歌集

西松屋の少し向こうの星月夜
この服ぜんぶ買い占めたいよ

わかりやすい、読みやすい、どれも平易でリズム感があるからか、すぐに読み切ってしまう。なのに、ああいい歌集だったおしまい、とすぐに片付けてしまうことにならないのは、なにか歌の底に流れる作家の冷たい視点が感じられるからだ。だから、心に しみる。もういちど読み返してみたくなる。押し潰されそうなこころではなくて、すでに潰されてしまっ たり冷えついてしまったり凍り付いてそして割れてしまったりしたこころにふれたような気がして、こちらも凍えてしまいそうになるのである。あっというまに百万首を読み終えてしまった。

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