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クラウドゲーミングとフォグゲーミングと、エッジコンピューティングと。

セガのフォグゲーミング構想に未来を感じた。ということでメモです。

1ヶ月くらい前のbackspace.fmで西川善司さんが解説されていました。めちゃ面白くてしっかり調べようと思っていたのですが手付かずのところで、ITmediaさんが改めて記事を出してくださっていました。

「フォグゲーミング」ユーザーいコンピュータ・ゲームを提供する方式のこと。まずは従来型ゲームからクラウドゲーミングへの流れを押さえておきます。

従来のゲームはファンコンやプレステのようなコンソールにゲームソフトをカセットやディスク、もしくはダウンロードしたデータで読み込ませ、コントローラで入力した操作を処理してテレビ等に出力してプレーする、という流れです。

対して「クラウドゲーミング」は、処理機構がネットワーク上にある仮想マシンに移ります。クラウドコンピューティング同じ発想です。

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最初にサーバー側が映像配信し、ユーザーがコントローラから操作を入力、それを受け取ったサーバーがインプットを処理して再びゲーム映像を返す、という流れでゲームをプレーすることになります。

クラウドゲーミングといえばGoogleが2019年11月に「Stadia」を開始し、ソニーの「Playstation Now」、マイクロソフトの「xClloud」、そしてNVIDIAの「GeForce NOW」などビッグプレイヤーが次々と参入して注目を集めています。

ゲーミングをクラウド化することによるメリットとしては、

①ユーザーは高性能なゲーム機の購入が不要(PCスペックなどによるユーザー間の処理性能に差が生じない)
②ユーザー側のアップデートが不要で常に最新版を提供できる
③コーディングやアドオンインストールなどによる不正プレーを防げる
④サブスクリプション型でサービスを提供できる

といった点が挙げられます。Fortniteを筆頭にユーザー同士が常に繋がっている状態が当たり前の時代が到来しており、フェアな環境を提供することはプラットフォームとしての価値を向上させる大事な要素の一つだといえます。

一方で、クラウドゲーミングは運営サイドにとってはサーバーやデータセンターといった固定費が増加することに。PLの推移はSaaSと同様のイメージで、顧客獲得と低い解約率、アップセル/クロスセルによる顧客単価上昇によってネガティブチャーンを実現し、投資回収していくことになるのかなと。

技術的場側面としては、通信処理を伴うことからレイテンシーが課題となります。

ブライアンさんも通信環境が改善しただけでスマブラめっちゃ強くなっっていました。Eスポーツのように勝敗を決するゲームでレイテンシーは死活問題です。

ここで登場するのが、セガが提唱した「フォグゲーミング」です。

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フォグゲーミングのアイディアは、「サーバーを分散化させ、ユーザーが最寄りのマシンを使用することによってレイテンシーを改善する」というもの。

セガは系列を含めて日本全国に約200店舗ものゲームセンター・ネットワークを有しています。そして、各店舗は「ALL.Net」と呼ばれる高速ネットワークで相互接続されているとのこと。

ゲームセンターに設置されている筐体には高性能なCPUやGPU等が搭載されており、物理的な距離によってレイテンシーを改善することはできないかというアプローチです。

光ファイバーによって伝送される光は石英ガラスの屈折率(1.5)の影響で秒速20万kn程度に。善司さんの概算によると、東京-大阪間400kmを通信ケーブル実距離500Kmと仮定した場合に通信遅延は5msとなります。(500km÷20万km/s = 2.5msの往復)

これを20km圏内にある最寄りのゲームセンターに置き換えれば遅延は0.2msに、10kmなら0.1ms、5kmであれば0.05msまで改善されます。距離が短ければ短いほど中継の回数が減るため実行遅延は理論値に近くなり、クラウドゲーミングにおいて問題となるレイテンシーの解消が期待できます。

セガは本業のゲームセンター向け設備投資によって4~5年おきにマシンを刷新しており、次世代(2021年)から対応できるだろうとのこと。PelotonのSaaS + a box的なイメージで、獲得コストをリアル店舗での売上によって代替するビジネスモデルを構築すれば、コスト面でも投資回収期間の早期化を実現できそうです。

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セガサミーホールディングスの株価は軟調に推移。7月22日時点の時価総額は3,464億円です。昨今の情勢からリアル店舗が閉鎖され、以前の状態に戻れるか先行きが不透明な状況は続きそう。フォグゲーミングが突破口になることを期待したいなと思う次第です。

フォグゲーミング、フォグコンピューティングと似た発想としてチェックしておきたいキーワードが「エッジコンピューティング」。

Gartnerはエッジコンピューティングを「データの生成元、または、その企画でデータ処理を容易にするソリューション」と定義。新しい概念なので違いは曖昧な印象ですが、フォグコンピューティング、フォグゲーミングよりもエッジコンピューティングのほうがさらにデータソースに近い感じです。

エッジコンピューティングまでいくと一周回ってやっぱりコンソール?と思いますが、これはすでにAI対応チップを積んでいるスマートフォンやIoTデバイスなどに適応される技術に寄っていそう。このあたりはもっと勉強したいのですが、データ量の爆発的な増加が進む中でとにかく注目されている技術です。

リアルタイム処理が肝となる自動運転や金融サービスにおける活用が期待されており、富士キメラ総研は2023年に5G対応エッジ機器の市場規模が26兆14,00億円まで拡大すると推計しています。

最近ではFastlyがエッジコンピューティング領域で開発を加速中。単なるCDNプロバイダーにはとどまらない成長可能性を示しています。

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Fastlyの株価は5月から急騰し、ピーク時には4倍以上に。7月24日時点の時価総額は81.2億ドルと引き続き高い水準にあります。次の決算は要ウォッチ(8月5日)。

前職の頃より技術寄りの話に疎くなってきてしまっているので、しっかりキャッチアップしないとな…というぼやきです。

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