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飛びまわるムクドリモドキの下ぼくがやる気なくしゃがみこんでいた理由 彼女はもう行かなくち…
ベルはまだ鳴るのだろうか凛とした顔でぼくらは自転車を殺す そして彼女は、ゆっくりと身体を…
こどもフィルターを使うときみは微笑んでコーヒーは飲めませんと言った 「面白いためしがない…
奥山のロードレースを走るたび新種の蝶を見つけてしまう 彼は素朴な虫飼いだった。虫を育て、…
きみくらがり峠から帰り来てぼくのコーヒーにバーボンを垂らしてくれないか 海石榴市にはいろ…
きみ、森に隠れていたのか庭先に足跡のごと冬菫咲く 長靴を履いた男が今から蓮根を掘るので来…
ピンクンとペリカン閉じこもったり閉じこめられたリして過ごす冬の夜 その絵のことはぼくもようく知っている。ずっと大好きな絵だったからである。たった一度だけだが実際の作品も見たことがある。もちろん、彼女のことも覚えている。そりゃあ絵の前で釘づけにもなったさ。閉館の知らせをきくまでのあいだ、ほんの短い時間だったけれど。それでも、彼女の肩からサクランボの木なんて伸びていたか?眼から青い空なんて覗いていたか?
空港の朝のひかりに輝きを増しゆく茄子の食品模型 登場人物は、ひとりの階段マニア。羽田空港…
真ん中の兄が囲炉裏の火で炙るうつくしいノルウェーの牝鯖 スープの日のグーグル・ロゴ。今年…
やまがらの巣穴を覗くあえかなるK植物園のかくろえ 彼は、自分が鴨族だと名乗る。見ればわか…
熊、ぼくが卵を茹でているうちにぼくを盗んでゆく夜の熊 今、ぼくはきみの部屋へ来ている。ブ…
あだし野に立つあさぼらけクリームを顔や手足に塗ってください 今、ぼくは妻の部屋へ来ている…
呼ばれれば階段をかけあがる方だという犬の数を思えり さて、犬はわたしをゆうぐれにつれてい…
カワラヒワイカルコジュケイキセキレイぼくらが感情をラップトップに記録した日 この歌集に記された感情は、その大部分がかけ値なしの真実である。残りの架空の部分については、そのほとんどが鳥たちによって運ばれてきたものである。たぶんそうだったと思う。