最近の記事
【EL Vol.8】労働需要のショックに対する雇用の弾力性、通勤の重力方程式:Commuting, migration, and local employment elasticities
国際貿易における重力方程式(Gravity Model)では、取引する両国のGDPが大きいほど2国間の貿易額が増加し、反対に、両国の距離が遠いと額が減少すると考える。Monteら (2018) は地域の労働市場を分析において通勤に注目し、重力方程式をベースとしたモデルを開発した。 AbstractWe provide theory and evidence that the elasticity of local employment to a labor demand s
【EL Vol.7】ITによる労働市場の二極化:Has ICT polarized skill demand? Evidence from eleven countries over twenty-five years
IT革命による生産性の向上は付加価値額や賃金の上昇をもたらしたが、その効果は全ての人々に行き渡っているわけではない。Michaelsら (2014) は先進11か国25年間のデータを用い、産業用ロボット導入はハイスキル労働者の所得を押し上げた一方で中スキル以下の停滞や労働時間減少につながったことを示し、労働市場において二極化が起きていることを指摘した。 AbstractWe test the hypothesis that information and communica
【EL Vol.6】AIによる失業リスクをタスクベースで再評価:The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries
仕事のAI化について、Frey and Osborne (2013)は職業ベースのアプローチから米国の47%が失業リスクにさらされていると推計した。しかし職業全体がコンピュータ/ロボットに代替されるかという分析は過大評価なのではないかという懸念から、Arntzら (2016)はタスクベースでの分析を実施した対象をOECD加盟国21カ国とし、職業内における労働者のタスクの不均一性を考慮した結果、平均9%の仕事が自動化可能だと明らかにした。F&O (2013)よりも推計値は小さい
【EL Vol.5】技術革新による労働形態のシフト:Away from Home and Back: Coordinating (Remote) Workers in 1800 and 2020
技術革新による生産性の向上は、労働形態にダイナミックな変化をもたらす。1800年頃、機械化により手工業は工場へと変わった。そして2020年現在、ITによって人間の仕事がオフィスワークからテレワークに移行しようとしている。Juhaszら(2020)はCOVID-19感染拡大を契機とした昨今のデジタルシフトについて、産業革命期の工場シフトに重ねて分析した。労働形態は「(新技術導入による)生産性向上」が「(変更に伴う)組織調整コスト」を上回る場合に変化するだろうという仮説は、ロック
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【EL Vol.4】ソフトウェア産業の集積と雇用、賃金:Job hopping, earnings dynamics, and industrial agglomeration in the software publishing industry
一見すると場所にとらわれないように思えるソフトウェア産業においても、集積のメカニズムは働く。Freedman (2008) ではサバイバル分析を通じて集積度が高いほど転職しやすことが明らかとなった。また、転職初期の賃金水準は低いが、その後の増加率が高いことも示された。 AbstractThis paper investigates the implications of industrial clustering for labor mobility and earning
【EL Vol.3】大都市での"学習効果"がもたらす所得増: Learning by working in big cities
大都市ほど労働者の所得が高いことは直感的に整合的で、以前から多くの先行研究で実証されてきた。De la Roca & Pugaは「(Staticな)大都市プレミアム」「学習効果」「(もともと生産性が高い労働者の)ソーティング」に注目。スペインの長期で網羅的な行政データを用いることで大都市に移住することによる学習・経験の効果を明らかにした。 AbstractIndividual earnings are higher in bigger cities.We consider
【EL Vol.2】在宅勤務、どれだけのポテンシャルがある?:How Many Jobs Can be Done at Home?
COVID-19感染拡大に伴い在宅勤務への移行が強制された中で、Dingel & Neimanは米国の各職業にどれだけの在宅勤務可能性があるのか算出した。米国O*NETに基づいたスコアは在宅勤務を検証する研究において米国以外の各国でも活用されている。 AbstractEvaluating the economic impact of "social distancing" measures taken to arrest the spread of COVID-19 rai
セグウェイ事業を畳むことにした「九号机器人有限公司(Ninebot)」が中国初のCDR形式でSTAR MarketにIPO。CDRって何なのか確認したのち、目論見書チェック。Xiaomiへの売上が5割と依存度高し。次に見据えるのはサービスロボット市場
中国のハードウェアメーカー「九号机器人有限公司(Ninebot)」が流行りの中国科創板(STAR Market)に上場します。 (九号有限公司公开发行存托凭证并在科创板上市 招股说明书) セグウェイ登場時には世界中の人々が心を躍らせましたが、いつの間にか中国企業に買収され、生産が終了されることになっていました。それでも上場するということは、何らかの成長事業があることになります。 今回のIPOは中国初のCDR形式ということでも話題になりました。恥ずかしながら預託証券につい
アメリカ2位の地ビールメーカー「Boston Beer」が宅飲み需要で+40%以上の高成長。株価高騰して時価総額100億ドル突破
アメリカでは地ビールの人気が高まっている模様。 (Boston Beer Reports Second Quarter 2020 Results) 巣ごもりでZoom飲みが普及し、アメリカのビールメーカー「Boston Beer」社は四半期で4.8億ドル、192万バレルを販売。売上成長率は前年比+42.0%に加速しました。 株価は3月末と比べて2倍以上に上昇し、上場来高値を更新。時価総額は100億ドルに達しています。 Boston Beerのルーツは1860年。 (