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五線紙

五線紙に撒き散らしたる月の骨ほろろと夏の雪降らしめよ

急いで、と彼女は言った。急がされるとセーターから頭がうまく出ない。セーターを被ったまま抜け出せないでいると、再び急いでという声。青かった。セーターの中は青い薄闇だった。青い薄闇のなかで彼女の声を聞きつづけた。


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