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タイの採用でやっている10のこと

「タイは人がすぐ辞めてしまう」とか「面接で話を盛りがち」とか色々と言われる側面があります。

ある程度はそうだと思いますが、弊社はかなり採用に力を入れて取り組んできたので、採用ミスはかなり減らせるようになってきました。

私は、「人事の最重要ファクターは採用」「採用を間違えると教育で取り返すのは難しい」といつも言っています。教育会社が言っているのだから信じて頂きたいと思います。

そこで本noteでは、あらためて、弊社が採用で大事にしていることを10個ほど上げてみます。ほとんどのことはタイのみならず世界中で通じる普遍的なことだと思います。

①迷ったら会う

これは基本です。採用は営業と同じなので、基本的には量を当たらないと成功しません。また、「レジュメは足切りツールにすぎず、選考ツールとしては不十分」です。なので「迷ったら会う」の法則で行くべきです。
今入社している社員も、レジュメ上ではそこまで惹かれなかった人もたくさんいました。あの時書類で判断して面接しなかったらと思うと、ゾッとします。書類で人材を判定することはとても難しいと私は思います。

②多くの人を選考に関わらせる

一緒に働く人との相性はとっても大切です。なのでできる限り多くの人と面接をしてもらった方が良いです。面接の回数が増えると大変なので、弊社は最後にプレゼン審査を入れて、そこに出席できる人はなるべく多く出席してもらいます。
一番最悪なのは「社長が連れてきて採用した」といった状態になることです。入社後にパフォーマンスが悪いと「なんであんな人を入れたんだ」となる可能性があり社長への信頼も揺らいでしまいます。採用は、少なくとも同じチームの人には選考プロセスに関わらせて、「自分も採用判断に関与した」というコミットメントを持ってもらうことが大事です。

③選考は「ワークサンプル」で

「面接は、人を見抜く手段としては精度が怪しい」と指摘されるようになって久しいです。面接を無くすことは難しいですが、ほかの手段も組み合わせるようにしています。
一般に「ワークサンプル」と呼ばれる手法は、実務に類似するタスクをやっていただいてそれを見るという方法で有効とされています。
弊社はコンサルタントとして採用する場合は、プレゼン審査を通じてスキルや佇まい、話し方などをしっかりチェックします。営業なら営業ロープレを、人事なら人事ケーススタディを、といった感じに題材をなるべく実務に寄せましょう。
ワークサンプルが必要な理由のもう一つは、どうしても面接を英語かタイ語で行わざるを得ないからです。お互い第2言語、第3言語だとどうしても「会話」からその人を見抜くのはかなり難しくなります。それゆえに「仕事」から見抜くようにするのです。

④自己紹介と会社紹介をしっかりする

面接の最初は、相手に自己紹介をしてもらうのではなく、こちらから先に自己紹介をします。これもいつも言うことですが、採用は「選ぶ」よりも「選ばれる」方が難易度が高い。優秀な候補者はいくつもの選択肢を持っています。その中で、皆さんは「選ばれる1社」になる自信はあるでしょうか
とりわけ、日本企業の人気は残念ながらどんどん低下しています。会社のビジョンや魅力を堂々と語り、「この会社は他とは違う」という第一印象を作ってから、面接を展開していくことが大切です。

⑤苦しい体験の話を聞く

面接は長くて60分、短いと30分です。聞けるトピックスの数は限られますから、「苦しい体験」の話をできる限り聞きます。楽しかった仕事や成功した仕事の話は、誰でも魅力的に見えます。ですが、採用で見たいのは、入社後に訪れる逆境においても頑張り抜けるかどうか、です。なので、前職でのハードシップ、長い期間をかけて頑張りぬいた話、などを選んで聞いていきます。

⑥「何を言ったか」ではなく「どう言ったか」を見る

面接官はそこで何を見るかというと、「表情」を見ます。話の内容は盛ることが出来ますが、表情や態度まで嘘をつくことは難しいです。
ですので、苦しい話を具体的に、具体的に掘り下げる中で、どういう表情や感情表現がその人に表出するかを見ます。それが入社後にその人が困難に直面したときに見せる表情です。そこに見える態度、姿勢が今のカルチャーや求める人材像にマッチしているかを確認しましょう。(とはいえ、俳優並みの演技力のある人はこれでも見抜けません。でもほとんどは行けます。)

⑦「習慣」を聞いて能力を推し量る

タイの人は自己アピールが上手です。というかアジアの国々はだいたいは日本人より上手です。その中で、その人の真の実力を見抜かないといけません。重要なのはその人の「習慣」に関する質問を聞くことです。
例えば「私は人事の専門性があります」という人であれば、「最近読んだ人事の本は何ですか」「フォローしている著名な人を教えて」と聞き、そこから深堀りをします。普段から知識をアップデートしている人は、ちゃんと固有名詞が出てきますし、それを語ることが出来ます。「うーん、色々ありすぎて、、」となる人は、読んでいないか内容を覚えていない、または勉強をしたことはあるがそれが身についていない人である可能性があります。

⑧笑顔の量は最大の選考基準

サイバーエージェントの藤田さんも「笑顔がキュートな人を採れ」とおっしゃってましたが、「笑顔」は大事です。笑顔は性格が明るいことの証左であり、社内外問わずチームワークを作るうえで「明るさ」は大事です。私も「会話中の笑顔の量」はとても重視しています。
ところがタイには「13種類のほほえみ」があると言われていて、ここが難しいところです。表面的にはニコニコとしているタイ人が多いですが、その微笑みにはいろんな意味があります。「あいさつ代わりの笑顔」「乾いた笑顔」「無理やりの笑顔」は本当の笑顔ではありません。そうした笑顔はだいたい目が笑っていません。さすがに13種類見分けるのは不可能ですが、目と口元含めた顔全体で笑顔が作れているかをできる限りチェックしましょう。(そういう意味で、面接では絶対にマスクを外してもらいます)

⑨フィードバックを送る

仮に選考が不合格だったとしても、その候補者の良かった点と、何が足りなかったかのフィードバックを送ります。それが本人の今後の成長やキャリアに繋がるからです。
たとえそのタイミングでご縁が無かったとしても、いつかどこかでまた繋がることがあるかもしれません。そうした長期的な関係性を築いていくためにも、「一期一会」の態度で接しましょう。星の数ほどある会社の中で、たまたまあなたの会社に面接に来てくれたのです。そうした気持ちで、候補者には最大限のリスペクトを持って接します。そうした姿勢が回りまわって、会社の良い評判を作ることもあるかもしれません。

⑩採った以上は信じ続ける

これもいつも言っていることなのですが、一度採った以上は、活躍するかどうかは会社側の責任です。「お手並み拝見」モードで接してはいけません。パフォーマンスが期待に沿わないとそれを候補者のせいにするケースを見聞きしますが、それは責任転嫁です。基準に到達すると判断したのはこちらなのですから。最大限の支援と信頼で、能力発揮をサポートしましょう。
もちろん「プロベーション」という制度もありますが、気をつけないと採用側の甘えを生む制度だと思っています。前提条件が大きく違ったとかの事情でない限りは、プロベーションで雇止めをするというのは会社側の反省材料とするべきでしょう。

以上、我々もまだ発展途上ではありますが少しでも皆さんの組織の「良い採用」に繋がることを願っています。

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