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Reliance Jioは世界初の"Super Operator"となるか?Counterpointによる将来展望

インドの通信事業者「Reliance Jio」は、わずか8週間で約200億ドルもの資金を調達して世界中から注目を集めました。

Jioは2016年にリライアンス・グループの会長ムケシュ・アンバニ氏が設立。格安ガラケー「JioPhone」を投入し、地方ユーザーを中心に爆発的なスピードで契約を獲得していきました。

後発ながらインド通信業界を制圧し、いまや契約者数が4億人に達して市場シェア1位に躍り出てしまいました。インドの通信キャリアは14社から4社まで減ってしまったそうです。

ちなみに、ムケシュがJioを設立するまでには家族との確執があったそう。父が保有していた財閥の支配権や相続権をめぐって弟・アニルと争い、リライアンスの通信事業を奪われてしまいました。ムケシュのJioは価格戦争を仕掛けることでシェアを奪い取り、2018年にアニルからリライアンスの通信事業を譲り受けることとなりました。

これまでリライアンス・グループは石油をはじめとするエネルギー事業を柱としてきましたが、シェール革命やコロナ禍をきっかけに事業環境が悪化。

2020年に入り、グループ全体のデジタルシフトと有利子負債解消を目指して大規模な資金調達を開始しました。

はじめに世界を驚かせたのが、Facebookによる57億ドルもの出資。株式10%を売却し、WhatsAppと食品EC「JioMart」の運営で提携することを発表しました。

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そのほかにもSilver LakeやGeneral Atlantic、Vista、KKRといった名だたる投資ファンド、MubadalaにサウジのPIFといった中東系の政府ファンドからも調達。

そして、直近ではGoogleから45億ドル(7.7%)もの出資を受けたことを発表し、8週間で約200億ドルもの資金調達に成功しました。Jioの評価額は600億ドルに達したとされます。

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Reliance Integrated Annual Report 2019-20

そのほか、AI音声アシスタント「Haptik」、教育サービス「Embibe」、音楽ストリーミング「Savvn」、通信テクノロジー「Radisys」といった企業を次々と買収してプラットフォームを強化。

インド版Amazon Fire TV(もしくはRoku)「Jio Set Top Box」、スマートグラス「Jio Glass」といったハードウェアも投入しており、人々の生活に深く入り込んでいます。

JioはFacebookと広告やコマースで、Googleとは低価格の5G Androidスマホを共同開発、Microsoftとはクラウドで提携。コマースやコミュニケーション、クラウドなど弱かった領域をカバーすることが可能になります。

ネットワークからデバイス、アプリケーション、プラットフォームサービスに至るまで、Jioはデジタル生活、デジタル社会全体を網羅する存在に。Counterpointは中国発"Super App"を超えた"Super Operator"だとJioを形容しています。世界のトップ企業のテクノロジーが結集されたJioの動向を追っていけば、デジタル社会の未来像が見えてくるのかなと感じた次第です。

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