としては、「2倍ですと???!」と、寝耳に水だったわけです。

弁護士を立てる!という脅しは、弊社がNSSFを支払っていないこの数ヶ月のことを非難してのことです。いや、もうこれに関しては絶対的に私が悪いんですけどね。。

ただ、家族が病気のときも、引越しでまとまったお金がいる時も、子どもの学費が必要なときも、いつも快くお金貸してきたのに。。。なんでそんなことするの。。。理解できない。。。。/(^o^)\ってなりました。(笑)


それでもジャクソンの頭は禿げない

ざっと、以上のようなことがこのコロナ佳境下において、同じ週にどっときました。マジで禿げ散らかすかと思った。

お金がないこともキツイけど、人間関係でこじれてしまうのが一番キツイ。。しかも自分が憎まれる立場になるなんて〜!

さてさて、

来世で目一杯徳積むからこれ以上今世でイジめないで神様、マジ頼む。というジャクソンの願いが天に届いたのか、二人とも話し合ったらなんとか落ち着いてくれました。(二週間くらい毎日数時間かけて話して精神的にボロ雑巾みたいに擦り切れた)

二人とも今はケロっとしているので、本当にタンザニア人の水に流す精神は見習いたいと思います。


とかなんとかやってるうちに、パン屋は無期限営業停止!という事態に陥りました。(まだ小さなお子さんがいる社員が2名おり、公共のバスを使って通勤してもらっていたため、彼らの安全を考えると休止した方が良いという結論に至りました)


「週末何してた?」「カレーパン作ってた(ドヤ)」って一生に一度はやりたいですよね?

そんなわけで、オンラインパン教室を始めます!(唐突)

パン屋を営業停止したとはいえ、従業員のお給料は捻出し続けなければならない。。。と頭を抱えていたところ、優しい優しいジャクソンの友人たちがお金を稼ぐいろんなアイディアを持ち寄ってくれました。(本当にありがとうよ。。)

そのうちの一つが「オンラインパン教室」でした!

味気ない籠城生活を送る日本のみなさまに、タンザニアからジャクソンとボーイズが息吹を届けちゃいます!!!!!(?)!!!♡(テンションの振れ幅すごすぎワロタ)

ちなみに問題児ヨハナも先生としてご指名可能です。(笑)

手ごねのパン作りはその触感が気持ち良すぎて意外にもストレス解消になりますし、好きな子をZOOM飲みに誘うのはちょっとハードルが高すぎるし、趣味の欄に『パン作り』を入れる絶好のチャンスですし、「昨日何してたの?」「カレーパン作ってた(ドヤ)」とか人生で一回くらいやりたいじゃないですか?

だから、やりましょう?ね?(圧力)

というセールストークはさておき、本音を言うと、従業員のお給料を捻出するためにジャクソンは今必死こいています。なので、必死こいているジャクソンにどうか力を貸してください。よろしくお願いいたします。

オンラインレッスンについての詳細、チケットのご購入はこちらからご覧いただけます。何卒っ!よろしくお願いいたしまああああああす!!!!!!(スライディング土下座!)m(__)m


オンラインでパン作りのレッスンってどんなことするの〜?!という方、先日実際にやってみたところを動画にしてみたので、ぜひご覧ください^^


レッスンにはボーイズも登場しますので、ボーイズと絡みたい!という方も、ジャクソンを独占したい!という方もどしどしどうぞ!


P.S. ヨハナもアイシャも今は何事もなかったかのように仲良しこよししています。ジャクソンは元気です。








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